3話 牢と美女
――遡ること、数時間前
門番のジルと別れ騎士団を紹介してくれた執事のような格好をしたトマスと少し世間話をしていた。騎士団に入るには魔法の開示が必要だった。しかし、この世界にはステータスウィンドウの様なものもなく教会に行き、神父に自身を診てもらうこととなる。
「空ですね…。なんでしょう? 長く神父として勤めてきましたがこんな魔法は初めてです。」
神父が空と魔法の名前を言うとそれを聞いたその瞬間トマスは血相を変えた。
「お待ちください! 神父ジュリアン! 今、確かに『空』とおっしゃりましたよね? 間違いないのですね!」
神父は萎縮しつつも小さく頷いた。
トマスは一歩下がる。
「まさか……そんな、あり得ない。」
独り言のようにそう呟く。トマスがレンを見る視線が、明確に“敵を見る目”に変わる。
神父も戸惑った。
「何か、問題でも?」
トマスはさっきまでの穏やかな笑みを消していた。
「申し訳ありません。予定を変更します。」
杖が、静かに握られる。
「レン様。拘束させていただきます。」
次の瞬間、杖が放たれ、木片が蛇のように変形する。
腕に巻き付く感触。
神父は初めて事態の異常さに気づいた。
「トマス殿、これは一体――」
「神父様、これは重大事件だ。貴方は下がれ。」
――そして現在
「なんでこんな事になっちまったんだろうな……。」
安定した未来はついさっき消えたんだな。
湿った石壁に背を預ける。冷気が服越しにも伝わる。外の様子は全く分からない。レンは冷静を装っていた。
足音が一つ、近づく。
牢番が即座に姿勢を正す。
女性の声。
金の髪を揺らし、女は一つの牢の前で足を止めた。
「アーサーさん!」
牢番が即座に姿勢を正す。アーサーと呼ばれる女性はレンを睨み、見下ろしていた。
「空の魔法か? 出ろ。」
すると牢の鍵が開く。
「無罪を主張するならそれを証明しろ。」
彼女はそばにそう言い、近づき囁く。
「私はアーサー。お前の味方だ、利用してみろ。」
アーサーは間を置く。
「使えるなら、な。」
アーサーは軽く微笑んだ。
挑発とも取れるその言動にレンは燃えた。
いいだろう、利用してやるよ。こんなところで落ち込んでる暇なんてないからな!




