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グランさん達の手伝いを三日程してアスガルタへ帰る事になった。と言うか追い出された。

バロールの件なら砦を含めた北に有る四つの村に知らせて置くから早く皆の元へ帰れと。


僕もエリスやアスガルタの面々に早く会いたいが、ここを手伝いたい気持ちも強いのでもう暫く残りたかったのだが、人の手は足りていると言うか余っている位なのだそうだ。


それと言うのもバロールの捕虜達の八割程が改心し、自ら開拓に名乗り出ているのだと言う。

結局彼等もエンゾさん達と同じで食糧不足から武力侵攻に訴えたのだ。規模は大きく許される事では無いとは思うが。


彼等は信用して貰う為にも、各村の手伝いをしたり、未だ改心していない鉱夫として働く者達の説得をしたりと、積極的に働いているのだそうだ。


そして、アラト山三村でも手狭に為って来たので、川沿いに交易中継拠点を作ろうと言う動きに為っているそうで、アスガルタとの中間地点に人員と物資の搬入準備をしているとか。


そんなこんなで、アスガルタからの物資を載せた船が来るからそれに乗って帰れと言う訳だ。


で、遣って来た船の上に何か見た事のある銅像が乗っているのが見えるんですけど・・・・・


これって南東の村と交易が始まったら向こうにも持って行く流れですよね?はい、もう諦めました。


船に揺られて南へと川を下って行く。一連の事件も全て片付き、どの村も僕の手を離れ独自の判断で動いている。後は南東の村の支援が終れば平穏な日常が帰って来るだろう。


結界が見えて来た。コッケー達には自由にするように言って別れた。これからは縄張りを大陸中に広げ、新しく開拓を始める者達の力になってくれると信じている。アルファーとブラボーはアスガルタに帰って来そうだけど。


水車が見えて来た。数人が僕に気付いて両手を振り、大きな声で叫んでいるのが聞こえた。


次々と人が集まって来た。中には涙を流している人も居る。盛大なお出迎えがちょっと恥ずかしい。


船を下りると人垣が割れてその先にはエリスが立っていて―――


「ただいま!エリス!!」


「お帰りなさい。ノワール」


僕は駆け寄りエリスを抱きしめ、アスガルタに帰って来た事を実感した。






そして、その日は突然に・・・本当に何の前触れも無く唐突に遣って来たんだ。


南東の村の支援が終わり、平穏な日常が帰って来て三年が過ぎた時の事だ。

何時もの様に朝食をとり、村を見て回り、昼食をとる。


そして午後からエリスと庭の果樹の手入れをしていた時だった。


薄い雲が太陽を遮り手元が薄暗くなったので何と無く空を見上げたんだ。


雲の間から光が、レンブラント光線が降り注ぎ僕を照らしだした。


光を浴びて僕は無意識の内に立ち上がり、両手を広げ天を仰いでいた。


頭の中に透き通る様な鐘の音が鳴り響く。


衣が僕の意思とは無関係に光だし、その光が強くなると共に僕の意識を塗り潰して行く。


「ノワール!なにが―――」


エリスが何か叫んでいた様な気がしたが、僕にはもう届いていなかった。


 あぁ エリス 必ず帰るから 待ってて―――


僕は光に包まれて天へと昇って行った。

ここまで読んで頂き有難う御座いました。

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