入学式
隆史のおかげで何とか立ち直れることが出来た。あの時アイツが手を差し伸べてくれなかったら、今頃俺は…。
「入学式早々から大変だな、お前。」
女子に囲まれている隆史に向かって俺は冷笑してやった。
「おま…。自分じゃないからってふざけやがって。」
「羨ましいぜ、全く。俺もそんなにモテたらいいんだかな。」
「おい、待て!置いて行く気か!!」
俺は隆史を放っておいてさっさと教室に向かうことにした。今更爺臭いって言われるかも知れないけど、あの時、俺が一番輝いてた時期なんだろうな…。っと良い思い出にしておくって決めたんだった。
教室をざっと見回すと既に何人か親しそうに話していた。何にも変わらない普通の光景。
「ふぅ〜。苦労したぜ。お前後で覚えとけよ。」
しばらくして全力疾走した後のような荒い息で俺の隣に座る。おい、出席番号順だろ。てか、教室中の女子全員、隆史の事LOCK ONしてるし。モテる男は大変だね。
「大変だな。ま、俺には関係無いんだけどね。」
「人ごとだと思っていい気になりやがって。」
「実際人ごとじゃん。」
「う…。」
勝ったぜw
「で、部活どうするんだよ。お前ドラムやりたかったんじゃなかったっけ?」
「まぁ…そうだけど…。お前は?」
「俺は入らないよ。面倒だし。」
「じゃ、俺もやめとく。お前じゃないと合わないし。またやめることになるだけだし。」
俺たちがベラベラ話している間に担任らしき先生が入ってきた。
「これから一年間担任をする篠山だ。手始めに自己紹介してもらうか。」
チッ、面倒くせ。適当に言って流しとくか。
「小谷 陽介です。どうぞよろしく。」
シレッと済ませとくに限る。誰も聞いてないだろうしな。だけど隆史の時は凄まじかった。女子の好奇の目にさらされ、男子の激しい憎悪と嫉妬の目を向けられたんだからな。
もう慣れてるけどw
これからこの高校で色々あるんだろう。