ルイン平原の攻防05
ボクは偵察で知りえた情報を踏まえながら
「敵は西の丘から中央の丘に戦力を集中しています。恐らくルイン王がいる部隊に総攻撃があると考えられます。よってボクのガーディアン部隊20とオウカのビット部隊50をルイン王がいる東側に配置し防衛を心がけます。カーナさんの部隊を中央へ配置して中央の部隊を主力とします。中央のルイン軍の一部を西のコルトさんの部隊と共に敵の背後へと攻撃してもらい南側を空けて包囲し、中央の主力部隊で南へ押し込みます。これにより被害を最小限に抑え敗走させます。」
コルトはその話を聞き
「確かにこれなら被害は少ないでしょうが、再度攻められる可能性があるのでは?」
スズカは意図に気が付き
「そうですね・・・あっ!でもわざわざ南に敗走させるということは・・・」
「正解!スズカが気づいた様に南の森にはライゼンさんの部隊とリクさんの部隊が配置済みで、さらにクラマさんの部隊が合流する予定です。」
カーナはうんうんといったように
「助かったと思ったら攻撃を受けるわけですね・・・容赦ないですね。流石です。」
コルトは
「では早速ルイン本陣へ伝令を出しましょう。」
「お願いします。」
こうして明日の戦略が決定された。
・・・・・・・・・・・・・・・
デモート東の穀倉地帯で敗走する中兵士が
「陛下!オーギュスト陛下このままでは時期に追いつかれます。」
皇帝オーギュストは厳しい表情で
「分かっておる!民を見捨て逃げれば逃げ切ることは出来よう。しかしここで逃げおおせてもデモートで皆殺しぞ!」
「しかし!」
「よってここで迎え撃つ!」
「なっ!何を言っておられるのですか陛下!」
兵士は驚いた。
「反論は聴かん!民を逃がすことが大事だ!若い者は民を守りつつデモートを目指せ!残りはすまぬが我と共に残り、1匹でも多く亜人共を狩るぞ!」
「「「はっ!」」」
こうしてデモニクス帝国皇帝の命を懸けた戦いが始まる。
まず田園に油を敷き亜人軍の大半が侵入したとこで火系の魔法で攻撃し火をつける。
「ボッ!ゴォォォ!!」という音と共に燃え広がり行く手を阻むと同時に亜人軍の半数を倒すことに成功した。
更にオーギュストは指示を出す
「風魔法で火の勢いを上げろ!」
「「「おぉぉぉ!!!」」」
これを2回繰り返し何とかなると思ったときパラパラと雨が降ってきた・・・それも次第に強くなり、「ザーザー」と大粒の雨になり油があっても火が付かなくなって亜人王軍に突破を許すこととなった。
皇帝オーギュストは諦めにも似た表情で
「これまでか・・・」
そこへ皇帝オーギュストに静かに近づく者があり、気が付いた皇帝オーギュストは
「貴公は・・・ぐっふっ!」
男の拳が皇帝の鳩尾に入り皇帝は気を失った。
「陛下は俺が責任を持って逃がす!悪いがお前たちは・・・ここで死んでくれ!」
「「「はっ!将軍お任せあれ!」」」
後に分かったことだが、誰一人逃げる者なく兵士たちは玉砕したという・・・この兵士たちの活躍により亜人王軍は追撃を断念した。




