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青春謳華  作者: 桂木 景
24/50

全国大会?

春も終わり、夏の色が見え始めていた。

お決まりのメンバーでダラダラしていたそんな日、山口の奴が大あわてで教室に入ってきた。

「何あわててんだよ。」

「えっと…ハァハァ…あの…ハァハァ…あの…。」

「まずは落ち着いてから、ね?」

隆史の悩殺スマイル。そういえば「悩殺」って死語だったな。

「落ち着いたみたいだな。何だよ?」

「全国大会があるって知ってた?」

「は?全国大会?」

「うん。優勝すればレコーディングして貰えるの。全国のミュージシャン目指す高校生が集まる、夏の一大イベントなんだよ。」

「へぇ〜、興味ねぇ。俺はパス。」

「面倒くさいから俺もパス。」

「私仕事で…パス。」

「言うと思った…。でもね、中杉先生がこのメンツなら必ず優勝できる!部費稼げる!って勝手に応募しちゃったみたいなの。」

「はぁあ?マジでいってんの?」

「マジ、マジ。だからあんなに慌ててたのよ。」

俺の頭の片隅で何かが切れるような音がした。

「ちょっと、中杉のところ行ってくる。」

俺の状況を察知した隆史と如月は必死になって俺を止めようとした。

「待て、落ち着くんだ。」

「ようちゃん待って!!早まらないで!」

状況が良く理解出来ていない二人は唖然として見つめている。

「これ以上先にいくって言うなら俺はお前をぶっ殺す!!」

「ちょうどいい。…死ね。」





あ〜、なんと言えば良いんだろう。うん、取りあえず俺の気は収まった。

でも少々暴れちゃって、隆史が失神しちゃった♪テヘッ

「ようちゃん…やりすぎ。」

う…、小学校以来だ。如月のデコピンの威力は未だに衰えず…。俺の意識はだんだん薄くなって行く。

あ〜、花園がみえる〜


「…きて!起きて!」

激しく体を揺すぶられ、俺は意識を取り戻した。

失神してからあまり時間が経ってないようだ。小学校の時と同じだな。

「てて…。」

「男の子なんだからあの位で、泣かない。」

いや、あの位って…。失神するほどのデコピン放っといていうセリフか?

「小谷君大丈夫?」

「やっぱ如月…怖い…。」

「私も思った。」

遠坂は俺に激しく同情してくれているらしく、やや赤い額に濡れたハンカチを置いてくれていた。

一方俺に張り飛ばされた隆史というと…、山口に介抱されていても未だ起きず。

「いつまで寝てんだ。起きろ。」

俺はいつものように脇腹を一蹴りした。

「うげ。もっと丁寧に起こせよ。ま…、お前にはり倒されたのは久しぶりだな。」

「ほっとけ。で、全国大会とやらには絶対にでなくちゃならんのか?」

「うん…。校長先生も乗り気でPTAの方々にも応援を要請するって。」

「はぁ〜。遠坂か…。」

「うん…。」

「ごめんね。本当にごめんね。わがまま言わずに私がバンドに入らなければこんな事にならなかったのに…。」

「もういい。仕方ないだろ。日取りは?」

「今週の日曜日が予選。」

「は?応募いつだったの?」

「一ヶ月前。」

え〜っとするとあの中杉はずぅ〜っと黙っていたわけだ。コルス!

「やっぱり中杉叩きのめす!」

「ダメだって!!」

鈍器で殴られたような衝撃が頭に走り…、本日2回目の失神。

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