JK-sports/競泳1
《競技者、位置について》
ピーーーー・・・
ピッ
ピッ
ピッ
ビッ!
バシャーンッ!!
■
ハッハッハッハッハッ・・・
ハァハァハァハァ
ハァ・・ハァ・・
落ち着いて来た・・。
疲れが半端じゃない・・。
普通に競泳水着で泳ぐ何十倍も疲れる・・。
夏服だけど、ブラウスとキャミにかかる水の抵抗が半端じゃない・・。
それに、何よりも・・水を吸い込んだパンツが脱げそうで脱げそうで・・。
着衣泳を経験する前は、『そんなに疲れないだろう』と舐めていた・・。
けど、実際にやると・・たまったもんじゃない・・。
考えた奴は、ホントに、バカよ・・。
だいぶ息が落ち着いた・・。
「私、なんで こんなバカなコトやってんの・・・」
■
小学校から、部活はずっと水泳部だった。
入るキッカケは、『泳げなかった』から。
そして、『田代君が居たから』。
水泳の授業で、泳げる女子がカッコ良かったの。それに比べて、私は溺れて もがいている様なブザマさ。
そんな私に先生がビート板を勧めてくれて・・苦しいだけだった水泳は、とりあえず前進は出来る水泳に変わった。
プールの端のコースで ゆっくりとバタ足をする、そんな私の目に田代君が映った。
田代君と友達達数人のグループは、プールの真ん中の方・・泳げる生徒達の中に居た。
当然、その中には女子も居て・・私なんか近寄るコトも出来ない、そんな遠さに対しての劣等感がすごかった。
私も田代君と話したかった。
田代君の腕に無邪気に抱き付いてみたかった。
泳げたら、私もあそこに居れるんだ・・。
生憎と、うちは水泳教室なんかに通える程の余裕なんか無くって。
生憎と、授業くらいしか泳ぐ機会が無くって。
生憎と、4年生に進級したら田代君と別のクラスになって。
そんな私に、4年生からの部活の義務が突き付けられた。
特に趣味も無くって、そんな私が偶々見下ろした窓の下、プールが見えた。
水泳部が練習していて、プールの周りに見学者がいて、そんな中に居た男子の一人に目が釘付けになった。
田代君・・。
走った。
プール目指して、ただ走った。
途中、先生に注意されたけど、何を言われたのか、何も覚えてない。
プールに着いた私は どんな感じだったんだろう。
息が苦しい。
心臓がバクバクいって、うるさい。
クラクラする視界で、田代君を探した。
居た・・。田代君・・・。
■
制服の痛みが早い。
カルキの効いたプールで着たまま泳ぐからだとは思う。
普通の制服に見える様に作ってあるとはいえ、あくまで縫製は制服のままだ。
素材も日々研究されてるとはいえ、普通の制服に見えるのが大前提だから、先は遠そうだ。
少なくとも、私がJK-sportsの選手でいられる内には無理だろうなぁ・・。
んー・・・チクチクする。
処理は最低限度に抑えないといけないとはいえ、長さを整えられた陰毛の先がチクチクする。
あの頃が懐かしい・・。
競泳水着の下はツルツルに剃り上げていたのだけど。
JK-sports競泳に於いては、陰毛処理は ほぼ禁止と契約で決められている。
水中でスカートが舞い上がった際に、パンツから透ける陰毛。
脱げかけたパンツからはみ出した陰毛。
それらはJK-sports競泳で大事な演出らしい。反吐が出る。
コンコンッ
軽いノックがして、ディレクターが入って来た。
彼女は、元JK-sports選手でもある。
真新しい制服を持ってるというコトは・・・。
「・・・また?」
「うん・・ごめんね・・?
でも、お金にはなるでしょ・・?」
分かってるわよ・・。
「今行く・・」
「うん・・」
JK-sportsでは、希望すれば、試合直後の選手の制服を買い取れる。
脱いで、スタッフ経由で渡すのが規定だけど、それより稼ぐ方法があるの。
買い取り希望の人が座る椅子の前・・スタッフが警護している後ろで、肩から下くらいが隠れる微妙に透けたカーテン越しに全部脱いで渡すの。
全部ってのは、もちろん下着まで含めて。
この場合、ただ脱いでスタッフ経由にした場合の倍額になる。
お金になるから、みんなガマンして そっちを選ぶ。
別に、身体を売ってる訳じゃなし・・、気色悪いのをガマンするだけだ。
まぁ・・バレない様に『売り』してる子もいるけど。
私の脱ぎたてのパンツを口に含むオッサンに吐き気がするけど、金になるんだからガマンだ・・。
「また、応募よろしくお願いしますねー♪」
笑顔が歪んでないか不安だ。
■
ほとんど泳げなかった私も、5年生になる頃には そこそこ泳げる様になっていた。
ほとんど泳げなかった私と、元々泳げていた田代君。
差が縮まったとは思えなかった。
クラスも違うクラスだし。
でも、今年は隣のクラス・・♪
それに・・同じ部活だから、毎日放課後には会える。
あと、少し胸が大きくなった気がする。
気のせいかもしれないけど、早く大きくなって欲しい・・♪
部活仲間と遊びに行く時も、出来るだけ参加した。
田代君がいない時も多かったけど、女子の付き合いも大事だ。
それに、私が田代君を好きなコトはバレバレの様で、応援してくれる子もいた。
田代君がいる時は、すっごく大胆なコトだってしちゃったんだから・・!
男子がパンツが好きなコトは知ってる。
普段からヒラヒラしたスカートを履く様にして、田代君の前では さりげなく見える様にした。
チラチラ見ていても、その様子は丸分かりで可愛いと思う。
良いんだよ・・田代君。私のパンツ見ても・・私のパンツだけなら、見ても良いんだよ・・?
■
「田代君・・」
私は、貴方とずっと一緒よ・・。
これまでも、これからも・・ずうっと・・離れないから・・。
当初、1話ごとの読み切り短編の予定でしたが・・1話1万文字くらいになりそうだったので、分割しました。
多分、群像劇になりそうです。
ただ、群像劇ってよく分からないんです・・(;´д`)