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青春謳華  作者: 桂木 景
8/50

隆史の休日

1000ヒット記念の特別編です。

キリ番ごとに特別編を書いていきたいと思います。

今日は日曜日。清々しい朝だ。

「隆史様、お目覚めになられましたでしょうか?」

メイドの小雪さんがいつも起こしに来てくれる。え?メイドだって?あぁ、そうか。俺の親父は齊藤財閥の会長をやってて、世間一般に言う金持ちの部類に入る。屋敷もまぁまぁの広さだから家族で管理仕切れなくて、メイドを雇ってるってワケ。

「起きたよ。いつもありがとう。」

「お気遣いありがとうございます。朝食は旦那様とご一緒されますか?」

「部屋でとるよ。」

「分かりました。少々お待ちください。」

実は俺と親父、結構仲が悪かったりしている。なぜかって言うと、金持ち同士の策略結婚に付き合わされるのが嫌で許嫁を破棄したから。『お前は齊藤財閥を次いで貰わなければならんのに、どうして父親が決めた嫁ではならんのだ!!跡取りとしての自覚がたらん!!陽子さん以外の嫁は一切認めんからな!!』らしい…。

そんなどうでもいいことは置いといて、さっさと着替えを済ませて携帯をチェック。如月さんからメール届いてないかな〜♪


Eメール13件


なんか嫌な予感するけど…。

”隆史、今日デートしよ!!”

速攻、削除。陽子からのくだらないメール。見る価値もない。


”如月さん。今日暇?良かったら遊ばない?”

11時だし、さすがに起きてるでしょ。

「お持ち致しました。」

小雪さんがカートに朝食をのせて運んできてくれた。そうそう、俺が陽子を嫌う理由の一つとしてメイドさん達をバカにすることだ。彼女達のおかげで俺たちが生活していけるのにアイツはそれを当然のように受け止め、見下してさえいるのだ。そんな女とは一切関わりたくないのが本音である。

「そのままでいいから。もう下がって良いよ。」

小雪さんがテーブルに朝食を並べようとするのを俺は止めた。カートにある奴を取れば済むんだからわざわざ並べるような無駄な労力は使って欲しくない。

「ですが…。」

「いいから、いいから。他に仕事あるんでしょ?」

「ありがとうございます。ご厚意に甘えさせて頂きます。」

小雪さんは一礼して部屋から出て行った。

朝食を食べ終えたらドコに遊びに行こうかな?


You got meil!!


厳ついオッサンの声でメールの着信を知らせる携帯。

”ようちゃんも一緒ならいいよ。”

”あいつ今日西城さんとデートだよ。”

”あ、そっか。何するの?”

”特に決めてないけど…。ドコ行きたい?”

”本屋さん”

いや、本屋って…。そりゃ、作家目指してるんだから分からないことも無いけれど…。

”OK、OK。それじゃ、迎えに行くから待ってて”

”はーい”

そういえば、如月さんが俺と一緒にドコか行くのって初めてだよな。でも、本屋でデートって…、ま、二人で行けるだけマシか…。


俺は素早く身支度を済ませ、カートを厨房まで運び、全速力で如月の家に向かった。

「お待たせ。」

如月は玄関前で待っててくれたみたいだ。

「早かったね。」

「普通だろ?んじゃ、早速本屋行くか。」

俺が若干てんぱってるのを気付かれないように足早に本屋へと向かった。

俺が案内したのは、この地域じゃ一番大きな本屋で立ち読みOKの店だ。うちの系列なんだけどw

如月は目をキラキラさせて書棚に飛び込んでいった。

「上のカフェにいるから。」

こういうときは一人の世界にさせた方が良い。名残惜しいがカフェでくつろぐことにした。




冬の空、暖房の効いた暖かな部屋にいるとウトウトしていつの間にか眠ってしまったみたいだ。如月が揺すって起こしてくれた。

「悪い。ついねちまって。」

「ごめんね。私もつい夢中になっちゃって。」

申し訳なさそうにする顔に俺はついつい赤面してしまった。

「顔赤いよ。風邪でもひいちゃった?」

「大丈夫、大丈夫。」

俺はそっといつものポーカーフェイスに戻り取り繕った。

「ならいいけど…。そろそろ帰ろっか。」

時計を見ると7時をすぎていた。俺どんだけ寝てたんだよ。

思わず苦笑してしまった。

「そうだな。帰ろうか。」

如月を家まで送り、屋敷へ戻る道すがら携帯が鳴った。

”今日はありがとう”

なんにも楽しめなかったけど、如月が喜んでくれているみたいだからよしとしようか。

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