超絶ライヴ
今回は長め?です。
今話で登場する漢字、蒼穹は「そうきゅう」と読みます。意味は大空。辞書で調べるとより詳しく載っていると思います。
ついに来てしまった、この瞬間。
俺たちは今、野外設営の臨時リハーサル室にいる。ここまで、到着する間、多数のファン(?)にサインを求められ、手を握られ、押し合いへし合いetc…。
そりゃ、戦争みたいなもんでしたよ。
「凄い人数だな。この学校始まって以来の事らしいぞ。」
隆史はどこから仕入れてきたネタなのか、自慢げに話していた。
「ほとんどが、俺ら目当てなんだろうな。」
俺はボソッっと独り言程度に言ってみた…んだが
「その通り!さっき、ライヴの様子を局に送ったんだけど、好評だったよ。」
どこからともなく自称:俺たちのマネージャーという称号を掲げる柳がやって来た。正直ものすご〜〜〜くウザイ。
「帰れ。」
「そうそうそんなこと言われると少し凹むな〜。でも、僕は君たちを絶対に離さないからね!!」
「あんた、プロデューサーじゃなかったのか?俺たちのマネージャーとか言って歩き回ってるらしいけど。」
「局の社長がね、こんな逸材をキープしておかないで他に取られるのはもったいない!それに多額の出演料が無駄になる。経費削減だ!!っておっしゃってね。それで僕が君たちのマネージャーになったってわけだよ。」
「ならんでいいわ!!」
俺は思わず突っ込んでしまった。
「そう照れなくてもイイよ。」
「だがな、俺たちは柳さんと契約を結んでないから、他の音楽会社にでも契約することができるんだぜ?」
「もちろん分かってるよ。だからこうして他の虫が寄りつかないように僕がガードしてるんじゃないか!!」
そんな胸を張って言う事じゃ、ないだろ…。第一そのテンションがウザイ。
「俺たちは俺たちの意志で動く。柳さんに束縛される義理はない。」
「僕もそんなつもり無いよ〜。コソ〜っと後を追って勝手にPVとか作っておくから〜。」
こいつ…、全然話が分かってないようだな…(殺!!
と、俺が怒りに燃えていると遠坂が袖をひっぱってきた。
「そろそろ始まるよ。」
「分かった。」
さてと、戦場に赴きますか。
ステージに上がると目の前には壮大な草原…もとい人の群れ(?)が校庭一面に広がっていた。校舎の窓と言う窓からは頭が覗き、そりゃもう学校の文化祭とは思えないほどの人、人、人。
先にやってた先輩方はこんな状況の中で良く出来たと、少しばかり感心した。
さぁて、いきますか。
「こんにちは。」
唐突に遠坂がマイクを通して挨拶した。
俺は速攻終わらせようとしていたのに、なんだか出鼻をくじかれた気分だ。
「今日は、お集まり頂きありがとうございます。体育館でのライヴを聞いてくれた方にも楽しんで頂けるよう、別の曲を歌いたいと思います。この曲は、この二人がバンドを結成したときに作った曲で…。」
トップアイドルらしく、客の接待には慣れている模様。
でも、今回のは曲というよりな…。所詮中学生が作った駄作なんだしorz
さて、遠坂の挨拶も終わったことだし、始めるか。
はじめは俺のギターの前奏から…。大空に響くように、優しく、丁寧に。
蒼穹
俺たちが出会った思い出の記念樹
お互いに求め合い支え合うバンド
不完全な二人ながらも 最高のメロディーを奏でよう
響け!!俺たちの心の音楽 永久に共に
大空を舞う鳥たちよ 何を見て、何を感じてるんだ?
地を這うケモノたちは 大空を見上げて問う
”空には何があるんだ?”
イカロスは空に憧れ飛び立った
偽りの蝋の翼を携えて
彼は地に落ちはしたものの 何を見たんだ?
汚れ無き蒼穹を飛ぼう!!
自ら翼を広げ さぁ
我々は何を目的に存在するのだろう?
何をこの世界に満たせばいいのだろう?
我々を見守り続ける 蒼穹
お前は何を求める?
悲しみの縁、喜びの詩
人間達は空を見つめ 感傷に浸る
空を飛ぶ人工の器
汚れ無き蒼穹を汚し 傷つける
我々は何を目的に存在するのだろう?
急ごしらえの歌詞で申し訳ございません。
一応、元ネタを考えてきたものの、今ひとつの出来。当方が執筆行程で変更したせいです。
今回は一話更新となりました。次はもっと具体的に下書きをして数話更新できるように勤めて参ります。