防衛戦04
8日目の戦いは、鉱山付近でも行われていた。
こちらも同程度のゴブリン300体しかしながら、こちらは150人の騎士団と50人からなる冒険者の部隊、そして都市の若い男性を集めた部隊100人と数の上では互角であった。
その中で獅子奮迅の活躍を見せているのが『疾風の牙』である。勿論ハヤテもここにいる。本来ハヤテは主君であるキョウの元へ行きたいところであったが、抜けようにも、パーティーメンバーとして強制依頼により、どうしようも出来なかったのである。
しかしこちらは、ゴブリンキングが率いているとはいえジェネラルの数は2体しか確認されていない。というより、積極的に攻めるわけではなく、こちらをここに足止めしているかのようであった。
そんなこんなで小競り合いはあるけれども、本格的な戦闘にはなっていないのが現状である。ライゼンは確認のためにクラマに聞いた
「攻めてきたのは、総数1000体のゴブリンだよな?」
「そうでござるが。それがどうしたでござる?」
サコンが自分の意見を口にする。
「向うがまとまっていないだけでは?」
「いやそれはない。見て分かる通りこちらより連携が取れている。だから騎士団が突撃しても崩れなかった。」
「あれは、危なかったですよね。」
とハヤテは思い返していた。
そう騎士団は、ゴブリン達をなめきっていて、突撃したはいいがいなされて、こちらの本陣が奇襲を受けるなんていう事態が起きたのである。これは疾風の牙の活躍により事なきを得たが本当に危なかった。もう少しで、騎士団長がやられてしまう寸前だったのだから・・・
そうした経緯でこちらも、少なからず被害を受けたため今は膠着状態に陥っているのである。
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夕方近くになって、早馬の伝令が騎士団長の元へ着いたとの知らせを受け、ライゼンと数名のパーティーリーダー達は、騎士団長のテントへと向かった。
テントへ入ると、騎士団長の怒鳴り声が木霊する。
「なに!橋にもゴブリンの軍勢が!・・・それもキング1体にジェネラル6体だと!」
ライゼン達冒険者は、橋が抜かれてドーパンが被害を受けているのかと焦ったが、続く伝令の言葉で今度は、顎が外れるほど大きく開き驚くのだった。
「ハッ!しかしながら冒険者パーティー『天魔の翼』がジェネラル6体を撃退しゴブリンの軍勢は一時退却とのことであります。」
しばらくその場で皆固まっていると、顔を真っ赤にしながら騎士団長が地団駄を踏みながら
「それでは被害を出した私が無能と誹りを受けてしまうでわないか!」
とテントの外にも聞こえるほどの大声であった。