自答
巨大なスタジアムの中、既に開会式が終わり一組目が歌い始める。
昨日はそのまま西城と一緒に駅で待っててくれたみんなと合流し、ホテルへ直行した。まぁ、ホテルだけあって遠坂ぐらいしか練習できなかったんだが…。
「なかなかやるわね。」
「そうか?予選と変わりないように思えるが…。」
「あんたのレベルが高すぎるからよ。」
そう軽く山口に一蹴りされた。
出場地区がヘボかったんだろう。
「陽介、期待してるよ。」
西城が気を利かせてくれたらしく、軽く俺を慰める。
うお…如月さんの視線が痛い…。(涙
でも…正直なところ俺は未だに西城が好きだ。こんなところで不本意ではあるが、如月には応えることが出来ない。
甘い、甘い初恋の相手=西城。
俺の心には彼女しか住んでいない。だけど…そう、彼女は一生俺を…男を好きにならないと言った。なにか過去に辛いことがあったんだろうか?
例え何かあったとしても、それでもいいんだ。俺は西城が好きなんだから。悩みとか全部抱えて包み込んでやる。一生片思いでもいい。
だけど如月のことを思うと、胸が痛む。俺のことを考え、気を配って来てくれたんだ。幼稚園の頃から何一つ変わってない如月。昔は活発で友達も多かったけど、多分…俺を、俺だけを見つめるようになって周りに目が行かなかったんだろう。それで今の状態になったんだ。全部俺のせいじゃねぇか。アイツの人生狂わせたのは…。だけど、俺は…俺は…
この大会が終わったら、俺の気持ちを彼女にちゃんと話そう。彼女ならきっと分かってくれる。俺をずっと見守って来てくれたんだから。
『偽善』
ふと、俺のドコかで声がした。
『偽善じゃねぇのか?結局はアイツのこと傷つけてよ、泣かすんだろ?』
俺は自答する。
そんなつもりじゃねぇ。
『だったらどういうつもりだよ。』
このまま西城を想って、如月に振り向かずに辛い目にあわせるのは可哀想だからだ!!
『可哀想、可哀想って。一番そんな思いしたくないのはお前だろ?だから偽善だっつってんだろ!!いい加減気付よバーカ』
偽善…なら俺はどうすればいいんだ!!どうすればいいんだよ!!!!!
「……ってきいてんの?」
隆史に肩を揺さぶられて、思考の渦から引き戻された。
「あ?何だ?」
「何だじゃねぇよ。ったく…。そろそろ俺らの番だぜ。」
「え?」
確か俺らは最後の方じゃ…。
「お前ずっと考え事してただろ?昼も声掛けても反応しないしさ。妄想?」
「うるせぇよ。そんなんじゃねぇ。」
俺は彼女達のことから、一人のミュージシャンとして切り替えた。
更新遅くなって申し訳ございません。
挨拶回りと、忙しく立ち回っていました。
ん〜、アシスタントが欲しい!!と渇望した時期でもありましたw
皆様、これからもご愛読よろしくお願いします