一騎打ち前編
9日目
朝はいつもと違う雰囲気に包まれていた・・・その理由は、朝いつの間にか覆われていた濃い霧が晴れたかと思うと、橋の上に物凄い魔力をまとった亜人とは違う存在が、ゴブリンキング2体を従えて佇んでいたからである。しかも橋の向う側にはゴブリンの大軍ゆうに500体はあろうかという数である。その多くがゴブリンソード以上の上位種であるのだから・・・
ボルクさん達は、大慌てである。ボクたちはというと、霧に魔力が僅かながら含まれていたために気づく事ができ準備は済ませてある・・・はぁ本当封印解除しておいてよかった。
そんな感じで、こちら側の体制が整ったのを見計らったかのように、
「ギャキャ!ワレハ、アジンオウ!ツヨキモノトノイッキウチヲショモウスル!」
・・・はぁ亜人王ですか・・・それに一騎打ちって何考えてるんですか?伝説では確か不死身でしょ?絶対勝てないじゃないですか・・・
「ギャキャ!ワレハフジミ!シカシ!イチドデモタオスコトデキレバ、ゼングンヒイテヤル!」
しかしながらそれでもボルクは、圧倒的に不利だと考えていた。シュタ!とボクが下絵降りると上からボルクさんの声が聞こえてくる。
「へ?キョウ?」
「逃げるにしても戦うにしてもまずは誰かが相手をしないとね。どうするかはボルクさんに任せます。じゃいってきます。」
返事を待たずにボクは亜人王の元へ向かう.
「ギャキャ!ユウキアルモノヨ。イザ!ジンジョウニショウブ!」
亜人王はそう言い放つと盾を前に突き出す構えを取ると、キング2体は橋の向こう側に下がった。
そして残されたボクと亜人王の一騎打ちが始まった・・・様子見で何度か打ち込むが、ボクの方がスピードが圧倒的に上らしく、徐々に舞うように切り刻んでいく・・・くっ!≪再生≫のスキル厄介ですね。切ってもすぐ回復している・・・ん?一か所回復していない箇所がある・・・どういう事でしょうか?・・・
それからは一撃一撃確かめるように切り刻んでいく・・・それにしてもしっかり防御してくるんですね・・・普通あんなスキル持っていると防御が疎かになると思うんだけれどね・・・さずが王ですか・・・
「ギャキャ!ヤル!ダガ!ムダ!」
盾に弾かれ距離を取り、
「ふぅ。≪再生≫のスキルの解析終了♪次で終わらせます。」
そう言い放ち、ボクは左右の双剣で同じか所を切り裂く
「ギャ~!ナゼ?サイセイシナイ?」
答えは、2つの反属性攻撃を重ねればいい、この場合は白翼(光)、黒翼(闇)で同じか所に斬撃を加えればいいという事だ。他の組み合わせは、分からないけれどね・・・