19■譜めくリスト
音楽界の一般論。個人的には大人になってバイトをして。
ピアニストがコンサートをするときは、楽譜を見ないで弾くけれど、歌の伴奏などでは楽譜を見ながら弾く。
歌の伴奏は難しいうえに、楽譜を見ておくとイザという時に役立つ。
あまりないけれど、歌い手が歌詞を忘れたときに、教えてくれたりすることもある(らしい)。
楽譜を見て弾くということは、長い曲の場合、「譜めくり」というのが必要になってくる。
ピアニストが弾きながら楽譜をめくるのは難しいが、できなくはない。
むしろ、普段は自分でめくって練習しているのだから、やろうと思えばできる。
そんな譜めくりのスキルの高いピアニストでも、伴奏をする時には「譜めくり」を誰かに頼むことが多い。
自分でめくれても、頼む。
舞台の上で、楽譜が飛んでしまうこともあるし、めくった拍子に楽譜が落ちてしまうこともある。
うまくめくれないこともある。
そんなことを想定して、一応譜めくりを頼んでおく。
実際、私は楽譜を落としてしまったことが何度かある。
落ちかけた楽譜を左手で押さえながら、右手だけでピアノを弾き続けたこともあるし、落ちてしまった楽譜の中身を思い出しながら、適当に弾いたこともある。(すみません)
譜めくりは誰でもできるわけではない。
楽譜が読める人でなければならない。
舞台にあがるので、静かにジッと気配を消して座っていられる人に頼む。
譜めくりを専門に仕事にしている人もいるくらい。
そういう譜めくりのプロのことを「譜めくリスト」と呼んでいる。(日本語の造語です)
さて、ある声楽のコンサートで、私が譜めくりになったことがある。
それはオペラ団体のコンサートだったので、所属している私にバイトの話が来たのだ。
知っている曲だったし、いい勉強になるのでOKをして、舞台に乗った。
ところが、その日、私はメガネを持っていくのを忘れた。
私は目が悪い。
だけど、普通舞台に立つのに眼鏡をかけない。それでうっかり忘れてしまったのだ。
当然、楽譜が見えない。
しかも、舞台の上は結構暗い。変な風に照明が当たっていて、妙に楽譜が見えにくい。
見えない・・・
見えない・・・
そろそろかな・・・
と、勝手に楽譜をめくったら、ピアニストに
「まだですよ」
と静かに怒られた。
ピアニストは曲をだいたい覚えている。
だから問題はなかったけれど、いきなり全然関係ないところで私に楽譜をめくられて、さぞや驚いたことだろう。
ピアニストのAさん。その節は大変失礼しました。
その後何度かAさんに伴奏をしてもらっているけれど、申し訳なくて辛い。
楽譜をめくるというのは、ページをめくることです。
ピアノ→ピアニスト、
譜めくり→譜めくリスト(という造語)
「めくる」「めくり」と何度も書いていたらゲシュタルト崩壊を起こしましたw