羨望
「陽介?」
「ん?」
「ちょっといいか?」
「あ?」
隆史は女子が女子だけの世界に浸っている間を狙って俺に声を掛けてきた。そして付いてこいと言わんばかりの仕草。
なんだ?なんだ?
連れて行かれたのは、会場から少し離れたところにある公園。
「お前…やっぱり西城さんの事が好きなんだろ?」
いきなり本題かい!!(汗、汗
「そ、そりゃ…なぁ…。」
「如月はどうするんだ?」
あぁ、そのことか…
「ちゃんと俺の気持ちを話す。」
「そうか…。」
「気持ちがないのに、アイツといたってアイツが辛いだけじゃん。俺は…幼馴染みとしてアイツの辛そうな姿は見たくない。それに、俺の気持ち気付いてるよ。」
「気付かないフリしてるんだろ?」
「そうだな…。見ててなんか…俺も辛い…。」
「俺な。このままの気持ちで如月と付き合うのは可哀想だと思ってたんだ。」
「ん?」
「もし、お前がそのまま付き合うって言うのなら俺は…お前を殴り飛ばそうと思ってた。」
「笑えるぜ…。」
「初めに約束したよな。泣かせるようなことが合ったら殴りに行くって。」
「覚えてるぜ。……殴るのか?」
「いや。今はそんなつもりはない。」
「俺はな、本当は如月みたいな奴はお前のような奴と付き合った方がいい気がするんだ。アイツが俺に抱いてる気持ちってのは恋愛とかそんなんじゃんくて、なんて言うのかな…いつも守ってくれる兄貴みたいな感じでしか見てないと思うんだよな。それを好きだって誤解して、辛そうにしてた俺を励まして……こういう形になったんだろうな。」
「………。」
「お前はいつからだ?」
「お前と付き合うようになってしばらくしてからだ。いっつも陽介に向かってはキラキラ瞳を輝かせて笑うのに、他の奴らには何でそういう表情しないんだろうって不思議に思ってさ。しばらく見てたんだよ。そしたらさ…、なんか…俺に似てるような気がしてさ…。如月の笑顔見てたら落ち着くんだよ。それですんげぇドキドキして、心臓止まるんじゃないかってマジ焦ったよ。」
「長かったな…。」
「あぁ…。………本当は…本当は…お前が羨ましくって仕方がないんだ…ぜ?」
「なんでだ?」
「あのキラキラした笑顔はお前に向けてしか出さないからだ。」
「そうか…。」
「………。」
「思うんだけどさ…。」
「ん?」
「お前の想い届いてると思うぞ…。」
「慰めんなよ。らしくないぜ…。」
隆史は辛そうに下を向いた。
そんな風に俺を…如月を見てたのか…。
辛かったんだろう…。
苦しかったんだろう…。
俺が…ここ数ヶ月感じてきた苦しさをコイツは…コイツは…4年も内に秘めてたんだな。
こんな俺だから口には出さないけど…。
態度にも出せないけど…。
すまなかった…。
学校も始まり落ち着いてきたので、3話UPです。
それでも手直しとかいろいろあり、3話までしか書けませんでした…。
精進していきますのでこれからもご愛読お願いします。
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