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黒い音楽教室  作者: marron
4/20

4■ダンディ×ダンディ

大学・大学院時代のお話し。

流血します。スプラッタが苦手な方はお気を付けください。



音大と言えば、音楽界と言えば、芸術家と言えば、あの人種である。

ダンディなH先生(前回出てきた女好きのH先生とは違うH先生)は、ダンディなI先生と暮らしている。


どういうわけか、音大には同性愛者がわりといる。あんまりにも普通に見かけるので、世の中には同性愛者という存在があまりいないというのに慣れていない。

男の恋人がいる男の先生。男同士で暮らしている男の先生など、全然珍しくない。

彼らは特に隠して暮らしているわけではなく、目に映る男性全てを愛しているわけではなく、自分のパートナーを大事に、普通に暮らしているのである。普通の異性愛者と何も変わりはない。


そういう意味では、あの女好きな先生のほうがたちが悪い。


ところで、ダンディなH先生は本当に超ダンディである。

ものすごくダンディすぎて、ついつい目で追ってしまうほど。カッコいいのである。

ちなみにお二人とも、いつもアルマーニなどのスーツをビシっと着こなしていらっしゃる。

そのうえ、H先生は口ひげがすっごくお似合いで、かなりのイケボ。



ある日、大学の大階段でH先生が転んだ。

「きゃー、先生大丈夫ですか!」

と、群がる女生徒たち。

見ると、先生の膝の皿がぱっくりと開き、血がダラダラ流れていた。(勿論ズボンも切れていた。どういう転び方をしたんだ・・・)

「きゃああー大変!」

「先生の脚がー!」

さすが女生徒。騒ぐ騒ぐ。絹を引き裂く悲鳴が大階段前に響き渡った。先生の前には血だまりができ、具合が悪くなる生徒もいた。本当に大騒ぎだった。


その中で当事者のH先生は膝を押さえて

「君、落ち着いて」

と、超ダンディな声で女生徒を静め

「君、すみませんが、救急車を呼んでください」

と他の生徒に指示。

うわあ、H先生、なんて冷静。なんてダンディ。


その素敵ボイスでその場を収め、静かに救急車に乗って行ったのであった。

ところで、そこにパートナーのI先生が呼ばれて

「きゃあ、いやだあっ、もおっ」

と、一緒に救急車に乗って行ったが、I先生も落ち着いていた。

素敵な先生たちだなあ。



と書いたところで、急に思い出した。

私はI先生とほとんど話したことがないのだけれど、ある日真っ赤なコートを着ていたら、急にI先生が私のところにやってきた。そして

「あら、アナタ。素敵な色のコートじゃなぁい」

と褒めてくださった。

ダンディなお顔で、その言葉づかいだったので、かなり驚いた。





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