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アルケニアイル  作者: 犬助
一章 転移編
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6話 同士

 海の上に造られた長い橋。その中央を進んでいた馬車が、突如破壊される。

「――っ!?」

 下から突き上げる衝撃。石橋は砕け、木片が宙を舞う。

 何だ!? 何が起きた!!

 大量の水が打ち上がる。それは波ではない。水の塊が橋を破壊した。

「シーザー!?」

 アーサーが叫んだ。同時に、それは姿を露わにする。

 ――巨大な影。

 ――長い胴体。

 ――異様に大きな牙。

 海の中から現れ橋を破壊したその影は落ちる最中、ギロリとその目をレンに向け体勢を変えてレンを狙い落ちる。

 やばい。落ちてくる!! やるしかねぇ、来い! 俺の魔法!!

 レンは魔法を放とうと意識を集中させる。

 身体に流れる熱いものを感じる。伸ばした手にそれが集まるのを感じレンは目を見開く。

 ――何も起きない。だがそれは形を成さなかった。

 巨大な口は迫り、距離はわずか。レンは成す術がなかった。

 レンは思わず目を瞑る。だが大きな音がして目を開く。すると確かにさっきまでそこにいた巨大な口は消えていた。

 レンは周りを見渡す。すると遠くの海が波立っているのを確認する。

「レン、大丈夫か?」

 後ろからそう女性の声がして思わず振り返る。

「アーサーさん。なんだったんですか? 今のは?」

 アーサーさんの口は動いている。なのに、音がない。風の音も、波の音も。全部、消えている。

――おかしい。

その瞬間。

「俺が教えてあげよっか?」

 突如、背後から聞こえる男の声にレンは全身に悪寒を感じレンは無意識にそこから大きく離れる。

「どうしたの? そんな急に離れちゃって。」

 すると今度はアーサーの声がレンに届く。

 アーサーさん? いや、確かにアーサーさんの声だが口調が違う。それに聞こえてくるのはやっぱり背後からだ。

「始めまして、こんにちは。レンくん。」

「誰だ!? お前はなんなんだ! 姿を表せ!!」

 アーサーの声で話す何かにレンは問う。

「そうかい。じゃあ、顔合わせをしようかな〜。」

 そう言い、世界は元に戻る。

「海斗……。何故……。」

 最初に反応したのはアーサーだった。かすれるような声を聞き、違和感を覚えレンはアーサーに視線を向ける。するとアーサーの背後に男が立っていて彼はアーサーの身体を剣で貫いていた。

 は? 誰だ? あいつ……。なんで、アーサーさんが……俺が本屋でやられたみたいに……。

 レンはアーサーを見て自分を重ねる。身体は震えて声を出そうにも出なかった。

「新天神!!」

 アーサーは落としそうになる剣を強く握りしめ魔法を発動する。するとアーサーを貫いた剣は朽ち海斗と呼ばれる男は距離をとる。

「海斗! 何故ここに来た!!」

 海斗は一瞬だけ視線を向ける。しかし、すぐに興味を失ったように視線を逸らす。

「……ああ。まだ生きてたんだ。」

 アーサーはそれを聞き思わず剣を落とす。その瞬間アーサーは無数の風できり刻まれる。

「やあやあ。良かったよ、間に合って。海斗だ。君と同じ魔法を持ってる。よろしくな。」

「アーサーさん!!」

 レンは海斗の自己紹介を無視してアーサーに駆け寄り、心配する。

 生きてる! でも、鼓動が弱い……。

「無視するなんてひどいじゃないか。そいつが気になるなら……。」

 海斗はそう言い、レンが抱えるアーサーを具現化した風で持ち上げる。海斗はまるで顔の辺りにいる邪魔な無視をはらうように手を動かす。すると風の魔法もそれに応えるように動きアーサーを海へと放り投げた。

「さっ、話を続けよっか。」

 海斗は何事をなかったかの様にまた話し出す。

 どうする? アーサーさんはきっと冒険者の中でも上澄みのはず……。そのアーサーさんが一瞬で……。

「提案があるんだ。」

 海斗の話を遮りレンは見下ろす海斗の顎をめがけて殴りかかる。

「だめだめ。今してるは交渉、戦闘でも喧嘩でもないよ。」

 そう言い、海斗は手を叩く。すると波の音、風の音、潮の匂い、あらゆる五感が瞬時になくなる。

「どう? 凄い? 魔法ってこんな事も出来るんだよ。」

 なんだ……。違和感。何も、見えないし、感じない。奴の声だけははっきりと聞こえる……。

「率直に言うね。仲間にならない? 学園に行っちゃいけない。きっと後悔するよ。帰りたいんじゃない? 地球にさ」

「うるせぇよ。人を痛みつけて何とも思わねぇ奴と仲間になりてぇはずがねぇだろ!!」

 海斗は呆れるように言った。

「はぁ。そうかい、優しいんだね。君に空の魔法は合ってないのかもしれないね。だからさっきも、使えなかったんじゃない? 空ってのは染めるものだよ。晴れ? 曇り? 雨、とかね。そうか……。いいよ、じゃあ学園と行くといい。でも忠告だ。奴らは信用しすぎるなよ? また迎えに来るよ。」

 知るかよ……。お前の方がよっぽど信用できねぇってんだ。

 レンは拳を強く握りしめた。

 瞬間――想像を絶する痛みがレンを襲う。腹部を確認するとそこから服が血で滲んでいく。考える事もすぐに出来なくなりレンは気を失った。

「あら。迎えに来るって言ったろ? 大丈夫?」

 く、くそが。

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