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なんで腕組んでるの!?

作者: 真木

短時間低クオリティです。ご勘弁下さい。

私は、佐々木舞花。16歳。

幼い頃は少女マンガ読んできゅんきゅんしてる兄を横目にひたすら分厚い歴史書を読み続けていました。歴史が大好きなのです。

不思議なことに歴史書に出てくる人物の名前はすらすらと覚えられますが、学校のクラスメイトの名前はまったく覚えられません。

それどころか、家族以外で私が名前を覚えている人といったら彼以外いないんじゃないでしょうか?


「舞花?ぼうっとしてどうしたの?」


ふふっと私の目の前で優しく微笑む彼。幼稚園からずっと一緒に育ってきた彼ー香山春樹ーは、いつも私と同じ人間だとは思えないくらい柔らかい表情をしています。

そのせいか、学校の女の子たちにものすごい人気があります。なんでも、いつも笑顔で優しそうなところが素敵すぎるそうです。

しかし、私はいつもいつもにやにやしやがって表情筋皆無の私に喧嘩売ってやがるとしか思えません。本当です。断じていいなあとか思ったりしてません。ましてや優しそうな雰囲気に安心するなんて、本当に思ってませんから。


そんなことを考えていると、急に彼の顔が近づいてきてちゅっと音がしました。


「へ?……ぁあっ!?!?!」


キスですか!?なぜこのタイミングでキスですか!?びっくりしすぎて変な声が出ましたよ!?


「ふふっ舞花が他のこと考えてるから悪いんだよ。せっかく久しぶりにゆっくりできるのに…。どうせまた歴史のことばっかり考えてたんだろー。」


少しふて腐れながら春樹が言います。まったく心外です。私は春樹のことばっかり考えていたというのに。

私はむっとして言いました。


「さっきからずっと春樹のことしか考えてないもん。」


春樹が口を押さえてふいっと顔をそらしました。なんだこいつ。失礼な。

あれ?耳が真っ赤です。不思議に思ってさっきの自分の発言をふりかえります。


っ!?もしかして私めっちゃ恥ずかしいこと言いましたか!?今めっちゃ恥ずかしいこと言いましたか!?


「…俺だっていつも舞花のことばっかり考えてるよ。」


春樹の耳がさらに真っ赤になりました。

うひゃああああ!!恥ずかしい!!恥ずかしいです!!

私は自分の顔がぼふんっと真っ赤になったのを感じました。


なんだかどきまぎして呼吸が大変です。春樹にこの変な気持ちをわかって欲しくて、春樹の服を引っ張りました。

こっちを向いた春樹がそのまま私の唇にキスをします。目を開けると、春樹がすごく幸せそうに笑っているので私も嬉しくてちょっぴらにやけました。そのまま、気の済むまで私たちはずっと触れ合うような軽いキスを何度も繰り返しました。



これは私と春樹が付き合って1ヶ月くらいのときの話です。なんで甘々なんでしょう。幼馴染というなんだか居心地の良い関係から恋人という関係に変わったことにようやく慣れて、幸せを実感していたのです。あのときの舞い上がりようは今でも少し恥ずかしいくらいです。


なぜ今こんな話をするかって?今私の目の前で彼氏であるはずの春樹が他の女と腕を組んでいるからですよ!!!


「春樹くん!今から一緒にカフェに行かない?おすすめのお店があるの!最近桃味の新作が出てね、すごく美味しそうなんだよ!」


目をキラキラさせながら話す女の子は誰だかは知りませんがめちゃくちゃ可愛いです。ミス3位っぽい顔してます。

こんな可愛いのですから、春樹もまんざらでもない顔をしてるのでしょう。そう思って目線を本にうつします。幼馴染ですから、春樹が可愛い子が大好きなのを知っているのです。

小さい頃から、可愛いものに目がないらしくて、特に可愛い女の子の話をよくしてました。なんでも、俺の前でだけはよく笑うんだとか、俺の好みどストライクなんだとか…。

思い出すだけでイラッとしますね。こうゆうときは歴史書を読み漁るに限ります。


図書室で恋愛の本を読んでいた私は、歴史書を取りに歴史のコーナーへと行こうとします。しかし、そこに春樹の姿が見えたのでこれ以上動くことができませんでした。

仕方ないので、そのまま本を読み続けます。全然集中できません。春樹と彼女のことがもやもやと頭の中をまわります。

第一、春樹は本当に私のことが好きなんでしょうか?あの幼い頃から話題に上っていた可愛い女の子を本当は彼女にしたかったのではないのでしょうか?

考えると止まりません。だんだん涙が出てきました。図書室の一番奥の一番発見しにくい場所を陣取っている私は、机に突っ伏して泣くのを堪えます。

人とできる限り会いたくない私にとって最高のスペースであるこの場所は、ある先輩から教えてもらいました。

えーと名前は忘れちゃいましたが、悪意はありません。ええ。本当に。ただ、いつも先輩って呼んでるので覚えてなくても困らなかっただけです。


「佐々木!お前こんなところで寝るんじゃねーよ。」


やばい、先輩が来てしまいました。急いで顔を上げてしーっと指を立てて、口にあてます。


「…??なんだ?」


先輩が小声になって、ゆっくりと私の席の横に座りました。それから私の顔をみて眉をひそめます。


「なんだお前?泣いてんのか?」


先輩の冷たさが心にしみます。思わずつーんとなりました。


「まったくもう。しょうがねえやつだな。」


そう言って先輩が私の頭を引き寄せます。先輩、さっきまで冷たいとか言ってごめんなさい。今の私では涙塗れになって汚いですよと目で訴えたら気にするなって言われました。そう言ってくれたので安心して先輩のYシャツをビショビショに濡らしました。そしたらデコピンされました。理不尽。


そのときの私はまさかこの状況を誰かに見られてるなんて思いもしなかったのです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ええと、目の前には目玉をうるうるさせながらきゃんきゃんと騒ぐミス3位。


どうしてこんなことになったのでしょう?


ことが起きたのは先輩の前で泣いた日から1週間くらい経ったときでした。

春樹との連絡は全く取っていない状況で、もう私たちはダメなんだと思って、春樹に別れようと話す決意をしたところだったのです。

先輩には相談にたくさんのってもらいました。とっても感謝していますが、その度にお昼を奢れというのは先輩としてどうなのでしょうか?ねえ、先輩。と目の前にいる先輩に訴えかけてみますが、効果はありません。

今日はついに別れる決意をしたという報告をしたかっただけなのに。どうして私がお昼ご飯を奢らなくちゃならないのだ。と憤慨しながらも素直に買いに行く私は偉いです。いい子です。

食券戦争を無事制し、先輩お気に入りのオムライスと私のオニオンステーキをお盆に載せて、先輩の待っているテーブルへ持っていきます。以前から狙っていたオニオンステーキにルンルンな私は、先輩を前にし、超絶ドヤ顔でステーキを食べていました。

といっても私の表情筋は完全に機能していないので、ほぼ無表情ですが。先輩には分かったようでかなり痛めのデコピンをしました。

涙目になっていると、私の背後を見てニヤリとした先輩がオムライスをあーんしてきました。

なるほど、デコピンのお詫びということですね。

ありがたくいただこうと思ったら、


「待て!!」


すごいでかい声が響きわたりました。

え?まさか今の声って?振り返ってみると何故かいつもみたいに笑っているのに癒されない春樹がいました。

横にミス3位もいます。彼女は何故かすごく怒っているようです。


「舞花、誰だこいつは。」


春樹の声でびりびりします。しかもすごい目つきです。やばいです。人を殺すつもりですか。


「春樹?なんか怖いよ。どうしたの?」


私が尋ねると、何故かミス3位が怒りました。


「春樹くんは知らない先輩といる幼馴染のあなたをすごく心配してたのよ!そんな春樹くんを怖いだなんて最低な女ね!」


うひょう。怖い。二人とも怖い。そう思って先輩を見ると、めっちゃにやにやしています。

先輩、きもい。距離を縮めて小声で話すと、何故か気温が下がったような気がします。

余計ににやにやし始めた先輩がきもすぎて、出来る限り距離を取ろうとすると足を蹴られました。

痛い。再び涙目で先輩に訴えようとすると地を這うような低い声が聞こえました。


「舞花、ずいぶん仲が良さそうだね。」


びくぅっとなり、春樹の方を恐る恐る見ます。目があってすごく悲しくて、切ない気持ちになりました。

ずっと会いたかったのになんで怒ってるの?やっぱり春樹に私なんて釣り合わない彼女はいらなかったんだ。そう思って目をそらします。


「ねえ、幼馴染さん。あなたみたいな二股女のせいで春樹くんはすごく傷ついているのよ。あなたみたいな女は春樹くんにふさわしくないわ。」


そう言ってミス3位は春樹の腕に絡みつきます。それを見て、またもやもやとした気持ちに襲われます。もうもやもやなんかじゃないでしょう。どろどろとしているに決まっています。視界が黒く染まっていきそうなのを、先輩が足を蹴ってくれたのでなんとか持ちこたえました。

いや、蹴ってくれたなんておかしいですね。蹴りやがってこのやろう。先輩を蹴り返してみました。見事に弁慶の泣き所に当たったみたいです。ざまあみやがれ。

すっきりして春樹を見ると、背後に鬼が見えます。目をこすって確認してみますが、鬼は見えたままです。


「舞花、最近俺のこと避けてるよね?ねえ?どうして?俺なんかした?舞花、もしかして俺以外の男の名前覚えたりなんかしてないよね?」


畳み掛けるように話す春樹が怖すぎて首を何度も上下に振ります。


「良かった。じゃあなんで俺のこと避けたりしたの?」


「………。」


「舞花?」


逃げられそうにありません。どうしましょう…。…別れる覚悟までしたのですから今さら…ですね…。…本音をぶちまけて嫌われてやりましょう。ええ、もうやけですよ!やけ!


「……こと……ん……た…から。」


「ん?舞花、もう一回言って?」


「他の女の子と腕組んでたから!!春樹なんか知らない!女の子と腕組む春樹なんか知らない!!春樹のばか!ふえぇぇぇ!!!」


もう全部言っちゃいましたああ!もうどうしようう!嫌われるう!心の狭い女だって絶対な呆れられるううう!!

すると何故か春樹は突然嬉しそうににこにこして大泣きする私のもとへやって来ようとします。

その際、腕に絡みついてたミス3位を思いっきりぶっ飛ばしてました。だ、大丈夫でしょうか?


「舞花、ごめんね?ゴミに気づかなかった俺が悪かったよ。だからもう泣き止んで?」


困ったように私を慰めてくれるのはいつもの春樹です。安心して、余計に涙が出ました。


「はるきぃ、ぎゅってしてぇ。」


「舞花!?あぁもう可愛すぎる。」


春樹に抱き締められて、ほっとした私はそのまま意識を手放したのでした。


だから春樹が、


「舞花、好きだよ。」


って言って私のおでこにちゅーをしていたことなんて知る由もありませんでした。もし知ってとしたら私は爆死していたでしょう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後の先輩と春樹


春樹「舞花は俺のもんなんでちょっかい出さないでください。」


先輩「ちょっかい出すも何もそっちから寄ってくるだよ。」にやにや


春樹「…いつか必ず滅してやる。」


先輩「Σ(・□・;)

お前聞いてた話と全然違うんだけど。」


春樹「舞花がこっちをお好みなんですよ。」


先輩「うへえ。」(佐々木…骨は拾ってやるよ…)




まあ何が言いたいかっていうと腕を組むだけで喧嘩になっちゃう高校生カップルってかわいいよね!うん!

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