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青春謳華  作者: 桂木 景
38/50

GALL

控え室に向かい、最後にリハーサルを行う。

この一回の演奏で全てが決まる。少しのミスも許されない。

「陽介、調子わりーの?キレが全然ねぇぞ。」

「あ?いつも通りだぜ。お前の耳が狂ったんじゃねぇの?」

「だと良いんだかな…。俺はな、この一回に全てを掛けてるんだ。俺の夢、お前と…今は遠坂も入ってるけど一緒にメジャーデビューしたいんだぜ。」

「知ってる。いつもブチブチいってるじゃねぇか。」

「俺の夢が掛かってるんだ。来年も、再来年もあるけど。俺はこの一瞬に全てを掛けたい。」

「そんなこと、ここにいる奴ら全員だろ?」

俺らの後ろで話を聞いているのを指さした。

「分かってるんだがな。お前のギターに魂が入ってない。なにか雑念でもあるんじゃね?」

さすが、隆史。一瞬で読みとったか。あなどりがたし。

「は?気のせいじゃね?」

「そうか…。」

「ホラ、始まるぜ。」

係員が舞台でスタンバイするように指示してきていた。

「おう。」


俺たちは予選の時よりも遙かに凄まじい熱き戦場に繰り出した。

俺たちが舞台に上がると、さっきとは一変。会場の空気が変わった。さんざんマスコミに煽てられた俺たちだ。その実力がホントの物なのか見極めたいのだろう。

「泉ヶ丘高校の皆さんでオリジナル曲GALLガルです。」

司会が紹介をすまし、俺は隆史に目で合図を送る。

ここは戦場、恋愛感情とかは全て捨てなければならない。俺は…捨てきれるのだろうか…?


俺がスローバラードでリードする。隆史はそれに合わせ静かにリズムを刻む。


GALL


夜の新宿ギターを奏でる者一人

孤独を聞き手に歌い続ける

彼は彼女を捜しにやってきた

突然去った彼女を追ってきた

居場所は分からないけど この歌が探してくれる


作詞作曲はや半年

彼は新宿名物ガル

彼の歌声は人を引き寄せ 大きな円陣を作る

時に警察にしょっぴかれ

ヤクザ相手にケンカした

しかし彼女はいない

半年掛けても彼女はいない

遠く離れた異国に行ったのか?

俺に教えてくれよ

ミズキ=


あぁ夜空の星々よ

お前達は俺に代わって見守り続ける

俺は疲れてきたよ

いい加減居場所を教えてくれ!!

長い長い夜を〜♪

ミズキが好きな月に見守られ〜♪

長い長い愛の歌を〜♪

君に届かないと知りながらも 歌う…


いつもの新宿

ガルを囲む人垣

ふとその中に懐かしい笑顔

「ミズキ!」

ギターを投げ出し追いかける

「俺を置いていくな」

「探したんだぞ」

しかし声は届くことなく幻影は去る


悲しい悲しい愛の歌

彼は冷たい姿になって見つかった

悲しい悲しい真実

ガルの想いは届き

毎晩彼女は聞きに来た

星々は二人を見守った

今度はガルが彼女を見守るとき

星の一部になり彼女を見つめ続ける


夜空を見上げればホラ

今日もGALLは輝く

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