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「なんだよ・・・これ・・・・・」


森を抜けた僕の目に映ったのは荒地の広がる大地だけだった。


左、北側を見る。まるで切り取ったかのように森と荒地の境目が視界範囲に延々と続いている。

南側も同じだ。違っている事と言えば山が、木の生えていない禿山が見える事と、その麓に集落のような物が見える事だ。


多分あそこがバロールの本拠地なのだろうが、随分と規模が小さい。

こちらが倒したり捕らえた敵兵は千人に満たない。解放した村人を入れてもだ。


僕は女神の言っていた二万人に満たない国だと思っていたけど、そうだとしたらこれは変だ。それとも食糧不足で死んだのか?それなら西側にあれだけの兵を送って来る余裕なんて有る筈は無いと思う。


何にしてもこのままここに居ても始まらないと、気を取り直して南に見える集落へと向かう事にした。


「アルファー、ブラボー、森の中から出ない様に」


コッケー達の体色は荒地じゃ逆に目立つので森の中で待機して貰う事に。


徐々に集落が近づいて来るが誰かが出てくる様子が無いし、見張りも居ないようだ。


幾つか有るテントの影に倒れている人が見えて駆け寄った。


「大丈夫です・・・・・ぁ・・・っ・・・・・なんで・・・何でだ!くそっ!この・・・大馬鹿野郎共があああぁぁぁ・・・!!」


おそらくは反乱が起きたのだと思う。集落内には夥しい数の死体が転がっていた。それこそ老若男女問わずだ。


「・・・っ・・・だ、誰か!・・・誰か居ませんか!!怪我で動けない人が居たら声を上げるか音を立てて下さい!!誰か!誰かあああぁぁぁ・・・・・」


生き残りなんて居ない事は解っていた。昨日今日争った訳じゃない事は死体の腐敗具合から解る。それでも声を上げ続け集落全てを回るまで諦めたくなかった。


泣きながら集落内全てのテントの中を見て回って気が付いた事は、食料や幾つかのテントをばらして持ち去った跡が有ると言う事だった。


生き残りはおそらく反乱を起こした奴等だろう。でなければ死体をそのままにして行くのはおかしい。鉱山や鍛冶場の有るここを放棄したのは鍛冶師を殺したからだと推測した。


どんな理由が有ろうとも、仲間の命と財産を奪った奴は許せない。その身を持って購って貰わなければ。だが、その前にここを―――


 この地に蔓延る穢れを祓い清め給え―――


両手を広げ天を仰ぐ僕の身体から光の柱が立ち上がり集落を包み込むと、僕以外の全てが光となって天へと上って行き、荒れた大地だけが残された。


残党を追い掛けようと南へと歩き始めると、目眩と耳鳴りが起きてその場に膝を付いた。力の使い過ぎだろうか?エリスを生き返らせた時は気を失い眠りに着いたが、少し違うような気がする。


両手を地面に付き、目を閉じて荒い呼吸を整えていると、ザザザとノイズの様な音が耳鳴りと共に聞こえたが、呼吸を整える事に集中した。


暫くして耳鳴りが収まり目を開けると、コッケー達に囲まれていた。


「皆、心配かけたね、もう大丈夫だよ。有難う」


笑顔でコッケー達に声を掛けて立ち上がり、最後までやり遂げなくてはと、今だ支配されている村を開放する為に南へと向かった。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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