03
「貴方は亡くなった時の年齢、十六歳で転生させる事になるんだけど・・・・・肉体はこちらの物を使う事になるの。強靭な魂がこちらの貧弱な肉体に宿る事になると、魂と肉体の結び付が神と等しくなって・・・・・その・・・貴方は不死に成るの・・・・・」
「・・・・・え~っと・・・それの何処が酷い事なんです?」
「それだけじゃないわ・・・細胞の劣化も殆んど無くなるのよ・・・・・」
「ん?・・・要するに不老不死に成るって事ですよね?あ、少しづつだけど歳は取るのか・・・・・それでも悪い事じゃないですよね?」
彼女はやれやれと言った感じに目を伏せて首を横に振った。
「貴方・・・自分の近くに歳を取らない人が居たらどう思う?」
そう言われて初めて気が付いた。転生したら僕は永遠の十六歳・・・じゃなくて!見た目が何時までも変わらない僕は一つの所に定住する事は出来ない。迫害対象に為るって事なんだと。
俯き目を伏せる僕に彼女は続けた。
「それだけならまだ良かったのよ・・・世界中を回って布教活動すれば良いんだし・・・・・あのね・・・死なないけれど怪我はするし病気にもなるのよ・・・・・貴方は驚異的な回復力でどんな怪我も病気も治るけど・・・痛みだけは消す事は出来無いわ」
「そ、そんな!それじゃ死ぬ程の怪我を負ったら治るまで苦しみ続けるって事ですか!?」
「そうなるわ・・・・・それが解ってて地上に送るなんて私には出来ないわ!だから・・・ここで一緒に暮らしましょう!地球の神には私が気に入ったから奴隷にしたとか適当に誤魔化しておくから!」
(ん?なんか今不穏な言葉が出た様な気が・・・そう言えばさっきも変な妄想垂れ流してたよな、この駄女神・・・・・悪い話じゃない気もするけど地球の神にばれた時の事を考えると乗らない方が良いよな)
「ごめんなさい・・・大変有り難い申し出なんですけど、ばれた時に女神様に迷惑を掛ける訳に行きませんから断らせて貰います。それで、地上の事を教えて貰えますか?地球とは言語とか常識とか違うんでしょうし、何も知らずに行って不況を買ったら布教所じゃないでしょ?あ、洒落じゃないですよ?」
「まぁ!私の心配をしてくれるなんて、なんて良い子なんでしょう!!解りました、貴方に祝福を授けます。それが貴方にとって助けになるでしょう」
そう言って立ち上がった彼女は僕の頬に手を添えて額にキスをした。
「あ・・・有り難う御座います・・・・・この御恩に報いる為にも頑張ります。それで、なんて言う宗教に入ったら良いんですか?あ、出来れば女神様の御名前も教えて貰えませんか?」
「・・・・・無いわ」
僕の問いに俯きながら視線を彷徨わせて申し訳なさそうに答えた彼女の言葉の意味が解らず、僕は暫く固まった。
「・・・・・えっと・・・随分変わった名前の教団なんですね・・・はは・・・・・ははははは・・・・・」
「そうだったらどれ程良かったか・・・・・先ずこの世界の事を教えないといけませんね」
一から宗教立ち上げるとか無理ゲー過ぎだろとか、既存の団体との衝突必死だなとか考えながら彼女の話を聞いていたら、更に爆弾をぶっ込んで来た。
「星の規模は地球の80%程で、その内の陸地部分は全体の35%になります。大陸は大きく分けると二つ有り、他にも居住可能な島は有りますが人は住んでいません。そして・・・ここからが問題になるのですが、総人口は・・・その・・・・・二十万人程です・・・・・・・」
「少なっ!!え!?ちょっと待って下さいよ、地球よりちょっと小さい星の大陸二つに二十万人が点在してるって事ですよね、それって!?」
「はい・・・・・そして文明度合いですが・・・数十年前に青銅器が発明されたばかりです。勿論製法は秘匿され、周辺地域を武力で掌握し、漸く国の体を成し始めた所です。それでも二万に満たない数ですが・・・・・」
余りにも酷い状況に絶句している僕に彼女は続けた。
「・・・・・ごめんなさい・・・私の力が足りない為に貴方には苦労を掛けさせる事になってしまって・・・・・今の私では祝福とこの衣と同じ物を授ける位しか出来ないのです」
「え?・・・・・力が足りない?今のって事は、力を得る方法が有るって事ですよね?!」
僕は彼女の言葉に一筋の光明を見出した。
ここまで読んで頂き有り難う御座います。