表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/61

53

ここに来て二日が経った。

村人達は体力的には回復してきたが心の方はまだまだ時間が掛かると思う。

食事の時は笑顔を見せるがそれ以外は唯中空を眺めているだけの事が多い。


昨日は東、バロールからの通信兵が五名やって来た。コッケー達が直ぐに撃退してくれたので問題は起きていないが、これ以上ここに留まるのは危険だと判断して西側の村に戻る事にした。


倉庫の中の食料等をバロールの兵士達に可能な限り背負わせてコッケー達に周囲を守らせ移動する事十二日。目的の村に到着すると、何故かグランさん達が居た。


「え?何で皆居るの?東村の方は如何したの?!」


「ああ、向こうは一通り教えてきたので問題無い。それよりもここの方が問題だろう。まさかここまで酷い所が有るとは思いもしなかったが、彼等・・・今連れて来た者達の所はもっと酷いのだな?」


「え、あ、はい・・・彼等を見て貰えれば解ると思いますが、その・・・心の方が・・・・・取り合えずここで休ませてからアスガルタにと思って連れて来ました」


「解った。その役はコルトとルイスに頼むとして・・・・・俺達は引き続きここの再生に手を貸しつつ物資を集める。ここの広さならまだまだ収容出来るだろうからノワール様は開放した村人をここへと導いて下さい」


「・・・・・グランさん・・・有難う御座います。ここを防衛拠点にしましょう。今連れて来た兵士達を使って樹液ブロックで防壁と西への道の整備を。アラト山三村にも支援を募って可能な限り武器と食料を運んで貰いましょう」


僕はグランさんにその場を任せコッケーを二十匹残して北東へと向かった。

このままバロールの本拠地に向かっても戴した意味は無いと思う。おそらく食料は支配した村から運んでいるのだろう。だから食糧を生産している村から切り崩していけば自滅しないまでも疲弊させる事は出来る筈だと考えた。


アルファーに先行させて道無き道を進む事十五日。最初の集落を開放した。

十五人程の集落だ。兵士の数は十人と少なく、僕が着く前に先行したアルファー隊が制圧してくれた。

拘束した兵士に荷物を運ばせ、コッケー三十匹を護衛と道案内に付けて送り出して更に進んだ。


三つ目の集落を開放し、次へと向かう途中で五十名程の兵士達に襲われたが、難なく撃退。拘束して食料だけ奪って放置した。こいつ等に掛ける情けは無い。

一人では持ち切れない分の食料はコッケー達と頂きました。


まぁ流石に次々と村が空っぽに為れば気が付くよね。


そんなこんなで時折襲われつつも村を開放して行く事半年。バロールの北側は全て開放したので一度防衛拠点へと帰る事にした。


帰る途中あの心を病んでしまった人達の居た場所を通ったが何も変わっていなかった。いや、持って行けなかったテントは無くなっていて、完全な空き地になっていた。

ここから完全に撤退したのだとすれば西への進行は諦めたのだろうか?それとも・・・そう考えたら途端に不安になって、少し急ぎ足になった。


五日目には森が切れて草原になったのだが、その草原の先に巨大な砦が見えた。


樹液ブロックで作られた高さ5mは有る防壁の手前には幅3mの空堀。青銅で補強された大きな木製の門の前には丸太で作られた跳ね橋が上がっていた。


「・・・・・いや、確かに防衛拠点にって言ったけど遣り過ぎだろこれは」


僕が突っ込みを入れていると、防壁の上から声が掛けられた。


「ノワール様!!お帰りなさい!!今橋を下ろします!!お~い!!ノワール様のご帰還だ!!皆で出迎えるぞ!!!」


コルトさんの叫び声と共に門が開き、跳ね橋が下がると門の中からぞろぞろと人とコッケーが出て来て、拍手と歓声に迎えられて、コルトさんとルイスさんに連れられて砦の中へと入った。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ