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コッケーが棲み付いて三日が経ったが特に問題は起こっていない。
彼等?はパトロールをするかの様に開拓地の彼方此方を二、三匹一組で徘徊しては虫や雑草を食べているので世話の必要も無い上に畑の手入れも減って助かっている。緑の怪物と恐れられていたとはとても思えないな。
お陰で開拓の方も順調で、畑の数は十分揃い水路の方も後二日も有れば完成するだろう。
水車の一号機も完成し水路に合わせて設置をし、空回しをして動作の確認も済んだ。後は水路の完成を待つばかりで、今は二号機の製作と住宅予定地への水路を掘り始めている。
「畑の方も一段落しましたし、後は溜池と水道や食料の貯蔵庫も作りたいんですよ。このまま順調に行くと狩りや採取も必要なくなるじゃないですか。人手も余裕が出来ますし、魚を捕るのに船を作るのも良いかもしれませんね」
と、キースさんに相談を持ちかけた。
「溜池は解るが水道?貯蔵庫とは如何言う物だ?いや、貯蔵庫の方は食料を入れておく所で良いのか?」
「水道は各家に水路を引くって感じですね。貯蔵庫の方なんですが、長期保存出来る様に地下に作りたいんですよ。深く掘り下げて壁を二重にして間に水路から引いた水を通すんです。こうする事で貯蔵庫内の温度を下げる事が出来る筈です」
キースさん曰く、溜池は有った方が良いだろうが川の規模からして枯れる事は無いだろうから雨季が過ぎてからで良いだろうと。水道は現状食事を纏めて作っているのでメリットを感じ無いと言うのと、各家に引くだけの水量を確保するには水車がかなり必要なのではとの事。貯蔵庫についても冬までに完成していれば良いので場所だけ確保して家を建てる為の計画を優先した方が良いだろうと言う事になった。船に関しては水車が出来次第取り掛かるそうだ。
そんなこんなでブロックの量産に人手を増やしたり、ブロックの組み方教えたりしているうちに水車の二号機と水路が完成した。
「よ~し、行くぞ~!!せええぇぇ~の!!」
ライルさんの掛け声と共に川と水路の繋がっている場所を塞いでいたブロックが外され勢い良く水路に水が流れ込んで行く。
徐々に水路の水嵩が上がって行き、水車の羽に水が当たるとゆっくりと水車が回転し始めた。
水路に水が満たされると水車の回転速度が早くなりザバザバと水を汲み上げ、畑と居住予定地へと繋がる水路へと水が流れて行く。コルト君とルイス君にリリアちゃんとネイマちゃんが水路に流れ始めた水を追い掛けて走って行った。
僕は川原から水を追い掛けて走る子供達を眺め、途中で止まる事の無い様にと見守っていた。
西の端から南へ向かいピィの柵の中を抜けて戻ってくる子供達。途中で居住予定地の水路と合流して無事に川へと水が流れて行くと皆が歓声を上げた。
「おお~!これで畑の水遣りが楽になるな!!」
「ピィの柵まで行かなくなる方が助かるでしょ!それに食事の支度や片付けもよ!!」
「皆さん、まだまだやる事は有りますが、今日の作業はお休みにして明日への英気を養いましょう」
その日は其々が自由に過ごし、翌日からは雨季に向けての建材ブロックの製作に力を注ぐのだった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




