本音トーク
まちにまった土曜日。今日は邪魔者(隆史)がいないので幾分か気が楽だ。
で、俺は何をしているかというと……興奮のあまり駅に早く着きすぎて西城を待っている。男として遅刻は許されないからな。(←言い訳)
「陽介、早いんだね。」
西城は白で統一された服を着てきた。何着ても可愛いんだな。
「ちょっと楽しみでさ。」
苦笑いでごまかしておく。
「電車乗ろうよ。」
西城はお構いなし改札へ向かう。少し落ち込む俺。そんだけ西城が楽しみにしてるって事かな。
「ちょっと待てよ。」
小走りで西城に追いついた。ホームまで行くも、いざ何を話したらいいのか全く見当もつかない。
「エミちゃん新曲の『believe my love』歌ってくれるかな?」
「歌うでしょ。最近出たばかりだからあまりレパートリーもなさそうだし。」
「おぉ。陽介、なかなか鋭いな。」
「そんなこと無いって。」
西城に褒められた俺は照れてしまった。
「陽介?」
「ん?」
「なんか楽しそうだね。」
そりゃぁ、西城さん。好きな女と一緒にライヴ行くんだから最高に幸せでしょ。しかも邪魔者のいない初デートだし。
「西城と二人っきりだからね。」
思わず俺はにやけてしまった。
「そうだよね。前は如月さんとかいたもんね。そうだ、そうだ。陽介と如月さんって昔付き合ってたことあるの?」
いきなりそんなこと言われましても…。あ〜ドキドキした。
「幼稚園の頃からの幼馴染みなんだ。如月はあんな性格だからあんまり周りに友達がいなくてさ。その反動だと思うんだけど、未だに幼稚園時代の呼び名で呼んでるんだよ。」
「へぇ〜、そうなんだ…。ようちゃんは如月さんのことをなんて呼んでたの?」
「え…。いや…あの…。」
西城に『ようちゃん』って呼ばれた。『ようちゃん』って呼ばれた!!今日は寝れないだろうな。
「教えてよぉ〜」
「さっちゃん。」
「アハハハ。そのまんまなんだ。」
なにをそこまで笑わなくても。かなり恥ずかしかったんだぞ!!(泣
「私もようちゃんって呼んでもイイ?」
「なんで…。結構恥ずかしいんだぞ。」
「多分ね、多分なんだけど…。如月さんって陽介のことが好きだと思うんだ。」
えぇえええええええええええええええええ!!
ちょっと待てええええええええええええええええええ。
如月が俺のこと好きだって???
西城さん、それって何かの間違いですよ。
俺たち幼馴染みってことで他には何の共通点もないし…。それに如月は作家目指してるし。
「カンチガイダト、オモイマス。」
はい、しっかり動揺しちゃってる俺。西城にバレバレだな。
「ブッ。」
西城に噴かれた、西城に噴かれたよ〜。そんなに笑わなくっても。こっちは結構ショックだったんだぞ。
「な、なぁ西城。本当にそう思うのか?」
「うん…アハh……。ふぅ〜、落ち着いた。だって早紀ってずぅ〜っと陽介のこと見てたよ。私とちょっといちゃいちゃしてたらすっごい目で見てきたし。でも早紀には陽介のこと渡さないもんね♪」
うぅ……西城……。俺、感激したよ。
「西城ありがとう。」
駅が近づいてきたので、それっきりこの話はすることがなかったけど、西城の思いを始めて聞けてかなり嬉しかった。
でも如月とこれから上手く友達として付き合っていけるかどうか、不安だ。