亜人王ゴブリアード03
兵士たちを皆殺しにした後、不意にリースから光が流れ込んできた・・・
それはリースの記憶ともいえる者であった。幼い時にスキル≪風術≫を持っていなかった双子は親に子の山のふもとにある村に捨てられた。年老いた老人しかいなかった村では捨て子である双子は大変可愛がられていた。そんな成長記録を見せられているようだった。そして我との出会い・・・結ばれた時の思い・・・不意に我は涙を流していることに驚いた。
そして先ほどの記憶へと繋がっていく・・・涙は血の色へと変わり、憎悪により黒いオーラが迸る。我らが命を狙われた理由がとある魔族の貴族がリースに言い寄り振られたためにあることないことをでっちあげて我を悪魔族として討伐するように命じたことが原因だと分かった・・・「許さない!」そう心に強く思ったときに2つの魔法陣が浮かび上がり、そこに2体のゴブリンキングが現れた・・・ゴブドーとゴブングである。
我は亜人共を集め大部隊を作ると、その大部隊を率いて魔族の貴族を襲った。貴族を捕らえ拷問の限りを尽くした。時には手足の爪を1つ1つ剥いで苦痛を与え、時には手足をもいで絶望を与え、最後に首を刎ねたが心は晴れなかった・・・リースのいない世界など・・・
我は世界を憎み世界の敵となった・・・魔王として・・・あるいは死に場所を求め・・・
そして勇者と呼ばれる者たちが我の居城に攻めてきて我を討った・・・しかし我は死なずに復活した・・・復活するたびに以前より強くなって・・・何回かそれを繰り返したときラーナと呼ばれたエルフが我の元へ新たな勇者のパーティーの1人として現れた・・・そうリースの双子の妹・・・それでも我は亜人王としてそのもの等と戦い敗れた・・・
そしてラーナは涙を流しながら
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・姉さまごめんなさい。」
そう言いながらその命と引き換えに我を封じた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
今目の前の少年から発せられる光はあの時ラーナが発した光に似た温かさを感じる。我は直感的にこれで終われる。そう感じて剣を握りしめて少年に切りかかった。
「キン!」と弾かれた後、我にも知覚できない速さで「シュパッ!」「ザシュッ!」そんな音と共に切り刻まれていく・・・
「・・・グフッ!・・・ハァハァ・・・少年よ・・・ハァハァ・・・名を何と申す・・・ハァハァ・・・」
力なく全身から血を流しながら我は少年の名を聞いた
「キョウ、天魔王キョウ・スメラギ。」
我はニヤリと口の端を上げた。




