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青春謳華  作者: 桂木 景
29/50

表彰式

短くてすいません…


俺たちの後、ほとんどの組は迫力に欠けていた。

それは会場中が一致していたようで、まさしく聞く耳持たず。

順調に進み時は4時。ほとんど、感想を述べに来た遠坂ファンの対応に追われ、退屈せずにすんだ。まぁ…その分イライラも溜まったけど。


「それでは結果発表です。全国大会に出場出来るのは上位3組のみ、それでは発表します第10位から…。」

司会の奴が言葉巧みに会場を盛り上げて行く。順位が上がるにつれて、緊張も高まる。

「さて…、いよいよ第3位の発表です。第三位、私立法政学院高校!」

右横の座席から歓声があがる。会場からはまばらな拍手。どうやら発表されて全国には行けなくなった組の奴らみたいだ。

「続きまして第2位!県立名城高校!」

おっと、確か優勝候補だったっけ…。予想していたみたいで今回は余り拍手はなかった。

「第1位の発表は審査員長の柳田先生に講評を交え、発表して頂きます。」

「ご紹介に預かりました、柳田です。私は14年間この予選を審査員として見て参りました。どの年も白熱した演奏と思い思いの歌を聴かせて頂きました。しかし、今年は例年に比べて類を見ない斬新なバンドが現れました。会場を一瞬の内に支配してしまう圧倒的な演奏力。そして、それに負けないような素晴らしい声。激しい伴奏に相反するような歌詞にも関わらず、なんの違和感もなかった。恐らく全国大会ではもっともっと素晴らしい歌を聴かせてくれるでしょう。それでは第1位の発表です。市立泉ヶ丘高校!!」

会場からは耳をつんざく程の拍手。まぁ、予想していたとはいえこの高揚感はたまらない。一種の薬のようだ。

「第3位からの方はステージにお越しください。」

司会は拍手に負けじと声を張り上げる。俺たちは尚も拍手を送り続ける人垣をなんとか突破し、ステージに上がった。如月と山口は席で待っていると譲らなかった。

「おめでとうございます。これが全国大会の参加証です。」

司会から渡されたのは封筒。中に参加証という物が入っているのだろう。なんかあっけない表彰式だなと、拍子抜けしてしまっている俺がいた。



表彰式の後、俺たちは楽器を担いで会場を出ようとしたら富竹の奴が声を掛けてきた。

「さっきはすまなかったね。君たちの実力がこれほどとは…。」

ドコまでも嫌みな奴なんだよ。自分の演奏能力を過大評価してやがる。ま、俺も人のことは言えないんだけどな。口に出して言わない点がコイツとの明らかな違いか。

「全国大会も楽しみにしているよ。予選より遙かにレベルが上がるけど、君たちなら優勝できるかもね。それじゃ。」

相変わらずの不良スタイルはそのまま仲間の所へと去っていった。

「陽介、あれが富竹か?」

「そうだ。」

「案外憎めない奴だな。」

「俺も思った。」

「ちょっと自分たちに自信持ちすぎてただけなのかもね。」

「遠坂さん、でもアイツ私たちにケンカ売ってきたのよ。」

「そう、カリカリするなって。勝ったんだから。」

「でも…。」

ブツブツ文句をいう山口を後に俺たちは厚生年金会館を後にした。

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