06
林の中の狭い獣道の様な所を暫く歩いて行くと集落・・・と言うかテントの様な物が幾つか立っているのが見えた。
何て言うか・・・想像以上に発展していない気がした。
(青銅器の前って何だっけ?石器とか土器?歴史はちょっと苦手だったからなぁ・・・・・まぁ地球とは違う発展の仕方してるかもしれないし、見て見ないと解らないか・・・門前払いとか・・・有り得るな・・・・・)
そんな事を考えながら集落へと近づいて行くと、木の棒を構えた男達が二十人程此方へやって来て僕の前に立ちはだかった。
「止まれ!それ以上近寄るなら容赦せんぞ!」
「そうだ!化け物め!こっちに来るんじゃねぇ!」
やっぱりか。空から落ちて来て生き返ったのだから仕方ないが、こうも口々に罵声を浴びせられると悲しくなる。
僕は溜息を付いて顔を上げ口を開いた。
「それで、如何するって言うんです?その棒で殴り殺しますか?僕は死んでも生き返りますけど、貴方達はそれ相応の罰を受ける事に為りますよ。それで良ければ好きにして下さい。見ての通り僕は武器を持ってませんし、抵抗もしませんから」
僕はそう言ってその場に座り込んだ。
「僕は皆さんに危害を加えるつもりは有りませんし、出来れば話を聞いて貰って受け入れて貰いたいと思っています。どうしてもだめだと言うのなら近くに有る村を教えて下さい。其方に行きますから」
集まった男達が何やらぼそぼそと話し合いをした後、四十歳位の男性が一歩前に出て来た。
「この村の男達を纏めているグランと言う。罰とか言ったな?話を聞こうじゃないか」
僕はグランと名乗った彼の目を真っ直ぐに見て話し始めた。
「僕は・・・今は名前はありません・・・・・神・・・と言って解りますか?そいつに奪われました。生き返ったのも僕に危害を加えた者に罰が与えられるのも、そいつに掛けられた呪いの様な物だと思って下さい。あ、呪いが他の人に移る事は無いので、そこは心配しないで下さい」
「・・・神と言うのは聞いた事が無いが、君の名前を奪って呪いを掛ける事が出来る程の存在なんだな?それで・・・何故呪いを掛けられた?君に問題が有ったんじゃないのか?」
「え~っと・・・神と言うのはですね、この世界の管理をしている者の事で、実際目に見えて何かしている訳でもないんですけど・・・超常の力を持っているんですよ。で、そいつに難癖を付けられて、その罰として不老不死と危害を加えた者に反撃をする身体にされましてですね、この衣を着せられてここに落とされたと言う訳です」
「難癖?それはどんな事だ?それに死なない事や歳を取らない事が罰になるとは思えんが・・・・・」
「あ、やっぱり罰だとは思えませんよね。でも今現在、皆さんに怖がられているじゃないですか。良く考えてみて下さい。自分の傍に死なない、歳を取らない奴が居たらどうです?例えば僕が結婚して子供が生まれたとしましょう。妻と子供が歳を取って行っても僕は変わらないんです。子供が歳を取って結婚して孫が産まれてもです」
話を聞いていたグランさんを含めた皆が驚愕の表情で青褪めて行く。
「ご理解頂けた様で何よりです。それで、難癖の方なんですけど・・・・・ちょっと向こうを見て下さい」
僕が指刺した方を皆が一斉に向いた。
「今皆さんが横を向いたせいで大勢の人が死にました。罪を償って下さい。まぁそんな事を言われた訳なんですけど・・・どう思います?」
「ふざけるな!そんな馬鹿な話が有るか!!横を向いただけで人が・・・・・い、いや・・・まさか・・・そんな事で罪を着せられたと言うのか!?」
「はい。大まかにはそんな感じで、別の世界からここへ落とされました。行き成り死んで生き返りましたけど、お陰で皆さんには説明が楽でした」
苦笑いで肩をすくめる僕から皆が悲痛な顔をして目を背けた。
「今の話を信じる信じないは別として、僕に危害を加えるのだけは止めて下さい。怪我で済めば良いですけど、皆さんは死んだら生き返りませんから」
「あ、ああ・・・そうだったな。その話が嘘だとしても、君が生き返るのは実際見たのだし危害を加えるのは無駄だからやらん。だが受け入れるか如何かは他の皆とも話し合って決めたい。すまないが、そこから村には近寄らないで貰えるか?」
僕は「解りました」と頷いて、村へと戻って行くグランさん達を見送った。
ここまで読んで頂き有り難う御座います。