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青春謳華  作者: 桂木 景
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「で、どうだったんだ?」

準備体操中に隆史が話しかけてきた。

「遠坂エミのライヴに二人で行くことになった。」

周りの奴らが聞き耳を立てているのに薄々気付いていた。しかし、ここでやめると変な噂が流れちまうからな。我慢、我慢。

「もしかしてチケット西城さんに奢らせたの?」

おいおい、そんな物騒なこと言うなよ。周りの男子が殺気立ってるじゃないか。

「そんなわけねぇだろ。複雑なんだが、西城の親父さんの知り合いが音楽関係の仕事をしてるらしくて、そこからチケットを入手したんだと。だから西城は一円も払ってないからな。」

「へ〜。羨ましい限りだな。で、チケットって2枚だけなのか?」

ずいぶんと厚かましい奴だな。前から知ってたがな。

「そこら辺は知らんが、もし余分に合ったとしてもお前にはあげないからな。どうぜ付いてくるつもりだろ?」

「さすが親友。よく見抜いたな。」

「本命は西城じゃないんだろ?」

これまで散々邪魔してくれたお礼におれは爆弾発言をしてやった。

「オイオイ、周りの奴ら聞いてるんだぞ。」

隆史の奴は相当焦っているらしくそっと俺に耳打ちしてきた。周りの奴らは俺たちの会話が聞けないとなるとさっそく入手した情報を議論し始めた。またたくまに騒がしくなり、体育教師の今井が怒り出した。

「コラ。何してる。ちゃんと準備運動をやれ!!」

俺はその効果に満足し、ストレッチに移った。隆史の奴は恨めしげに俺を見つめている。


ストレッチも無事終わり、高跳びの準備をしている合間にクラスの連中が隆史に聞こえないように俺に声を掛けてきた。

「さっきお前ら言ってた、齊藤の本命って誰だよ?」

ふふふ。予想通り。

「それは秘密だ。本人から聞けよ。下手に言ったら俺の命がないからな。」

隆史を怒らせたら誰の手にも負えない。美青年の半面というものだろうか?それとも幼い頃から嫉妬でケンカを売ってくる奴らを相手に鍛えたのか詳細は知らないのだが、隆史の奴は県下屈指の危険な男としてその名が知られていたりする。

「俺らが聞いたら絶対にやられるって。親友のお前から聞きたいんだよ。」

「お〜い隆史!今泉いまいずみが話あるってさ!」

手に負えなくなった俺は今泉を売ることにした。

「話ってなんだ?」

少々機嫌が悪いようだ。下手に刺激して怒らせても俺は知らないからな。

「さっきの話がちょっと聞こえちゃってさ。」

戦々恐々と今泉が話し出す。

「ほうほう、それで?」

対する隆史の目はだんだん凶暴な鬼の目になりつつあった。

「小谷と西城さんはどこまでいったのかなって?」

苦し紛れの言い訳!!コラァ、今泉。逃げるんじゃねぇ。

「なんだそんなことか。キスもしてないらしいぜ。安心しろ。お前って確か西城さんのファンなんだろ?そりゃ、気になるわな。てか、直接陽介に聞くって大胆なことするんだな。」

あり得るはずもない解釈をしている隆史。俺は少々呆れてしまった。普通に考えて俺がそんなことでお前を呼ぶはずが無いだろう?

「ふ〜。良かった。一安心したよ。」

これ以上隆史と関わり合いたくないらしく、今泉はそそくさとどっかに行ってしまった。

「みんなの注目の的だな。そろそろお前のファンが泣き始める頃じゃないのか?」

悪戯っぽく隆史の奴がいってくる。

「あんまりそんなこと言ってるとうっかり今泉に如月のこと言うぞ。」

ここは少しばかり釘を打っておいた方がいいだろう。

「すいません。」

からかうのはこの位にしておくとするか。アイツも心配してくれていたみたいだしな。


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