7話 送還
「おかえり」
その言葉でレンの意識は戻る。目の前にはクロノアが居た。
「死んだか……。今度こそ天国にでも送るか? 2度も死んだんだ。もう慈悲等与えられないだろ?」
レンはクロノアに問いかける。
「君には元の世界に帰ってもらうよ。」
「……お前は、なんで俺を……生かす?」
「遊び足りないだろ? コンテニューってやつさ。」
クロノアは口角をわずかにあげる。
「家族に会うんじゃないのかい? こんなところで諦めるのかい?」
「じゃあ、もうそのまま地球に戻してくれよ。」
レンの声は、疲労でかすれていた。
「まあまあ、そう言わずに。」
呼吸は浅く、視界は薄い。
「痛みも恐怖も……ない。俺は、死に慣れたのか? 俺はなぜ死ねない?」
クロノアは目を細めて冷酷に言った。
「死にたいのかい?」
「あぁ、もういい。疲れたよ。ただ、普通に生きたかった。」
クロノアは冷たく問い返す。
「じゃあ、なぜあの時、逃げなかった?」
「……俺は、優秀だと思ってた。勉強もスポーツも……でも、一歩外に出れば、何もできなかった。」
レンは拳を強く握りしめた。
その言葉を聞いてクロノアは優しく微笑んだ。
「なら、やっぱりちゃんと生きるべきだ。自力で家族の元へ戻れ。」
そう言いレンを転送した。
「次会った時は殺されるかもなぁ……。」
黒い部屋に亀裂が走り、白い光が割り込む。
「限界だな……。」
結界は破壊され、一人の女性が舞い降りてくる。
「見つけた! クロノア!!」
「あんたが来るなんてね……。あのじいさんも酷いことをするもんだ。私をどうするつもり?」
ゆっくりとクロノアの前に舞い降りた女は目に涙を浮かべていた。
「戦うつもりはない。私はクロノアの味方だよ。だから天界に帰ろう?」
「バカね……。冤罪だとでも思ってるの? 私は罪人よ。あんただって殺せる。」
女は涙を拭いクロノアに手をかざす。
「来て。」
「嫌だね。まだ死ぬときじゃない。」
「まだ言ってるの? ごめんね。『リヤン・デ・デュー』」
女の魔法が光を放ち轟音を鳴らし放たれる。クロノアが放った光の刃は勢いを失い、空気が裂ける衝撃で床が震え、ひびが入る。
光の鎖がクロノアを捕らえ、彼女は身動きが取れなくなる。
「なんで本気出さないの? 捕まるのは嫌なんでしょ?」
「本気だよ。あんたが私を越して行ったんだ、こーさん。天界に戻るよ。」
同時にクロノアの結界は完全消滅した。完全消滅した。




