反響
悲しい歌詞、それに合わせたようなスローバラード。
今までの会場の雰囲気を一変させた。遠坂の歌声はどのくらい、この会場に届いただろうか?
この歌詞の意味を西城は理解してくれたんだろうか?
俺は刹那の思考の中、会場の反応に驚いた。
拍手がない…
遠坂も不安そうにしている。ミスったか…
と、ちらほら拍手が上がったのを皮切りに万雷の拍手に変わった。
さっきまで熱心にカメラを回していた報道陣も拍手をしている。
会場を俺たちが支配できたんだ。そう思うと少し安心する俺がいた。
「素晴らしい演奏ありがとうございました。」
司会者が「帰れ」と指示をする。もう少しこの拍手に浸っていたかった。
控え室に向かうと、次の組がやりにくそうにしていた。そう、富竹の名城だ。
「相変わらずの巧さだね。後の人のことも少しは考えてくれないと、困るよ。」
富竹は俺たちに向かって話しかけてきた。
苦笑いで返す俺たち。
「優勝は多分君たちだろうけど、僕らも君たちに負けないような演奏をするよ。」
「期待してるぜ。」
富竹はスポットライトへと向かって移動し始めた。俺たちは元の座席に移動する。
「陽介!すごかったよ〜。」
西城は甘えたような声で話しかけてきた。
ん〜、ちあわせw
「エミちゃん、やっぱり歌上手いな〜。私もそんな風に歌えたらな〜。」
「そんなことないよ。練習すれば西城さんも歌えるようになるって!!」
「だといいんだけどね。」
ちょっぴり舌をだして微笑む西城。
ヤベェ…たまらねぇ〜。一言…
萌え〜〜♪♪
「…すけ、オイ!」
妄想の渦から俺を引っ張り出すように隆史が俺を呼んだ。
「お?何だ?」
「テレビ曲の奴らが話があるってさ。」
「ハァ〜?興味ないって伝えといて。」
「小谷君、話も聞かずにそれはないんじゃないかな?」
ふと顔をあげるとサングラスをした…俗に言うイケメン?(そこら辺微妙なルックス)の兄ちゃんが声を掛けてきた。
「誰?」
「テレビ局の人。」
「あっそ。」
「……。」
フw秒殺!!
「あ、柳さんじゃないですか!!」
遠坂がイケメン?兄ちゃんを見て異常に興奮し始めた。
「遠坂、柳って言う人?の知り合い?」
「うん。ゴールデンタイムの音楽番組のプロデューサー。凄腕で通ってるんだよ。」
「へぇ〜。興味ナシ。」
「……。」
「ちょw興味ナシって。最後まで人の話聞こうよ。」
すっかり焦っている柳さん。見ててチョーおもしろいし。
「ん?じゃ、話って何?」
「テレビに出演してみないか?」
「「「は?」」」
遠坂+隆史+俺のハモリ。
「確か君たちEDENってバンドだったよね?EDENで出てみないかい?絶対人気でると思うんだけどな!!」
熱弁を振るう柳さん…。
「俺パス。面倒くさい。」
「んじゃ、おれも。陽介いないと意味ねぇし。」
「私は…遠坂エミで出演してるから…。」
「いやいや、エミちゃんと齊藤くんの理由は納得できるけど小谷くん、面倒くさいってのは…。一応メジャーデビュー目指してるんじゃないの?」
「俺は趣味。デビューなんて面倒くさそうだからヤダ。」
「えぇえええ!!じゃ、どうしてこの大会でてるのさ?!」
「「「校長の陰謀」」」
ハモリ一同、先ほどと同様w
あひゃひゃ。柳さん頭抱えてるよw