文化祭当日
ついに来てしまった魔の文化祭。
朝早くから校門の前で列を作って開門を待ちわびている野次馬が凄い!
朝登校する時なんて、野次馬から歓声が上がったほどだ。
んで俺らはというと、開会式にも参加させて貰えず、体育館の控え室で待機させられている。
「遠坂、あんまり張り切って歌うなよ。持久戦になるからな。」
「うん、私のことよりもふたりは大丈夫なの?疲れるでしょ?」
「その辺りはなんとかするさ。」
正直、疲れは目に見えている。最初から少しばかりの手抜きでやっていかないと、午後は倒れてしまう。
「準備はイイ?」
どうやらこの男子は学級委員と言うことで俺らの世話役になってしまったらしい…。ドンマイ
「東くん、ありがとう。」
ほう、この男名を東と申すか…。今日だけは覚えておいてやろう。
「そろそろ一回目始まるよ。舞台に上がって。」
暗い舞台を観客に気付かれないように上がっていく。
「お待たせ致しました。EDENの皆さんです。」
盛大な拍手と共に、スポットライトが俺らを照らす。あちこちから歓声が上がる。早くも観客達はテンションを上げ始めたようだ。
「皆さん、おはようございます。」
遠坂が営業スマイルで挨拶する。
「私たちはまだ結成したばかりなので、オリジナル曲のレパートリーがあまりありません。来て頂いた皆様には3曲だけ、最高の歌をプレゼントしたいと思います。初めに”片思い”聴いて下さい。」
遠坂は振り返って俺たちに合図を送る。
俺は静まり返った会場の静寂を静かに破る。
片思い
片思いしている自分がいた
相手も薄々気付いているみたい
素っ気ないアナタの日常の仕草
恋する乙女はそれだけでも胸がキュンとする。
告白なんて怖くて出来ないよ
返ってくる返事が怖くて
なかなか言い出せない。
この想い アナタに伝えられたなら
どれだけ胸がスッキリするだろう?
※
永遠に続くと思ってた
終わらないと 変わらないと、思ってた
だけど些細な一言でアナタは変わってしまったね
でも私の心にいるのは
ずっと、ずっとアナタだけだから
アナタの失恋を聞いて
私は悲しくなった
振り返ってくれないのは
もちろん悲しいけど
何より曇り空みたいなアナタを見ていられない
顔を上げて
いつもみたいに明るく笑ってよ
私はアナタが立ち直る事を祈り
毎晩涙する
神様は残酷だね
叶わない恋なんてさせないでよ
耐えられないよ
苦しいよ 悲しいよ
でも…ちょっぴり幸せ
※繰り返し
いつかアナタが振り向いてくれると信じているから
私は今日も私の太陽を見つめ続ける
歌い終わると会場から大きな拍手が上がった。