酔っぱらい退治
「離してください!パーティーへの誘いは昨日お断りしたはずです。」
エルフの女性がそう叫ぶと、先ほどまで酒盛りをしていた4人が取り囲んでニヤニヤしながら
「ヒック、そうつれなくしなさんなって!」
「そうそう俺たちといいことしようぜリースさんよ!」
「嫌です!離してください!」
4人の中でひと際大柄な獣人族の男が、リースの頬をはたき
「お高く留まってんじゃねぇよ!あぁん!分かってねえようだな?いいか俺様はLv.9のDランク冒険者デック様よ。」
「だから何なんですか?」
頬を手で触りながらリースが睨むとデックは
「今ここのギルドには俺様を止められる奴はいね~んだよ。この意味わかるか?」
リースが周りを見ると他の冒険者は目をそらし違う方を向き我関せずの態度であったが、俺は目が合うと微笑みながら頷き、リースの方へと歩みだし、
「貴方たちみっともないですよ?」
その俺の言葉に酔っぱらいの1人が
「あぁん!何だ新人!俺らにたてつこうってのか?いいぜ大人しくおねんねしていな!」
俺に向かって剣を抜いて襲い掛かってくる男をすれ違いざまに、剣の柄を使い鳩尾に一撃を入れ意識を刈り取ると、
「てっめ~よくもやりやがったな!」
そう言って2人が斧と槍で襲い掛かってくるので、先ほどと同じようにかわしながら鳩尾へと一撃を入れ倒すと、
「てっめ~どうなるか分かってんのか?俺様はLv.9のDランク冒険者だぞ!今ならそこの連れの女を差し出せば許してやるぜ?」
デックは更ににやけた表情でミコトを見ながらそんなことを言い出した。
「はぁ救いようがないな。いいからその子を離しなよ。」
デックはその言葉に顔を赤くしながら背に背負った大剣を抜き俺に切りかかりながら
「死ねや小僧!」
俺はそれを躱しながら剣を抜き一閃
「ぐはっ!い゛い゛っで~!いて~よ!」
デックは両腕から血を流しながら泣き叫んだ。
すると先ほどの受付嬢が兵士を連れてきて、
「デックさんあなた方を契約違反で捕縛します。連れて行ってください。」
その言葉に従い兵士たちは4人に縄をかけ、奥へと消えていった。
「トウマ無茶しないでよ!」
怒った顔でミコトが近づいてきた。
「いやだってさ、あいつLv.9ってことだし、いけるかな~と。」
「いけるかな~じゃありません!」
今度は受付嬢が声を掛けてきた。
「いや、だって俺Lv.12・・・いや今ので13になったし・・・」
「Lv.13!貴方いったい・・・ドラグーナの出身ですか?」
受付嬢が驚きながらそんなことを聞いてきた。
「いや違うけど。」
その言葉に周囲にいた冒険者たちも驚きの声を上げるのであった。




