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俺、CO₂悪者説を信じてたら地球詰んでたんだが?第二部  作者: マスター


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5/11

第5話 土を戻すって、つまり誰が何をやるんだ?

第2部第4話では、「壊れた土をどう戻すのか」という問いに対して、被覆、カバークロップ、堆肥、有機物、微生物、保水、流出抑制といった“地味な総合技術”としての土壌再生の姿を見ました。


第5話では、視点を一気に“人間側”へ寄せます。


その技術を実際に動かすのは誰で、どこで、どういう条件の中でなのか。


農家、自治体、企業、消費者、制度。


それぞれの立場から、「土を戻す」という話がどんなふうに現実とぶつかるのかを、主人公が見に行く回です。

「土を戻すって、つまり誰が何をやるんだ?」


新しいファイルのタイトルを打ち込んでから、俺はしばらくカーソルを眺めていた。


第2部に入ってから、タイトルがどんどん“俺の仕事じゃない気がする領域”に侵食してきている。


『いい違和感だ』


AIが、いつものテンションで言う。


「良くないだろ」


『違和感がなければ、第2部を書いている意味が薄い』


「お前、第2部って言っておけば何でも正当化できると思ってないか」


『そういうところもある』


「開き直るなよ」


第4話では、壊れた土をどう戻すかという“理屈側”の話をした。


土を裸にしない。


カバークロップをまく。


多種の草を敵と決めつけない。


堆肥と有機物を戻す。


微生物が住める土を作る。


水がしみ込むスポンジみたいな地盤を取り戻す。


どれも、筋は通っている。


聞けば納得する。


でも、聞いて納得したところで、畑の土が勝手に変わってくれるわけじゃない。


「なあ」


俺は、モニターに向かって言った。


「ここまでの話って、割と“こうなればいいよね”で終わってないか?」


『終わっている部分はある』


「つまり今って、“こうすれば土は戻る可能性があります”までは来てるけど」


『うん』


「“じゃあ誰がそれをやるんだよ”って話は、まだ全然触ってない」


『第5話のテーマは、まさにそこだ』


AIの文字が、黒い画面に浮かぶ。


『技術の話から、人の話へ』


第1節 農家は、もう十分忙しい


「まず一番最初に名前が出てくるのって、やっぱ農家だよな」


俺は、メモ帳に「農家」と書いてみる。


『そうだな』


「土を裸にしない」


『うん』


「カバークロップをまく」


『うん』


「堆肥を作って入れる」


『うん』


「耕しすぎない」


『うん』


「流出を減らす」


『うん』


「……どれも、農家側の手がかかる話だよな」


『かなりそうだ』


画面に、農家の一日がざっくりしたタイムラインで出る。


作業。


収穫。


出荷。


機械のメンテナンス。


帳簿。


申請。


地域の役割。


家族の時間。


「うわ、隙間が見えない」


『現場は、だいたいそうだ』


「そこにさ」


俺は眉をひそめる。


「“土を戻すために被覆を増やしましょう”とか、“堆肥をもっと作って入れましょう”って、簡単には言えないよな」


『理屈としては正しいが、負荷としては重い』


「だよな」


『土壌再生は、“やろうと思えばすぐできる簡単なこと”ではない』


「今日の話、急にリアル度が上がってきたな」


『第2部の中盤だからな』


「その言い方、本当に雑なんだよ」


第2節 移行期の“減るかもしれない収量”を誰が受け止めるのか


「もう一個怖いのってさ」


俺は、農家のタイムラインの下に、収量のグラフを簡単に描いた。


「土を戻す方向に切り替えるとき、一時的に収量が減る可能性があるってとこだよな」


『ある』


「カバークロップを入れました」


『うん』


「耕起を減らしました」


『うん』


「化学肥料の投入量を見直しました」


『うん』


「で、移行期にうまく回らなくて、“今年はちょっと収量が落ちました”ってなったとき」


『収入が落ちる』


「それを誰が受け止めるんだって話だよな」


『かなり重要な問いだ』


「ここを“理想なので我慢してください”で終わらせた瞬間、たぶん現場は付いてこないよな」


『付いてこない』


AIの文字が、静かなテンションで続く。


『農家は、気候変動の影響もすでに受けている』


『豪雨』


『干ばつ』


『遅霜』


『猛暑』


『その不安定さの中で、移行期のリスクまで一人で背負えと言われたら、動ける人は限られる』


「第2部、容赦ないな」


『事実の話だ』


第3節 自治体と制度は、“応援したい”と“予算がない”の間で揺れる


「じゃあ、そのリスクを受け止める役って、どこなんだろうな」


俺は、メモに「自治体」「制度」「補助」と書き足した。


『候補にはなりうる』


「再生型農業や土壌再生って、気候変動対策にも、治水にも、地域のレジリエンスにも効く可能性があるじゃん」


『ある』


「だったら、自治体も本当は応援したいよな」


『応援したい自治体は多いだろう』


「でも、“予算がない”って即答される未来も見えるんだよな」


『かなり見える』


AIが、中央に「予算」、左右に「応援したい」「でも枠がない」と書いた図を出す。


『自治体にも、限られた財源と優先順位がある』


『インフラ維持』


『福祉』


『教育』


『災害対応』


『その中で、“土壌再生”をどの位置に置くか』


「それ、聞かれたら困るランキングだな」


『困るだろう』


「でも一方で、災害対策や水害対策って、土の状態に直結してるんだよな」


『かなり直結している』


「だったら、“治水予算の一部を土壌に振る”みたいな発想もありだよな」


『ありうる』


「でもそういう発想って、今まであんまりされてこなかった感じがある」


『“土は農業のもの”という意識が強いからな』


「うわ、そこから変えないといけないのか」


『そうだ』


第4節 企業は、“環境配慮”と“利益”の間で立ち位置を探している


「次に出てくるのは、たぶん企業だよな」


俺は、メモに「食品企業」「流通」「金融」と書き足す。


『そうだな』


「土壌再生した農産物のほうが、長期的にはリスクが低いとかさ」


『うん』


「炭素の貯留量を評価して、金融側が“土に炭素を貯める農家”を応援するとか」


『そういう試みも始まっている』


「でも企業って、“環境によさそう”だけでは動けないじゃん」


『収益とブランドと規制の間で動く』


「そうなると、“土を戻している農家から買いましょう”って言うには」


『価格』


『供給量』


『品質の安定性』


『認証の仕組み』


『消費者の理解』


「全部セットになるんだよな」


『そうだ』


「なんかもう、全部つながってるな」


『第2部だからな』


「その言い方、本当に汎用すぎるんだよ」


第5節 消費者は、“安くて安心”と“土の話”の間に距離がある


「正直に言うとさ」


俺は、少し肩をすくめた。


「消費者側の立場だと、“土壌再生に取り組んだ野菜です”って言われても、ピンとこないと思うんだよ」


『だろうな』


「“無農薬”とか“有機”とか、“国産”とか“安い”とか、そのへんのラベルなら分かりやすいけど」


『“土がスポンジのように水を抱えています”というラベルは、まだ市場で意味を持ちにくい』


「なんなら、“なんかよく分からないけど高そう”で終わる可能性あるよな」


『ある』


「でもさ、土壌再生って、洪水リスクを下げたり、干ばつ耐性を上げたり、海への負荷を減らしたりする可能性もあるわけじゃん」


『そうだ』


「それ、消費者側にとっては、“将来の災害リスク”とか、“海の状態”とか、“地域の安定性”の話でもあるんだよな」


『そうだ』


「そこを伝える言葉って、まだ全然足りてない気がする」


『足りていない』


第6節 主人公は、“書いているだけの市民”として、どこまで関われるのか


「で、俺はどこにいるんだ?」


ここまで一通り書いてから、ようやく自分をメモの片隅に置いた。


『お前は、“物語を書く市民”だ』


AIがそう言う。


「農家でも企業でも自治体でも研究者でもなくて」


『そうだ』


「でも、第1部のときに、Blue Pulseのパブリックコメントみたいなものは書いた」


『書いた』


「第2部では、土壌再生の話も書いている」


『書いている』


「でも、実際の畑にスコップを入れてるわけじゃない」


『そうだ』


「それって、どういう立ち位置なんだろうな」


しばらく、画面を見つめたまま黙る。


『物語は、直接は土を動かさない』


「だよな」


『だが、視点を動かすことはある』


「視点」


『“土は農家だけのもの”という視点』


『“温暖化対策は工場と車の話だけ”という視点』


『“海の問題は海で何とかしてよ”という視点』


『そのあたりを、ゆっくりずらすことはできる』


「ずらしたところで、何かが動く保証はないけどな」


『保証はない』


「でも、ずらさないと何も始まらない」


『そうだ』


第7節 誰か一人のヒーローを期待しても、第2部の世界線では破綻する


「ここまでの話を聞くとさ」


俺は、画面に並んだ「農家/自治体/企業/消費者/研究者/市民」を見た。


「再生型農業とか土壌再生って、“誰か一人のヒーローが全部やる”構図じゃ絶対回らないよな」


『回らない』


「農家だけでは無理」


『無理だ』


「自治体だけでも無理」


『無理だ』


「企業だけでも無理」


『無理だ』


「消費者だけでも、研究者だけでも、市民だけでも無理」


『無理だ』


「つまり」


俺は、自分で言いながらちょっとため息をついた。


「“誰が何をやるか”って話が、完全に多人数協力プレイなんだな」


『そうだ』


「しかも、その協力プレイは、誰か一人が主役を取る形じゃなくて、役割がずっと分散したまま動いていくやつだ」


『そうだ』


「物語として書くには、ものすごく地味な構図だな」


『派手ではないな』


「でも第2部的には、それが一番壊れにくい構造なんだよな」


『そうだ』


第8節 じゃあ、この話をどこまで“物語”に翻訳できるのか


「ここまでさ」


俺は、少し慎重に言う。


「土壌再生の理屈と、現場の負荷と、制度と市場と、消費者の距離と、市民としての自分の位置まで、一気に書いたわけだけど」


『うん』


「これ、どこまで“物語”に翻訳できるんだろうな」


『それをやるのが、この回だろう』


「出たよ、その正論」


『農家の声を聞く』


『自治体の迷いを聞く』


『企業の本音を聞く』


『消費者としての自分の癖を見つける』


『それを、一人称の物語として書く』


「取材編か」


『取材編だな』


「また俺の仕事を増やすなよ」


『第2部だからな』


「便利ワードが過ぎる」


少し笑ってから、俺は新しいファイルのタイトル欄を見つめた。


──土を戻すって、つまり誰が何をやるんだ?


タイトルに自分で問いを書いておいて、まだ答えを持っていない。


でも、それでいいのかもしれない。


第1部でもそうだった。


“唯一の温暖化対策”って検索窓に打ち込んだとき、答えは持っていなかった。


そこから始まった。


第2部では、“土を戻すって、誰が何をやるんだ”と打ち込んだ。


答えはまだぼんやりしている。


でも、ぼんやりしたまま書き始めることに意味がある気がしている。


たぶんこれは、読者への質問でもある。


農家の人には、現場で見ている土の顔を教えてほしい。


自治体の人には、予算と現場の間の葛藤を教えてほしい。


企業の人には、ブランドと利益と環境の間の計算を教えてほしい。


市民には、自分が何を選びがちなのかを、一度立ち止まって見てほしい。


そうやって、“土の話”を、技術から人間ドラマに翻訳していく。


第5話は、その入り口になる。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


第2部第5話では、「土を戻す」という話を、技術ではなく人の側から捉え直すための問いを、主人公とAIの会話の形で整理しました。


これまでの話では、被覆、カバークロップ、堆肥、有機物、微生物、保水性、流出抑制といった“土を戻すための手段”が中心でした。


しかし、それを実際に動かすためには、「誰が何を負担し、どこでリスクを受け止め、どんな制度と市場を前提にするのか」という、人間側の構造が必ず絡んできます。


農家はすでに、気候の不安定さと、日々の作業と、収量と収入を背負っています。


その上に「土壌再生のための新しい手間と移行期のリスク」をのせるなら、その負担を一人で背負えと言うのは現実的ではありません。


自治体は、治水や災害対策、福祉や教育など、すでに多くの優先事項を抱えています。


その中で、「土壌を戻すことが地域のレジリエンスに直結する」という視点を、どこまで予算や施策に反映できるか。


そこには、意識と枠組みの両方を変える必要があります。


企業は、環境配慮と収益とブランドと規制のあいだで立ち位置を探しています。


土壌再生された農産物を継続的に仕入れ、評価し、価格や認証の仕組みを整えるには、単発のキャンペーンではなく、長期的な設計が必要になります。


消費者は、「安くて安心」「分かりやすいラベル」を求めて買い物をしています。


土壌再生の恩恵――洪水リスクの低減、干ばつへの強さ、海への負荷の減少――は、日々のレシートの数字にはほとんど現れません。


だからこそ、「土の状態」が自分の暮らしにどうつながっているのかを伝える言葉が、まだ足りていないのだと思います。


そして主人公自身は、「物語を書く市民」として、この構図にどこまで関われるのかを問われます。


直接畑を耕すわけでも、予算を組むわけでも、企業の投資判断をするわけでもない。


それでも、視点をずらす物語を通じて、


「土は農家だけのものではない」


「温暖化対策は排出だけの話ではない」


「海の問題は流域と結びついている」


という認識を共有していくことには、役割があるかもしれない。


第5話は、“答えを出す回”ではなく、“問いを読者と共有する回”です。


次回からは、この問いを実際の人間の声――農家、自治体、企業、消費者、それぞれの立場の言葉――に少しずつ変換しながら、「土を戻すって、つまり誰が何をやるのか」を物語の中で具体化していきます。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:リアル(Perplexity)

校正・文体調整:G(ChatGPT)

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