一騎打ち後編
砦の上から闘いを見ている者たちから声が上がる。
「おい!勝てそうじゃねえか?」
「おう!勝てるんじゃね?」
など勝利み希望を持つ声が次第に増えていく。
「どういう事だ?再生してない様に見えるが?」
ボルクは独り言のようにつぶやくと隣にいたエリルが
「ここからじゃ分かりません。」
それに対してオウカが
「何か所か再生されない傷がありますわ。」
「ん、白と黒で同じ所ろ再生してない。」
ロウハの短い説明をスズカが
「白翼と黒翼で同じ所を切り裂くと再生しないって事?」
「ん、そう。」
スズカとロウハの会話にボルクが被せてくる。
「どういう事だ?武器が関係しているのは分かったが・・・」
するといつの間にか傍まで来ていたモーゼンが
「あん坊主の武器は反属性なんじゃ。つまり≪再生≫のスキルは反属性の同時攻撃で無効化するか、効力を阻害するんじゃないかのぉ」
その言葉を聞いたエリルが
「つまり相性が良かったって事?」
「・・・相性ってより、奇跡的な偶然じゃないか?」
とボルクは自分の見解を口にした。
「へ?」
その言葉にエリルが変な声を上げた。
「だってそうだろ?反属性武器を持っていたことも、≪双剣術≫のスキルを持っていたことも、第一キョウがここにいる事が偶然だろ?」
モーゼンは頷きながら
「偶然かもしれんし、そうでないかもしれんが、坊主の師匠は、こうなる事を想定してたのかも知んねーな。」
一瞬ボルクの目が光ったように感じた。
「ほー・・・誰でい。」
「おいの親方の友達だ。」
ボルクもその親方とは旧知の仲である。その言葉を聞き「あー」と納得した様子で眼下で繰り広げられている戦いを見守った。
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有効打が与えられると言っても、そこはさすが亜人王しっかりと致命傷は避けている。しかし不利な筈の亜人王の顔には、笑みが浮かんでいる。
「ギャキャ!サア、スベテヲミセロ!」
・・・はぁこれ以上は、ボクの体力が先に尽きてしまいますね・・・体への負担が大きいけれど仕方ありません。そう覚悟を決め更に早く!更に流れるように!・・・・キョウの体が次第に無数の残像を残しながら、それでいて美しく舞うように加速して、亜人王の背後に抜けると互いに止まった。・・・それから程なく亜人王が天を仰ぐように倒れるがボクも・・・くっ体中が!・・・しかし今倒れるわけには・・・
「ギャギャ!」
亜人王が倒れたままそう叫ぶと、ゴブリンキング2体がこちらにかけてくる・・・ボクを無視して亜人王の所に駆け寄ると、何か指示を受けゴブリンキングが「ギャ!ギャギャギャ!」と叫ぶと、ゴブリンの軍団は潮が引くかの如く消えていき、更に霧が辺りに立ち込めた。
・・・・・・・・・・・・・・・
暫くののち霧が晴れると、亜人王やゴブリンキングも橋の上より消えていた・・・




