勇者召喚01
光が収束すると、そこには青空が広がり周りには石造りの柱が12本並んでおり、その下に黒いローブを着た人が11人、白いローブを着た人が1人いた。
俺、不破赫斗は周囲を警戒しながら、相手の出方を窺っていると、白いローブを着た人が
「勇者様!ようこそユグドラシルへ。私は大聖殿に使える姫巫女セリス・ノーラと申します。以後お見知りおきを。」
そう言ってセリスはローブのフードをとり、青く長い髪が風になびき、美しい女性の姿が現れた。
「あの勇者様?お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
それに見とれていた俺は、セリスの言葉で我に返った
「あっ悪い。俺は不破赫斗、赫斗が名で不破が姓だ。」
「カクト様それではこちらへ。」
勝手に話しを進められ連れていかれそうになるが俺は
「ちょっ待ってくれ!ここは何処で、何がどうなっているのか説明してくれ!」
と言うと階段付近にいた鎧を着た男たちが剣に手を掛けながらこちらへと向かってきたが、セリスが手で制して横に下がらせ、
「その問いも含め部屋を用意してありますので、そちらで説明させていただきます。」
俺は考え、言葉に従うしかないかと結論付けて
「わかった。」
「では参りましょう。」
そう言ってセリスは歩き出したので、俺はその後をついていった。
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部屋に入り、促されてソファーに座ると、対面のソファーにセリスが座った。
「何からお話ししましょうか?」
と聞いてきたので俺は
「まずここは異世界ってことでいいのか?」
「そうですね。カクト様からすればその認識で構いません。」
「次にお前らは俺に何をさせたいんだ?」
「ん~できれば20年後に現れるであろう魔王を退治していただきたいですね。」
「それは強制か?」
「いえ。強制ではありません。」
「っと、そうだ肝心なこと聞いてなかった。俺は元の世界へ帰れるのか?」
「返すことは可能でしょうが、魔法陣へ魔力を充電するのに10年かかります。また退治に協力してもらえない場合、優先して再度勇者召喚を行いますので早くて20年後かと思います。」
なっそれじゃ退治に協力するしかね~じゃねえか・・・
「協力していただけなくとも、当方で責任をもって生活は保証致します。」
それでも20年無駄に過ごすわけにはいかね~んだよな・・・明日香・・・くそっ!
「協力ってもな俺は一般人だったんだ!全然そんな魔王なんかと戦えね~ぞ!」
「いえカクト様は、勇者として召喚されたのでこちらの世界の人族より遥かにお強いはずです。≪ステータス≫と念じて頂ければ、ご自身の能力が見れますわ。」




