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最恐最悪の魔銃  作者: サコロク
王の再来
10/55

長き一日の終わりの始まり

地上に出たミコト達を待っていたのは意外な人物達だった。


「ミコト?……本当にミコトなのか?」


まるで幻を見ているように言ってきたのは、先行で陽動をしていたはずのゴウシだった。

後ろには疲れて寝ている他の二人もいた。


「隊長、無事だったんですか!?」

「ああ、なんとかな。ジルバとか言う野郎と戦闘になったがなんとか撤退してここまで戻ってきていたんだ。それよりか、カナミは大丈夫なのか?」

「ええ、今は眠っているだけです……」


カナミの寝顔を見ると、いつものカナミとは打って変わった子供のような顔で寝ていた。それをゆっくりと床に寝かせる。


「そうか、それよりもお前達の調査はどんな感じだったんだ?」

「それは……」


ミコトはノーマに関することは伏せて話すことにした。それの一つの理由としては、ミコトの身に余計な問題ごとが増えないようにするため。

だが一番の理由は、こんな不条理な力は国のバランスを揺るがしかねないほどの力だからだ。この力は伝説の通り、一つで国を滅ぼしかねない。そして何よりこの力は十二あるうちの一つでしかない。ノーマによると、王では無いものが星天十二界セレスティアルの他の女王を使役した例が過去に何度かあったらしい。その方法に関しては未だに謎であるが、そのたびに王はその相手と争いになり、それで命を落とした王も数人ほどいるということだ。

だからあくまでそのことを伏せながらミコトはゴウシに事の顛末を話していった。ジルバの撃退に関しても、カナミが魔法を使いなんとか倒したと説明したら、納得したようだった。


「そうか、そんな事が……」

「はい、ですから調査の続行は厳しいでしょうね。どうしますか?……」


ミコトがそう尋ねた瞬間ジルバの面持ちが少し神妙になる。


「……おい、ミコト。耳をすませてみろ、何か聞こえる……」


その言葉に耳をすませると、遠くで何かが爆発する音が聞こえる。

この瞬間、ミコトとゴウシは何が起きているかを理解した。


「しまった! どうりで今回の調査に人員を割いてきていないはずだ」

「ええ……まさか ”国ごと” 奪いに来るとは……」


マリオンの筋書きはこうだ。

まず戦火を長引かせつつも調査に人員を割く。マリオン側の調査員もなかなかの手練れが集まっているので調査はもちろん長引くだろう。もともとローランスとマリオンの魔法士の能力はマリオンの方が秀でている。その為、ローランス側は調査に国で最も調査と戦闘に優れた ”霧影” のメンバーを起用した。 ”霧影” のメンバーは一人で一台隊の戦力にも匹敵するのでその穴は大きく、毎度のことローランス軍は追い詰められては凌ぎを繰り返している。

だが今回のマリオンは調査隊に手練れ一人のみを用意し、残りを戦争の方に集結させたのだ。

国さえ奪ってしまえば調査なんていくらでもできる。今までそれがされなかったのは ”霧影” の実力調査も兼ねてだったのだろう。そして今回、国取りに乗り出してきたのだった。


「やられましたね……」

「ああ、完全に出し抜かれた……」


二人はあまりのことに何も言えなかった。長い沈黙が生まれる。

だが、その沈黙はミコトの一言で破られた。


「俺が……俺が行きます」

「正気か!? 一人でどうにかなる人数じゃないぞ?」

「それでも……誰かが行かなければさらに人が死ぬ! 俺はもう嫌なんです、目の前で人が死ぬのも、大切な人を守れないのも……」


ミコトは力強くそう言った。それは本心であり、誓いでもあった。

あの森での亜夜との誓い、大切な ”家族” を守るという誓い。これは一生消えることのない誓いだ。その誓いがある限り、シズカが生きている限り、命を賭してでも助ける。それはシズカに限らず、ミレイとの約束、カナミとの約束だってそうである。


「……わかった。だがミコト、無理だけはするなよ」

「ええ、必ず救ってみせます……」

「それと……共に行けずにすまん。俺もあと少し動ければよかったのだが、この体が言うことをきかん……」

「気にしないでください。それよりも隊長は、皆の手当てをお願いします」

「ああ、任せておけ……武運を」


ゴウシが敬礼をするのに合わせて、ミコトも敬礼をした。

そしてローランスに向かって走り出した、守る者のために……




走り出して五分ほどのところでミコトは止まった。

そして、ノーマを呼び出す。相変わらずの美しさにおもわず見惚れるが、すぐに頭を振ってこれからの計画を話し始めた。


「ノーマ、多分この戦いが終わればゆっくり出来るだろうからもうちょっと付き合ってくれ」

「私は道具で、お前が主だ。どこでもお前に付き合うさ」

「道具なんて言うな、確かにお前から殺されもしたけど、俺はそれ以上にお前に救われたんだ。だからもうそんなこと二度と言わないでくれ」


ミコトが優しげに言うと、髪の色のようにノーマの顔が赤くなる。


「わ、わかった……全く、お前は容赦がない……」

「何か言ったか?」

「別になんでもない!……それよりも作戦はどうするんだ?」


なぜ怒られたか自覚のないミコトは少し首をかしげたが、気にすることなく説明を始めた。


「まず、ここから一気に街の裏路地まで転移魔法で飛ぶ。そこからまず学園に移動しながら敵の殲滅をする」

「なぜ学園に向かうんだ……もしかしてお前の想い人でもいるのか?」


少しジト目で聞いてくるノーマの口調は、どこか怒っている。


「あんまり茶化すなよ。理由は敵が間違いなく狙うのは学園だからだ」

「なぜそう言い切れる?」

「一般市民を襲う利点がないというのと、学園の魔法士の戦力が相手には一番の脅威だからだ。相手はこちらの軍人の戦力ならある程度把握できているだろう。そしてそれに応じた戦力をそこに当てている。だが、学園の生徒の戦力まではわからない。もっと言えば学園にいる教師は軍人以上の強さを持っている人すらいる。市民を囮にして学園を占拠、戦力を抑えるはずだ。あとは時間の問題だ、軍がやられれば国王も敗北を認めるしかない」

「なるほど……では、私たちの作戦は?」


ミコトは地面に国の簡単な地図を書いた。


「いいか、ローランスは城門を入ると市街地が広大に広がる。そして、中央に学園があり、その後ろに守られるように王城があるんだ。まず市街地の裏路地に潜入したらそこから ”地下水路” を使う」

「そこに敵が待ち伏せていると言う可能性は?」

「ない、とは確証はないが九割がたそれはない。国民の大半も知らない道だし、そもそもその抜け道がどこに繋がっているか相手は知らないだろうしな」

「では、それはどこに繋がっているのだ?」

「学園の排水路だ。だから今回着くまでノーマは銃の中にいてくれ。さすがにあの汚い通路で汚れて欲しくないしな」


少し笑って言うミコトの顔を見てノーマは驚いていた。だが、思わず顔をそらしてしまう。


「……そ、それで、学園に着いた後は?」

「丁度今が放課後の時間になったばかりだからから帰宅できた生徒はいないはずだ。多分、全生徒をどこかに隔離して全ての門も閉じているはず。だから、数人を排水路から逃しつつ敵を暗殺していく。ここでノーマの手を借りる」

「どうすればいいのだ?」

「二手に分かれる、ノーマには……囮を頼みたい」


ミコトは頭を下げてノーマに頼んでいた。その心中がノーマには理解できていた。


「……顔を上げろ。お前の気持ちはわかっている、本当はそうさせたくない。だが私がやる以外に手はないのだろう?」

「それは……」


ノーマはミコトの顔を自分の胸の中に包み込む。


「いいんだ、お前にとっては辛い選択かもしれん。だが私にはそれを成すだけの力がある。適材適所じゃないか?」

「……それでも、俺はっ!……」

「分かっている……だからこそ、だ。大丈夫、私が人間ごときに遅れなどとらん。時間などいくらでも稼いでやろう」

「……分かった」


ミコトの顔を離すと、さっきまでの顔に戻っていた。


「私はな、そんなお前に多少なりとも惚れているんだ。私を女として扱ってくれるお前に、本気で惚れさせてくれるお前にな。だから、もしお前の大切にしているものの中に私が入っているのなら、私が危機に陥った時はお前が助けてくれると信じている。だからなんの心配もいらないだろ?」

「そうだな……じゃあ頼む、そしてくれぐれも無理はしないでくれ」

「心配性だな。だが、私も力が有り余っているんでな久々に本気を出してみるさ」

「……くれぐれも学園ごとは壊さないでくれよ?」


ノーマがいうと本当にやりかねないので釘を刺しておく。


「で、その後はどうするんだ?」

「多分敵は何人かを人質として王城まで連れて行き降伏させようとするだろう。それをさせないためにもまず教師陣の解放だ。それが済み次第俺は敵の殲滅をしながらノーマと合流。生徒は教師陣に救出してもらい排水路から街の方へ逃す。先行で逃げていた生徒に道の確保をしてもらうから安全に脱出できるはずだ」

「一緒に戦ってもらわないのか?」

「お前を見られるわけにはいかないし、そもそも仲間がいても邪魔になるんじゃないか?」

「それもそうだな」


二人はお互い笑い合う。ミコトもノーマもお互いを信頼してのセリフだった。


「……じゃあそろそろ作戦開始だな」

「そうだな……では私は出番が来るまで眠っておこう」

「ああ、ゆっくりしておいてくれ」

「安心しろ、私はいつもお前と共にある」


ノーマが顔を近づけたかと思うと、頰にキスをしてきた。そして、逃げるように銃の中に帰っていった。


「……ホントに心臓に悪いぞ……」


ため息をつくミコトの頰は真っ赤に染まっていた。


「よし、じゃあ行くか……」


転移魔法の魔法陣が現れる。

向かうは戦場、ミコトの長い一日の最後の戦いが切って落とされた……

今回初めてあとがきを書かせていただきます。

まずはいつも読んでいただいているかもしれない方々にお詫びを。

小説の更新が不定期で空いてしまい申し訳ありません。私自身、基本的に毎日書いてはいるのですがどうしてもバトルの回になると多く書くことになり時間がかかってしまって、結果的に2日投稿が遅れたりしてしまいます。もうちょっと早く書けるように頑張ります。

初めて読んでいただく皆さんも、この作品に目を止めていただき本当にありがとうございます。

この作品が初めての投稿作品のため探り探りで頑張ってはいますが、まだまだ難しいです。

これからも皆さんに読んでいただける作品になるように頑張っていきたいと思います。

最後に、この始まりの話もやっとスタートラインに立った感じです。今から始まるミコトの戦いに只今絶賛執筆中なので今しばらくお待ちください。

感想、レビューも書いていただければ幸いです。厳しい意見でも構わないので是非是非よろしくお願いします。

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