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黒い音楽教室  作者: marron
3/20

3■手が出る

オペラ関係の話です。


手が出る先生がいた。

いつのなんの先生と言うと、分かってしまうので細かいことはここでは話せないのだけど、オペラを作るうえで必要な先生である。

通し稽古では、指揮者、演出家などの先生が前に座り、私たちの演技を見て指導するわけだが、それは学生時代でもプロになっても同じ。

その、前に座っているH先生は、とにかく手が出る。


私たちが歌っていると、

「下手くそ!」

と言って、手元にある物をなんでも投げつけるという、手。

怖いんだってばー!

ペンのような軽い小物ならばまだ良い。(良くないけど)

灰皿になると危険である。それを避けるわけにもいかないので、当たってしまったらグッと我慢するしかない。

時々隣の人が怒られているのに、違う人にぶつかってしまうこともある。

怒っているためコントロールは期待できない。


稽古にH先生が来るという日は、それを聞いただけで痩せ細りそうなほどに怖くて緊張した。

(安心してください、痩せてません)



そして、H先生の手の出るところはそこだけではない。

オペラ公演が終わり、打ち上げなどに行くと、好みの女性に手を出すのだ。

げっ。

その先生に嫌われると次の仕事はない。次に役をもらうためには気に入られたいという歌手の弱み(?)に付け込んで、結構やりたい放題である。


打ち上げの席で、H先生の隣に座りたがる女性歌手たち。

トイレに立つとき、その後ろ姿を見たら、H先生のお手がお隣の女性歌手の背中やお尻をなでなでと。(勿論このあとお持・・・)


うげ~!


そうまでして次につなげたいか!?

私は嫌われるのはイヤだけど、好かれたくもないので大人しくしていた。

こういう時、目立ちたい人、好かれたい人がいる陰で、絶対に目立ちたくないと思っている私のような人間もいるのだ。

だって目を付けられたら大変だから!断れないから!


おっと、取り乱した・・・

汚い世界だと思うかもしれないけれど、実際こういうことは(あまりないけど)時々ある。

目にしてしまうと、ゲーっとなる。


ちなみにH先生は悪い人じゃない。

オペラを創り上げる上で、気に入った(女性)歌手だけを贔屓して、その他の歌手を虐めるというようなことはしない。

先生によっては、贔屓でない歌手に嫌がらせをする人もいたりする中では、H先生はまあ、節度があると言うか、公演に対しては熱心だと思う。


それに色んなところで活躍していて、門下生からも絶大な人気を誇っている。

普段は厳しいけれど面倒見がよく、素晴らしい音楽家を育てている。

そして何よりイケメンである。

そのイケメンが色んな方面で災いしている気がしないでもないが、本当は良い人なのだと思う。



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