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その日、ノワールさんが光となって天へと帰って行ったあの日。

俺はアガルティアの自室でライルとキースと共に西への探索計画を立てていた。

三人の中で最初に気が付いたのはライルだ。

まぁ単に頭を使うのが苦手だから、ソワソワ、キョロキョロと落ち着き無く辺りを見回していただけなんだが。

「何だありゃ?」そんなライルの声に俺とキースが窓の外を見た時には光の玉が雲の中に消える直前だった。

何時か戻されると言う話は以前聞かされていたから驚きはしたが、落ち着いて行動出来たと思う。


ノワールさんの家に向かいエリスに話を聞けば、思った通りノワールさんだった。


エリスと共に混乱する村人達を宥めて回った。


特に結界が無くなった事が皆にとっては怖かったんだ。

今まで外敵から護ってくれていた物が無くなった事に加え、ノワールさんに見捨てられたのではないかと取り乱した奴が居た事もそれに拍車を掛け、落ち着くまでに数十日掛かった。


「おい!ノワールさんが信じられない奴は今直ぐここを出て行け!!あいつが俺達、特にエリスを置いたまま帰って来ないなんて有る訳無いだろうが!!結界だって必要無くなったから消えただけだ!ノワールさんが信じたコッケー達が居るじゃねぇか!!」


苛々してつい怒鳴り散らしてしまった。俺だって不安なんだよ!だがノワールさんは必ず帰って来るって信じてんだ。どいつもこいつもエリスの気持ちも少しは考えろってんだ。一番辛いのはあいつだろうが!


漸く落ち着いて来たので西への探索を開始しようと思ったが俺やキースがここを離れる訳にはいかない。かと言ってライル一人には任せられねぇし、ライルの暴走を抑えられる奴が他に居ねぇ。


こんな時にグランが居てくれたらと頭を抱えていた時、コルトとルイスが名乗り出てくれた。


「お前等二人目が生まれたばかりじゃねぇか。ありがてぇけど独り身の奴に行って貰うからよ」


「何言ってるんですか、そんな人居ないって解ってるでしょ?僕ら二人ならライルさんに言う事聞かせられますから」


「そうそう。僕らが行って来ますから、妻と子供・・・それと姉さんの事はお願いします」


今後人が増える事を考えれば西の探索は速い方が良い。これは村人全員が感じている事だ。本来なら俺とライルで行く筈だったのだが、他に村を纏められる奴が居ない。行く行くはルイスにと思っていたんだがなぁ。

俺は断腸の思いでコルトとルイスに行って貰う事にした。


全部ライルの馬鹿野郎が悪い。


ライル達三人とコッケー二十匹を見送り、キースの工房へと向かった。


「如何だ、キース。上手く行きそうか?」


「ダメだな・・・ノワールさんが言っていた通り強度が足りない。樹液ブロックで周囲を固めても見たんだが・・・・・如何しても破裂してしまうんだ」


「もっと硬い金属・・・鉄だったか?が必要って事か・・・・・」


「ああ、そうなるな・・・・・西で見つかると良いが・・・・・まぁ無い物は仕方が無い、暫くは完成品の精度を上げるとするさ」


キースはノワールさんに教わった事を幾つも試しているが物に為る方が少ない。如何にも手詰まりだ、近くに鉱山が有れば良いんだが。


後はエリスだが・・・俺じゃダメなんだよ・・・・・頼むから早く帰って来てくれノワールさん―――

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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