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07

グランさん達が見えなくなって、僕は大きく息を吐いて空を見上げた。

昼頃だろうか、ほぼ真上に太陽が眩しく光っていた。


正直怖かった。寄って集って殴られると思っていたが、向こうも得体の知れない者を相手にするのが怖かったのか、話を聞いてくれて良かった。

受け入れてくれるか如何かは賭けになるが、直ぐには無理でも状況次第では近くに一人で住んで、彼等の力に為ると言うのも有りだし、如何しても無理なら他に行こう。


何しろ時間は幾らでも有る。最初は利用されるだけでも良いから出来る事をやって受け入れて貰おう。


僕はそう決意してその場にゴロリと横になった。



     *     *     *     *     *



「・・・・・と言う訳なんだが、皆は如何思う?俺としては受け入れても良いと思っている。彼の言った事が本当ならば東の連中にだけは渡すべきでは無いと思うからだ」


「あんた何言ってんだい。そんな得体の知れない奴を受け入れて、その神とか言う奴に睨まれたら如何すんだい」


「それは無いと思う。彼の言う事を信じるならば『特に目に見えて何かをしている訳じゃない』らしいからな」


「俺もグランに賛成だ。何て言うか・・・嘘を付いている様には見えないんだよな。とても信じられる内容じゃ無かったけど、作り話とは思えなかったし・・・あいつの言ってた『別の世界』ってのも気になった。何か俺達の為になる事知ってるんじゃないかって」


直接話をした男性陣は概ね賛成で、女性陣は反対少数、残りは保留といった感じだった。

実際空から落ちて来た上に、生き返る所も見ている男性陣は恐怖以上に彼の話に同情したと言うのも有る。

対する女性陣は生き返ったと言う話ですら懐疑的で、単なる余所者に対する対応と言った所だ。


「あんたらがそこまで言う気持ちは解らないけど、北の地から出さない事と住む所と食料は自分で何とかするって言うなら置いてやっても良いよ」


「おまえ、それは受け入れたとは言えないだろう!」


「この村に余裕が無いのはあんただって解ってるだろ?唯でさえ東の連中に狙われてるってのに住む所を用意する暇なんてありゃしないだろ」


女性陣を纏めている彼女はグランの妻なのだが、確かに彼女の言う通りこの村には余裕は無い。東の村は更に余裕が無い為にこの村を襲ってきたのだ。

今居る村人の事を思えば彼女の言う事は尤もで、グランはそれ以上の譲歩は引き出す事が出来なかった。



     *     *     *     *     *



「おい!起きなさい!まさか死んでいるとかじゃないだろうな・・・・・おい!君!」


「・・・・・あ・・・すみません。いつの間にか眠ってたみたいで」


「はぁ・・・暢気なものだな・・・・・まぁいい、付いて来なさい」


グランさんに起こされた僕は彼に言われるまま後を付いて行った。村の外周を回り込む様にして着いたのは何も無い場所だった。


「すまないが、今は君を村に入れる訳には行かない。それでだ、ここから向こう側、山のある方向で良かったら自由に使ってくれ」


「え、こんなに広い土地を使っていいんですか!?有り難う御座います!皆さんに受け入れて貰える様に頑張ります!!」


かなり広い空き地だ、もしかしたら昔住んでいて何かしらの理由が有って移動したのかもしれない。


「・・・・・その・・・見ての通り裕福な村じゃない。住む所も食べる物すら分ける事は出来ないんだ。本当にすまん」


「謝らないで下さい。グランさんは僕の為に交渉してくれたんですよね?追い出されなかっただけで十分です。あ、僕に出来そうな事とか有ったら何でも言って下さい」


「そう言って貰えると助かるよ・・・・・水場は向こうに川が有るから自由に使ってくれ。後は・・・何時までも君と呼ぶのもなんだし名前を考えておいてくれるか?」


「あ、はい、解りました」


一人空き地に残された僕は、取り敢えず名前を考える事にした。

ここまで読んで頂き有り難う御座います。

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