仕組まれた再会
「こーらーーー!!待てーーー!!」
「冗談じゃないぞ……」
ノーマの手を引き逃げ回るミコトを無尽蔵のスタミナでシズカは追い続ける。
どれだけ距離を離し隠れようとしても、必ずと言っていいほどにミコトの場所をピンポイントで特定して来た。
逃走劇が始まって一時間、逃げては見つかりの繰り返しでミコトの精神的疲労はピークに達していた。
細い路地をぐるぐると回り大通りに出ようとした、その瞬間、
「キャッ!?」
「うわっ!?」
目の前に現れたフードを被った女性にぶつかってしまった。
と、その衝動でその女性のフードが取れる。
そこに現れたのは意外な女性だった。
「え……ミレイ?」
「ミコト、君?」
あの日以来一回も会っていなかったミレイだった。
あの後、保健室に戻ったとき、すでにミレイは消えていた。
心配していたのだがミコト自身も病院に閉じ込められていたので情報自体がそもそも入ってこなかったのだ。
「良かった! 本当に良かった……」
ミレイは泣きながらミコトにしがみついてきた。
多分あの時、自分のせいでミコトが死んだのかもしれないと思っていたのだろう。
だが、今のミコトにはそれをどうこうする余裕がなかった。
「あの、ミレイ? ごめん、今ちょっと……」
「ミコトーーーーー!!」
「追われてるんだ、だからまた今度……」
そう言って逃げようとする、ミコトの袖口がミレイに掴まれる。
「え、ミレイさん?」
「……こっち」
その手に引かれるがままミコトとノーマは曲がってすぐのところにある店に逃げ込んだ。
店内はどうやらカフェらしく、個室もあり隠れるのにはうってつけだった。
さらに幸運なことに、客は一人もいない。うってつけの隠れ場所である。
連れてきたミレイは店員と何か話している。
と、会話が終わったのかミコト達の元に来たのだが、どことなくその顔は悲しそうな顔をしていた。
「とりあえず奥の個室を借りれたからしばらくは大丈夫だと思う。店員さんにも追っ手が来たらいないって言ってもらえるようにしたから……」
「ありがとう助かったよ……」
「じゃあ、とりあえず話は奥の個室で……」
ミレイに促されるままに奥の個室へ入っていく。
中は昼食の時のよりも広く、どちらかと言えば料亭の個室が少し小さくなったような感じである。
ミコトの隣にノーマ、その対面にミレイという形で座った。
隣にいるノーマは走り疲れた、というよりかはヒールで走ったことにより少し足を痛そうにしていた。
「で、まず聞かせて欲しいんだけど……その人は?」
「えっと……」
「この前ミコト君に助けてもらった時も居た気がするんだけど……」
「……この人はまあ、俺の命の恩人だよ。ノーマって言うんだ。この街にまだ来たばかりだから俺がお礼に案内してる途中」
「ふーん……」
ミレイはあまり信じていない顔をしていたがどうやら納得してくれそれ以上は追求してこない。
だがここでミコトも聞き返す。
「ミレイこそあの後どうしてたんだ?」
「それは……」
そう言うとミレイは俯いてそれからを語らない。
どうやら言いにくいことらしく、ミコトもそれ以上は追求しなかった。
「まあいい、こうして無事ならそれで良かったよ。あの後俺もずっと病院にいたから心配だったんだよ」
「そう、なんだ……」
その言葉は嬉しさというよりも申し訳なさを感じさせるような言い方で、ミコトは少し首をかしげる。
だが、次に口を開いたのはノーマだった。
「……一つ聞こう、お前は今まで何か自分の中に違和感などを感じたことはないか?」
「違和感?」
「魔力が他の人のそれとは少し違うと思ったとか……」
ミレイの顔がハッとなる。多分それはノーマが指摘したことが間違っていないことを意味しているのだろうう。
「……私の魔力は王家の中でも異質で、それが私が王家を嫌う理由の一つでもあったの」
「異質?」
「王家の人々は先天的に普通の人よりも魔力が多いの。それ故に国民は王家には逆らえないし、軍の司令とかも王家の人間ばっかり。……でも私の魔力は ”異質” だった」
ミレイは王家の人間であることをもう隠そうとはしなかった。
だがこの話はミレイにとっても話したくないことであることは、この雰囲気でミコトにもノーマにも悟ることができる。
だがその重い口を開きミレイは語り始めた。
「私の魔力は王家の人間の倍以上、人間ではありえない容量があるらしいの。そして、その魔力の中身も誰も見たことのないものだった。研究所の人々もこんなことはありえないって言っていた。でも現実にそうなんだから認めざるをえない……」
「……」
「私の魔力は国を簡単に滅ぼしかねないとされ、私は匿うと言う建前で幽閉された。王家の人間は口々に私をこう呼んだわ、”化け物” って……」
「っ!?……」
ミレイはが抱えていたものの重さが聞いているミコトにも一気にのしかかってきた。
「結局のところ私が学園に来たのもそれを制御する術を学ぶため。学園でも私は常に監視されている、この前の襲撃は誤算だったみたいだけどね……」
「……今日は大丈夫だったのか?」
「今日は昔お世話になった教会への参拝の日だから特別なの。まあ、どこかで監視はされてるだろうけど……」
「学園はどうなるんだ?」
「それは大丈夫、もともと学園に来たのは学ぶためだったから最低でも三年は居れることになってるの」
「そっか……」
ミコトは少しだけホッとした。
それはミレイという存在がミコトの中ですでにかけがえのないものになっているからだろう。
「……ところで、ノーマさん?だっけ、あなたはあの時何故あそこに?」
「ん? それはミコトの隣が私の……」
「わーーーーー!!」
慌ててミコトはノーマの口を防ぐ。
ノーマが言おうとしていたことは大体理解できる。
だがそれを言ってしまうとミレイに誤解を招きかねない。
それ故の行動であったが、ミレイは首をかしげている。
「あの時は、その、ノーマがこの街に来たばっかりで間違って学園に入ったところにバッタリ出くわしたんだ。その時に助けてもらったってわけ」
かなり苦しい言い訳なのでノーマに話を合わさせるために念話で上手く合わせるように伝える。
ノーマはミコトの方を向き一度頷くと、
「ああ、地上は久しぶりで間違って学園に入ったらミコトが危機に陥っていてな、ほんの気まぐれで助けたというわけだ」
若干おかしい部分はあったものの、ミレイは納得したらしかった。
この話題を話し続けるといつかボロが出てしまうと思ったミコトは話を切り替える。
「そ、そういやミレイは教会に行かなくていいのか?」
「それは午前中に終わってるの。で、街を見て回ってたらミコト君にバッタリぶつかったんだけど、誰に追われてたの?」
「それは……シズカだよ」
「シズカ? ……って、生徒会長!?」
「恥ずかしながら……」
学園では生徒会長であるシズカは周りからも品行方正で憧れられる存在である。
ミコトとしても自慢の姉ではあるのだが……
一番困っているのはミコトに対する ”愛情” であった。
確かに血は繋がっていないが、シズカのそれは度が過ぎている。
それが現在のミコトの悩みの種の一つでもある。
「そうだったんだ。ちょっと意外かも」
「だから本当に助かったよ、正直ノーマの足も結構キツそうだったからさ……何かお礼をしなくちゃな」
「別にそんなのいいよ、私もこの前は助けられたんだし……」
「それでも、さ。何か無いか?」
「だったら……」
ミレイの顔が先ほどのように俯く。
だが、その顔は先ほどとは違ってほのかに赤くなっている。
ミコトが首を傾げていると不意に、
「私の……私の ”彼氏” になってほしいの!!」
「……え?」
「だから、その……付き合ってほしいの!!」
そう言ってまた顔を下に向ける。
その顔は沸騰しそうなくらいに真っ赤になっている。
「えーと、どういうことかな?」
「恥ずかしいから何回も言わせないで。今だってあまりの恥ずかしさに死にそうなの……」
「いやいや! 言っている言葉は理解できるんだよ。俺が聞きたいのは何故? ってことなんだ」
「それは……」
と、ミレイは頭の中で自分が言ったことを思い出す。
そして自分の言葉が足りていなかったことを理解し、またもや顔をミコトから逸らす。
「ごめん!! 言葉が足りてなかった……」
「どゆこと?」
「彼氏ってのはその…… ”彼氏のフリ” をしてほしいってことなの!」
「はぁ……」
「ダメ、かな?」
ミレイは少なからず一般から見ても可愛いと言える女の子である。
そんな女の子が涙目でしかも上目遣いで頼んできているのだ。
断れる男子などいるはずがなかった。
「と、とりあえずお願いのことは分かったけど、一ついいかな?」
「な、なに?」
「理由、それを聞かせてほしい」
「そそ、そうだよね! うん分かった、話すよ……」
大きな深呼吸をしミレイは真剣な眼差しになる。
「……さっきも言ったけど私には常日頃から監視がついてるの。姿は見えなくても必ず何処かから監視されてる。で、ここからが本題なんだけど、監視がってことは外敵が近寄ってくると排除するってことにもなる。それは学園にいるときだって例外じゃない……」
ミコトにはだんだんと話が読めてきた。
おおよその予想はついたがミコトとしては受け入れ難い話になってくる。
「……でも私自身学園でそういう面倒ごとにしたくないの。平穏な生活を送りたい、ミコト君と話したり、友達を作ったりして当たり前の日常を送りたいんだ。……その、失礼かもしれないけどミコト君って軍の人、だよね?」
「っ!……」
バレていないはずがなかった。
あの時に着ていたミコトの服は制服ではなかったし、そもそもミレイには何日か学校には来れないと言っていたのだ。
頭が冴えた人間なら気づいて当然だろう。
「ごめんね! 気に障ったなら謝る……私も監視についてはやめてほしいって言ったんだけど、危険だからって跳ね返されて。だからその役目をミコト君に変わってほしいの!」
ミレイは心の底からお願いしているのだろう。その必死さは言葉とその涙が物語っている。
ミコトとしても受け入れたいのは山々だったが、そうできない理由があった。
「……二つ。まず俺は軍を抜けたんだ、まあまだ手続き自体は終わってないと思うがな。それともう一つ、何故彼氏のフリなんだ?」
「それは……実はもう被害者が出てて。裏で揉み消してなかったことにはなってるんだけどこれ以上起きて欲しくないの」
「被害者って……まさか入学初日に誰か襲ってきたのか!?」
「ううん、勘違いから起こった事故だったの……」
「勘違い?」
「実は初日にね、私に告白してきた人がいたの。ただ告白するだけならよかったんだけど場所が悪くてね……」
「場所? てか告白って早すぎだろ……」
一目惚れというのは誰にでもあるものだとは思うが、それにしても出会って早々に告白とは相当な強者である。
「勘違いしないでね!? ちゃんと告白は断ったから……」
「わ、分かってるよ! それで?」
「場所が体育館裏だったの。でも、それを誘拐と勘違いした監視の人が間違ってその人を気絶させちゃって……」
「あー、なるほど……」
「私自身今は誰ともそういう仲になるつもりはないからこれ以上被害が出ないようにミコト君に彼氏のフリをしてもらいたかったんだけど……」
「そうか……」
ミコトが悩み始めたその時今まで静かだったの隣からおぞましいぐらいの気配を感じた……
(まずい!!……)
素早く念話で止めようと思ったがすでに遅かった。
「……ふざけるな。何故貴様ごときのためにミコトがそんなことをしなければいけない! そんなくだらないことのために私のミコ……」
先ほどよりも素早くノーマの口を塞ぐ。
それでもノーマはその手を振りほどき言おうとするがミコトは断じて離さない。
だが、そんな時ノーマからの念話がきた。
『おい、ミコト! 何故止める!?』
『いいから落ち着け! 訳は後で話すからここは静かにしておいてくれ……』
『……分かった』
その言葉を聞くとミコトはゆっくりノーマの口から手を離す。
それを見ていたミレイは何をしているか理解できていないようだった。
「……すまない見苦しいところを。でだ、彼氏のフリについては分かった。だが、さっきも言った通り俺は軍を抜ける」
「そうだよね……ごめんね無理なお願いして……」
「まあ聞いてくれ、抜けるとは言ったがまだ抜けてないんだ。だからこれを ”最後の任務” にしようと思う」
「えっ?……」
ミコト自身もう戦いには関わりたくはないと思っていた。
だが、ミレイが依頼しているのはあくまで抑制にすぎない。
近くにいるだけでいいのだから今までの任務に比べればはるかにリスクは少ないはずだ。
「いいよ、その依頼受ける。その代わり監視の件についてはミレイがうまく言っといてくれよ?」
「ミコト、君……ごめんね、本当にごめんね……」
そう言うミレイは大粒の涙をポロポロと流しながら泣きじゃくっていた。
ミコトはそこまで泣かれてしまうとは思っておらずノーマに助けを求めようとしたがご立腹のノーマは知らんぷりをしている。
「ま、まあミレイ俺自身も大したことはできないしそういうのにも慣れてないからの正直不安だけどやれるだけのことはするさ。だからもう泣かないでくれ、な?」
「うん……」
やっと泣き止んだミレイはミコトの顔を見るといつも通りの微笑みを浮かべた。
ミコトはその笑顔に少しだけ違和感を感じたが気のせいだと思い気にしないようにした。
「……じゃあそろそろ時間もいい頃だし俺たちは失礼するよ」
「私もそろそろ戻らないと。あっ、ここは私が出すから」
「いやそれは俺も……」
「依頼料ってことで、ね?」
ミレイはさっきの表情とは打って変わり、小悪魔のような顔をしていた。
その顔は初めて見るミレイの一面でドキッとしてしまう。
と、同時におぞましいオーラが隣で大きくなるのを感じ背筋が震える。
できる限り後ろを振り返らないようにレジまで歩いていく。
だが店内は入ってきた時と変わらず客は一人もいなかった。
不思議と思いながら見渡している間にミレイは会計を済ませている。
店員に見送られながら外へ出ると入ってきた時よりも日はだいぶ傾いていた。
「じゃあここでお別れだね……」
「ああ、次会う時は学校かな?」
「うん、これからもよろしく」
「ああ、こちらこそ。それじゃあな」
「今日はありがとう。ノーマさんもまた機会があったら」
「ああ……」
ノーマは素っ気なくただそれだけ言うとそっぽを向いた。
ミコトはそんなノーマに呆れ笑いしながらもミレイに手を振り見送った。
ミレイの姿が人混みに見えなくなったところでノーマに語りかける。
「……ノーマ、さっきの依頼だがどうにもきな臭い」
「分かっている。それを知った上で受けるのだからお前は相当なお人好しだよ」
今度はノーマが呆れ笑いをする番だった。
ミコトは初めからミレイの依頼について疑っていたのだ。
無論、ミレイを信じていないわけではない。
信じているからこそミレイの嘘を見抜くことができたのだ。
「どうやらこの依頼簡単には終わりそうにはないな……」
「いざとなったら私も手助けするさ、不本意だがな」
「……すまない、迷惑をかける」
「なに、気にするな。さっきは言わせてくれなかったが私のいる場所はいつだってお前の隣だ。たとえこの国が相手になろうとずっとお前の味方だ」
「そう、だな……ありがとう、その言葉に俺はいつだって救われるよ」
「じゃあ何かお礼を期待しないと、な?」
「……分かってるよ、もう少し街を見て回ろうか」
ミコトはノーマの右手を取り歩き始める。
不意なことにノーマは驚くが、嬉しさに頰を緩めると少しだけ引かれるように歩き始めた。
その後、道具屋、アクセサリー屋、クレープ屋など様々店を見て回り、気づけば日は山に沈んで行こうといていた。
ミコトとノーマは最後にこの街を見渡せる公園に向かっていた。
公園は展望台となっており、そこまでには長い階段を歩いていかなければいけない。
と、階段の前まで来たところでミコトはノーマの手を離しノーマに向き直った。
「なあノーマ、大丈夫か?」
「ん? 何がだ?」
「隠すなって。足、やっぱり履き慣れてないから痛いんだろう?」
「そんなこと……っつ!?」
隠そうとするノーマの足をミコトは軽く触れる。
その部分は真っ赤に腫れており見るからにいたそうである。
「ごめんな、無理してたんだろう?」
「こ、このぐらいなんともない! そもそも私は人間ではないんだぞ?この程度……」
「はいはい、分かったって。いいからほら?」
ミコトはノーマに背を向けその場にしゃがむ。
何を促しているかはノーマにも分かった。
だが、理解はしていてもいざとなると恥ずかしいのだ、それ故にノーマは戸惑っている。
「あ、う……」
「今日はデートなんだろう? じゃあ彼氏のいうことには従うものじゃないのか?」
「……分かった」
ミコトからはノーマの顔は見えないが多分赤くなっているのだろう。
と、背中に暖かい重みが乗ってきた。
その重さは思っていたよりも軽く、そして何より暖かかった。
それよりも困ったのは背中で押し潰されているノーマの胸だった。
最初に会った時から思っていたが、ノーマはスタイルも良く出るところは出ているので、その感触は布越しでも十分に伝わってきていた。
その感触に理性を保ちながらも一歩一歩階段を上っていく。
「……ノーマ、今日は楽しかったか?」
「ああ、色々あったが退屈しない一日だったよ。様々な発見もあったしな……」
「そうか……」
「何より……」
急に耳元に暖かい吐息が吹きかかった。
少しのこそばゆさと大きな羞恥心がこみ上げてくる。
「お前と一緒にいれた一日ということが私の中では一番だったよ……」
あまりの殺し文句にミコトは一瞬気を持っていかれそうになる。
このままではノーマのペースに持っていかれかねないのでミコトは歩くペースを上げる。
その途中もずっと耳には暖かい吐息がかかっていたができる限り気にしないようにしていた。
五分ほど足早に歩き続けやっとの思いで展望公園までついた。
「おーいノーマ、着いたぞ」
「……」
「……ノーマ?」
「すー……」
どうやらノーマは寝ているらしかった。
だが、このままでもさすがにミコトもきついので近くにあったベンチにノーマを座らせ、その隣にミコトも座った。
目の前にはノーマに見せるはずだった美しい夕日があった。
「……また今度でもいいか」
ミコトの肩にコテっと柔らかな髪が押し付けられる。
そこには、気持ち良さそうに眠るノーマの寝顔があった。
顔にかかった長い赤髪を優しく触れると、甘い香りが風と共にミコトの鼻孔をくすぐる。
「そうだった……」
不意にミコトは思い出したようにポケットから小さな箱を取り出す。
その中身は、ルビーが埋め込まれたネックレスだった。
それをノーマを起こさないようにゆっくりと首につけてやる。
真っ赤な髪に真っ赤なルビーはよく映え、このルビーはノーマのために作られたと言わんばかりに似合っている。
このネックレスはアクセサリー屋に寄った時に気づかれないように買っておいたもので、公園で渡すつもりだったのだが寝てしまっては仕方ない。
目の前にある真っ赤な美しい夕日より、隣にいるこの真っ赤な髪の女性のほうがミコトにとっては何千倍も美しく感じた。
「ゆっくり休んでくれ……」
それから二十分ほど時が止まったように二人だけの時間が続いた後、夕日が沈みきると同時にノーマは光となりミコトの銃に戻っていった。
「……そういえば、後でカナミにも連絡しとかないとな……」
ミコトはミレイとの約束の件についてカナミにも一応話しておくことにしていた。
軍を抜ける処理についてもカナミに一任しているのでどのみちカナミに連絡しなければいけないのだ。
「ま、今はとりあえず帰るか……」
己が帰るべき家への帰路をゆっくりと歩み始める。
ゆっくりとゆっくりと何かが動き出そうとしていた……
大変遅くなって申し訳ありません!
それと……明けましておめでとうございます!
第二章を進めると言っておきながら二話の執筆が全然できず結局年越しと同時の投稿になってしまったことを申し訳なく感じております。
二章の序章に関して少しながくなった感じもありましたがいい感じで本編に入ることが出来そうです。
ここからは一気に書いていけそうなので毎日投稿を目指して頑張ります!
いつも読んでいただいているみなさん、初めて読んでいただいた皆さん、今年もよろしくお願いします!