2・ギルド
歩き出して30分ぐらいが経ち、ようやく街についた。
「ミスチー、この街の事について知っていることはあるか?」
「何回もいいますが、私は境の道で死んだ人たちを案内してただけなのでこの世界については何も知りません。」
・・・こいつ本当に使えねぇ。
まぁマイナスレベル100の俺が思う事じゃないんだが。でも街の看板や文字を見る限り日本語ではないんだが何故か読める。
・・・深く考えないことにしとこう。
とりあえず俺は近くにいた20代ぐらいの若い男に声をかけた。
「あの、すみません。この街に冒険者などが集まる場所ってありますか?」
「あぁ、ギルドの事をいってるのか?それなら街の中心にあるぞ。このまま真っすぐ行くとギルドだ。それにしても、お前ら珍しい格好してるな・・・。」
そう言われてふと気付いた。周りの街の人達を見てみると、いかにも冒険者みたいな服装だ。
それに比べて俺の服装と言えば黒のジャージだ。横にいる役立たずの神様の服装はアニメで見る女神みたいな服装だ。
でも今は服装の事は後にしてまずはギルドに行くことにしよう。
俺は若い男に礼を言うとギルドへ向かった。
「よくコミュ症の人が、人に話しかけられましたね。」
ギルドに向かいながら歩く途中ミスチーがそんなことを言い出した。こいつの喋り方は敬語なのかタメ口なのか分からないが、いちいち言う事が腹立つ。ていうか何で俺がコミュ症という事を知っているんだこいつは。
「お前こそ死者を案内するお前がこの異世界の事を何も知らないとかおかしいんじゃないのか?
どうせ俺みたいに死んだ奴等を適当に異世界に放り込んでたんだろう?」
「・・・・そ、そんなことないですよ?」
図星だな。俺が知っている神様のイメージとはかけ離れた存在だなこいつは。
そう思ってると、ふと疑問に思った。
「なぁ俺みたいに死んだ奴らって全員この異世界に行ってるのか?天国とか地獄とかあるのか?」
「いや、天国とか地獄とかはありますよ?ただ、あなたはゲームが好きなクズニートと情報にあったのでこういうモンスターがいたり魔法を使える世界で転生した方がいいかなと思いまして。」
「おい、クズニートはやめろ。自覚してるけど言うのはやめろ。」
そんな事を言いながら歩いてるとギルドらしき建物に着いた。
見る限り二階建ての大きな建物だ。さすが街の中心にそびえたってることはあるな。
入口らしき扉があったので入ってみた。
「これがギルドか・・・!」
建物中に入ると、そこはゲームで見たような光景がひろがっていた。
冒険者と思われる人が大勢いてテーブルとイスがいっぱいある。その奥には受付カウンターと思われるものがあった。
俺は受付カウンターの所に行き、受付の女の人に話しかける。
「あの、俺達まだなりたての冒険者なんですけど、このギルドについて何も知らなくて・・」
「そしたらこのギルドについて説明します。まずこのギルドの1階は仲間の募集や、依頼されてるクエストを受ける場所になっております。2階は装備品や冒険に役立つアイテムなどを販売してる店があります。」
「なるほど、ありがとうございました。」
ここのギルドは大体分かった。そしたら2階に行って装備品を買わなければ。
いや、でもお金がないな・・・。
そんな事を考えているとミスチーが小声で俺に話しかけてきた。
「なんか私たちジロジロ見られてるんですけど・・。」
そう言われてあたりを見渡すと、周りの人たちが俺たちをチラチラ見ていた。
・・・理由は分かる。ミスチーの服装は大丈夫かもしれないが、そりゃあ黒のジャージ姿の俺の服装がこの世界ではおかしいんだろう。
とにかく装備品を買うことを優先するか。
でもその前に受付の人に一つだけ確認しておきたいことがある。
「モンスターとかは倒すと金とかドロップするんですか?」
「金・・?あぁ、ゴールドの事ですね。モンスターを倒すとゴールドをドロップします。モンスターのレベルが高いほどドロップするゴールドの量も増えますよ。」
この世界のお金の単位はゴールドらしい。
あとモンスターのレベルも知っておくべきか。
「この街の周辺のモンスターの平均レベルは・・?」
「この街の周辺にいるモンスターの平均レベルは1~20レベルぐらいですかね。この街は駆け出しの冒険者が集まるところですから。」
ということはこのモンスターを倒してお金を手に入れるしかないのか。
でも-100のレベルの俺とレベル1の自称神様が果たしてモンスターを倒せるのだろうか。
・・・無理かもしれないが俺は仲間の募集をすることにした。