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アラト山東村に着いた僕はライルさんにグランさんが着き次第指示に従う様にと言って東へと向かった。
力が湧いてくる。僕を信じてくれる皆の気持ちが力となって僕の背中を押してくれた。
止まる事無く走り続けた。後に続くコッケー達が遅れ出したがそのまま走り続け、七日後には目的の村が見える場所に辿り着いた。
僕はコッケー達が来るまでの間、村を遠巻きに観察する事にした。
畑の中に手足に枷を付けた作業をする人達に槍を付き付け怒鳴り散らしている奴等が数人見える。
その中の一人が作業を手伝う幼い子供を笑いながら蹴り転がした時、僕は頭に血が上り、隠れていた木々の間から飛び出してそいつに向かって駆け出した。
「こんのクソ野郎があああぁぁぁ・・・・・!!」
駆けた勢いそのままに飛び上がり、ドロップキックで蹴り飛ばした。倒れて呻き声を上げる子供を抱き起こして治癒の光を放つ。
「もう大丈夫だ。直ぐにこいつ等を退治してやるから皆と離れてて・・・ピイイイィィィ・・・・・!!」
治癒した子供の背中を押して近くの村人達の下へと向かわせて、指笛を鳴らしてコッケー達に合図した。到着までまだ時間が掛かるのは解っていたが、僕が戦い始めた事に気が付けば急いでくれる筈だ。
「き、貴様!何者だ!!何処から来やがった!!」
「お前達外道に名乗る名なんて無い!!お前等には今直ぐ犯した罪を償って貰うぞ!!」
蹴り飛ばした奴の落とした槍を拾って中段に構えて声を張り上げた。
グランさんやエンゾさんに扱い方は習ったがこれで勝てるなんて思ってない。唯のはったりで時間稼ぎだ。
村の中からぞろぞろと武器を持った奴等が出て来た。僕一人が相手だ、人質なんて要らない、見せしめに嬲るつもりなのだろう。だが、それが狙いだ。
そうだ・・・もっとだ、もっと集まれ、僕を囲め!!
「貴様、楽に死ねると思うなよ。見せしめに数日かけて嬲り殺しにしてやる」
「・・・楽に死ねると思うな?それはこっちの台詞ですよ。貴方達には死ぬまで罪を償って頂きますから・・・・・アルファー!ブラボー!囲め!!」
「「コケー!!」」
森の中から次々とコッケー達が飛び出してくる。百五十に及ぶ緑の怪物達があっと言う間に周囲を取り囲み、囲まれた兵士達はパニックに陥った。
逃げ惑い打ち倒されて行く兵士達の中、僕は指揮官らしき男と対峙していた。
「な、何だ・・・何なんだこれは!貴様は一体何者だ!!」
「先程も言いましたが、貴方達の様な者に名乗る名なんてありません。さぁ悔い改めて罪を償って貰いましょうか」
「く・・・き、貴様あああぁぁぁ・・・!!」
僕は指揮官らしき男が突き出してきた槍を敢えて脇腹で受け止めた。
「グアアアァァァ・・・!!」
「グッ・・・ァッ・・・・・如何・・・です・・・痛いでしょう?・・・さぁ、続きをしましょうか・・・・・」
治癒の光で脇腹を押え蹲る指揮官を治し、彼の落とした槍を拾って手渡した。
「なっ!き、傷が・・・何だ・・・何を考えている!何がしたいんだ貴様は!!」
「貴方達は人を傷つける事が好きなんでしょう?だから気の済むまでやらせてあげようと思いましてね。さぁ・・・何度でも好きなだけどうぞ」
「あ・・・くっ・・・うわあああぁぁああぁぁぁ・・・・・!!」
黒い笑みを浮かべ冷たい目で見下ろす僕に指揮官が槍を突き出して来た。
僕は致命傷だけに気を付けて槍を受け続けた。指揮官の心が折れるまでにそう長く時間は掛からなかった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




