本当の気持ち
大会も無事終わって俺たちは宿泊先のホテルにいる。結構高そうなホテルにしてくれたのは校長の多少の善意だろう。そんでもって晩飯どき。
みんな美味そうに喰っている。俺は頃合いを見計らって如月に声をかけた。
「後で、二人で話があるんだけど…。」
「ココじゃいえないの?」
「おう、ちょっとな。」
「分かった。」
俺はこれから言うことを考えると、どうしても如月の目を見ることが出来なかった。
これから俺は…如月に惨いことを言わなければならない。
お互いのために。
食後、自由行動と言うことになり各々好きな所へ移動し始めた。
俺は如月にそっと目で合図を送り、付いてくるように促す。
「話ってなに?」
誰も来なさそうな非常階段の辺りで立ち止まった俺に如月が尋ねてきた。
「俺の気持ち知ってるよな…。」
「私じゃなくて西城さんが好きなんでしょ?」
「あぁ…。俺たち…お互いのために今の関係を無くした方が良いように思うんだけど…。」
「私は…私は!ようちゃんのそばにいたい!!」
「でも俺は如月を愛してやれない。気持ちは西城のままなんだ。このままじゃ、俺だって如月が辛い思いをしていくって考えただけでも申し訳ないし……それに、お前を泣かすわけにはいかない。コレが俺が出した最善の答え。…………終わりにしよう。」
如月は大きく目を見開いて声を殺して泣き始めた。
「私……ヒッグ……しつ……しつ……失恋……しちゃった……んだね……ヒッグ。」
「お前の気持ちは…恋愛とは違うと思うんだ。」
「どう……いう……こと……?」
「俺たちの家が近いこともあって昔から色々お互い支え合ってきたじゃん。小学校に上がって、いじめられたのをきっかけにあんまり人と話さなくなってさ。その…俺だけしか見てなかったから、お前は俺のことを面倒見の良い兄貴かなんかそういう感じの好きであって恋愛感情とかとは違うような気がする。」
「そんな………ことない…よ。」
「だったら、西城の代わりでもいいって言ったのはなんでなんだ?本気で俺を好きなら…西城に嫉妬するはずだろ?でもお前は違った。西城の代わりになりたいって言ったんだ。俺はそれでなんとなくお前の抱いてる気持ちが少し見えたような気がした。それに、俺が西城と仲良く話してたって、お前怒らなかっただろ?普通好きな相手が自分以外の異性と仲良くしてたら嫌だって思うモンだぜ。俺だったら…今でも西城のことが好きだから……他の男と楽しそうに話している姿を見るのは耐えられないよ。」
「そっか…私の………思ってた……気持ちって………ようちゃんの言うとおり……かもしれないね。」
「それじゃ、終わりにしてくれるのか?また、昔みたいに幼馴染みでいてくれるのか?」
「うん。これからもよろしくね。」
顔中涙でくしゃくしゃになりながら、最高の笑顔を見せてくれた如月…。
俺は本当に辛い思いをさせたんだな。でも、これから先ずっとこの思いが続くんだと思ったら、今ココで終わらせたのは良かったのかな?
「すまないな。」
「そんなの気にしないよ。ようちゃんよりももっと、もっと凄い恋、するもん。」
「そうか、期待してるよ。」
「私トイレに行ってくるね。」
如月は俺の返事を待たずに俺のそばから離れていった。
一つ重荷を降ろしたら、更にもっと重い重荷が俺の背中に乗っかってきたようだ。
今回は早めに更新できました。
不定期更新なので、いつもチェックしに来てくれる方、本当にすいません…orz
予定的にはだいた中盤?辺りですが、都合により話のペースが上がるかもしれません。とりあえず70話辺りを目指して頑張ります!!
P.S.
まだまだ募集しています。
我こそは!と思う方、是非是非ご連絡下さい
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