拠点攻防戦05
ガンゼン軍本陣
「くっ!更に伏兵だと!ええ~い!我らも動くぞ!」
そう声を荒げガンゼンは立ち上がった。そこに慌てて兵士が駆け込んでくる。
「申し上げます!後方より獣人軍20人、ガーディアン30機!援軍にございます。」
「遅いわ!直ちに攻めさせろ!」
「「「わぁぁぁ!」」」と後方より戦闘の音が聞こえてきた。
「何事だ!」
更に後方より伝令の兵士が来て
「後方より来たのは援軍に非ず。敵です。敵襲であります。」
「フォルトめ裏切っておったのか!ええ~い退却!退却だ!」
ガンゼン軍の兵士たちは、我先に逃げだした。
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門の上より戦場を見ていたリゲンは
「よし!我々も打って出る!開も~ん!開門だ!」
ぎぎぎーときしむ音とともに門が開かれた。
「突撃!!!」
とリゲンの号令と共に
「「「おぉぉぉ!!!」」」
コボル隊に向けて突撃が開始された。
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開戦から1時間もしないうちにガンゼン軍、コボル軍は逃走を開始して戦いは思いのほかあっけなく勝利という形で終わった。
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「くそ!くそ!なぜだ!」
ガンゼンは辺りに当たり散らしながら走っていた。敗走するガンゼン軍はもはや12人しか残っておらず、更に追撃の恐れがあったために休むこともできずに走っていた。
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一方コボル軍は
「はぁはぁ何人残った!」
コボルの問いに近くにいた兵士が答える。
「はっ!自分を含め6人であります。」
「・・・はぁはぁ6・・・人・・・はぁか。それしか・・・はぁはぁ」
半日ほど全力で走っていたためもはやコボルたちには戦う力すら残っていなかった。それにもはや走れない体に鞭を打ち、辺りが赤く染まりだしたころようやく獣人の砦が見えてきた。
「・・・はぁはぁ・・・これで・・・はぁはぁ・・・助かった・・・」
見れば砦の門が開き武器を持った兵士たちがこちらへと向かってきた。その先頭には、息子のコルトが完全武装で居た。
「・・・はぁはぁ・・・出迎えご苦労・・・はぁはぁ・・・事情は後で聞く・・・はぁはぁ・・・」
だがコルトから返事がなく、何やら兵士に指示を出し兵士たちがコボルたちを取り囲んだ。コボルは自分達を取り囲む兵士を見まわし、コルトをにらみながら
「・・・はぁはぁ・・・これは何の真似だ?・・・はぁはぁ・・・コルト!」
「・・・天魔王様に仇なす逆賊コボルを捕らえよ!」
「はっ!」
自分を押さえつける兵士やコルトを睨みコボルは
「何をする!これはどういうことだ!逆賊?こんなことをすればコルト!お前を逆賊として捕らえねばならぬぞ!」
やっと呼吸が落ち着いたのかコボルは大声でまくしたてた。
「何を言っておられるのですか?我々を騙し守護の一族へ攻めさせたのはあなたではありませんか!」
ヤレヤレという仕草でコルトは言い放った。