ドーパン到着
鉱山都市ドーパンへ向かう道中ボクたちは、複数のゴブリンの部隊に襲われた。中にはゴブリンソードが混じっていたりもしたが、ボクたちは、それほど苦戦はしなかった。
そう『ボクたちは』である。一緒に依頼を受けたランクEやランクDの方達は怪我をしたりして、危うく商隊に被害が出そうになる場面が何度かあった。しかしながら旅については、考えなければならない点が浮き彫りとなった。
ボクたちの中に美味しい料理を作れるものがいないことが分かった。食べられる程度には出来るが、美味しいとは言えない。今後の課題だろう。
そんなこんなで2日の護衛依頼を達成することが出来た。商隊の隊長さんには、お礼を言われ報酬を上乗せしてもらった。
他の冒険者の治療をしたことによる報酬ももらい、魔石や討伐報酬などで合計1gとなった。
その日は早々に宿を取り美味しい食事をして旅の疲れを癒した。ちなみに宿代は、商隊護衛の追加報酬で支払ってもらったのでタダで泊まることができた。
翌朝食事を済ませ当初の目的であるミスリルの調達に色々な店を回っていたら、ギルドより緊急招集がかかった。
ドーパンのギルドマスターボーゼンさんの話によれば、ゴブリンの大部隊がこのドーパンに向かっているとのことだった。
そこでギルド所有の馬車4台で子供や病人を運ぶとのこと、そして馬車所有の冒険者たちも同じく、子供や病人を運んでほしいとのこと、またその護衛、そしてボクたちは、ゴブリンの大部隊に対する足止め、または迎撃となった。
通常ランクC以上がこの依頼となるのになぜ?と思ったが、ボクたちはそこいらのランクCが1月掛けて倒す量を10日で討伐した情報があり、指名依頼となっていた。
「さてどうしようか?」
ボクの問いかけにスズカが
「どうとは?どういう意味ですか?」
「討ってでるか、待ち構えるかということかな。」
ボクが2択を提示すると
「それぞれ利点と欠点がありますわね。」
とオウカが指摘する。
「そう。討って出る場合には、注意をこちらに向けられる利点があり、町から離れるっていうのが欠点だね。補給が難しくなるからね。待ち構える場合は、町から近いから補給が容易だという事だけれど、避難する人たちの方にゴブリン達が流れてしまう可能性が高いというのが欠点かな。」
「いえそれだけではなく、亜人王がいるかもしれないという事を頭に置いて行動した方がいいですよ。若様。」
突然声を掛けられ、ボクたちは声がした方を向くと1人の少年がそこにいた。懐かしいですね・・・忍び服ですか・・・この子どこかで会ったことがあるような・・・
もうすぐクリスマスですね。