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黒い音楽教室  作者: marron
17/20

17■チケットノルマ

音大時代から現在に至るまで。



舞台ごとの世界の中で、一番辛い言葉。

それは「チケットノルマ」だろう。

え、違う?

いやいやいや~、そうでしょ。


チケットノルマのある舞台は多い。

舞台にでるからには、チケット(入場料)がある。

このチケット、何もしなくても売れるわけではない。

勿論、売れっ子の歌手やピアニストならば、わざわざ宣伝しなくたって、パパパっと売れてしまうのかもしれない。

だけど、名もない私のような歌い手が出る舞台のチケットを誰が買ってくれるんだ!


舞台のマネジメントをしてくれる会社で売り出してもくれる。

とはいえ、売り込むのに一番良いのは、出演者が直接売り込むこと。

「今度、この舞台に出るので、良かったら」

と、チケット販売をする日々。


これがねー。

一生に一度なら良いよ?

それくらいなら来てくれるけれど、年に一回以上あったら、みんな来れないって。

売れないって。


だけど、やらなきゃ売れない。

めぼしい親戚、知人、友人を総動員するわけだ。

で。なんとか体裁を整える。

舞台にもよるけれど、ギャラがまるまるチケット収入ということもある。


そうでなくとも、「チケットは最低10枚は売ってくださいね」という舞台もある。

これがチケットノルマだ。

10枚預かって5枚しか売れなかったら、あとの5枚分は自腹なのだ。

持分が10枚ならまだ良い。場合によっては30枚とか言われるともう涙目である。

なんて恐ろしいチケットノルマ。


それよりも、ノーギャラでチケットノルマなしの舞台の方がなんぼか気楽だったりする。



さて、ここまでは自分が出演する場合のチケットノルマの話し。

ここからは、自分の師匠のこと。

たいていの場合、師匠も歌い手である。師匠の舞台もあるのだ。

その場合、先生は「じゃ、5枚、お願いね」と門下生にチケットを託す。


これも結構、いや、かなり苦痛である。

先生は「無理しないで、売れなかったら戻してね」とは言うが、そのままなんて戻せませんって!

日頃お世話になっている師匠の歌声が拝聴できる素晴らしい機会ではあるが、そのチケットを売るとなるとなかなか難しい。

学生のころは、よその門下の友だちとチケット交換をしていた。

自腹を切っても、お客さんが来ないというのは避けたい。そうなれば、よその先生のを私が聞きに行き、友だちにはウチの先生の舞台を聞きに来てもらう。


こういうやりとりが、音大ではなされていたりする。

5枚自腹とはいえ、他の先生の舞台も拝聴できて、とても勉強になるのだ。(涙目)





先生にバレたら大目玉だ。

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