拠点攻防戦04
翌朝戦いの火ぶたは、ガンゼン軍30人、魔獣30匹、コボル軍47人が先行隊として古城に攻撃を開始しようと兵を進めた。
対する守護の一族は、城壁より連弩による攻撃を仕掛けて近づけさせないようにしている。それでもコボルは、兵の数にものを言わせ城壁に迫った。
側面で息をひそめていたライゼンは
「よし!取り付いたな!突撃しろ!」
「「「おおおぉぉぉぉ!!!」」」
城壁に取り付いた敵軍を側面より疾風の牙が突撃を開始した。
後方より指揮していたコボルは
「なに!伏兵だと!ええ~い魔獣使いに対応させろ!」
「はっ!」
そういって伝令の兵士がコボルのもとを後にした。
後方でニヤニヤしながら酒を飲んでいた魔獣使いは
「なっ!あの旗印は疾風の牙!くそっ!亜人王と戦っているんじゃなかったのか!」
そこへちょうど先ほどの兵士が来て
「魔獣使い殿!コボル様が突撃してきた部隊の対応を任せるとのことであります。」
「くっ!仕方がない!だが!俺の部下だけじゃもたん!そうコボルに伝えろ!」
主を呼び捨てにされ、兵士は怒りに任せ切りつけようかと思ったがすんでのとこで思いとどまり、
「・・・分かったコボル様に伝えよう・・・しかし期待するなよ?」
兵士はそう言い残しその場を後にした。
しかしながら中位から上位種の亜人を相手にしてきた疾風の牙には、下位である30匹のウルフでは抑えられるはずもなく、瞬く間に蹴散らされていった。
「貴様がこいつらを操っている魔獣使いだな!覚悟しろ!」
サコンが魔獣使いに切りかかった!
「ひぃっ!たっ助けてくれ!」
ザシュッ!慌てて逃げようとした魔獣使いは、振り向きざまに背中を切られ絶命した。魔獣使いが倒されたことで統制を失ったウルフたちは、散りじりに逃げるもウコン率いる部隊に矢を射られ全滅した。
魔獣たちが瞬く間に討たれていくのを見たコボルは
「なっ!精鋭か!・・・ガンゼン殿へ援軍を要請しろ!至急だ!急げ!」
「はっはいぃぃぃ!」
悲鳴にも似た返事をして伝令の兵士は本体のいる陣めざし駆けていった。
・・・・・・・・・・・・・・・
一方ガンゼン本陣では
「小癪な真似を!おい!残りの魔獣と3部隊を援軍に回せ!」
ガンゼンは冷静に伝令が来る前に兵士へ指示を出した。
・・・・・・・・・・・・・・・
ライゼンは敵本陣より魔獣35匹とガンゼン軍30人が出発したのを後方で確認していた。
そう突撃したのはクラマ隊、サコン隊、ウコン隊の30人であり残りのライゼン隊、リク隊の20人はまだ突撃していなかったのである。
「あなた。」
リクがライゼンに声を掛けると
「うむ。よし我らは後方から迫る部隊を撃つぞ!続け!」
と刀を振り上げ号令をかけた。
「「「おぉぉぉ!!!」」」
と言う声と共に20人の部隊は敵の援軍へと突撃を掛けた。