23話 レンの決めた道
目を開けると、白い天井が視界に入った。
見覚えのある天井。
……保健室か。
するとカーテンの奥から女性の声が聞こえてくる。
「あら?起きたの?
体調はどうかしら?私の魔力はどう見える?」
レンはゆっくりと体を起こし女性を見る。
「見えません。」
「そう。治ったのね、良かった。病気ってほどじゃないけどね。私たちはそれを『魔力異常感知症』って呼んでるの。
簡単に言うと一時的に、魔力を感じすぎる状態ね。」
「でも、いいことじゃないわ。
強い人の魔力を見ると、脳が処理できなくなるの。最悪、死ぬこともある。」
「クラス分けはもう始まってる。行けるなら行ってらっしゃい。」
会場に向かう途中、
『どうか、世界に平和を……。』
世界樹の言葉が頭から離れない。
勇者とも魔王にも――
俺はならねぇよ。
試験会場に戻るとそこにはグアンが一人でいた。
「想像以上じゃ。あの世界は、この世界を模倣したものじゃ。そしてそこには、世界樹の意識も存在している。」
「お前は何千年、誰にも認められなかった世界樹に認められたんじゃ。流石、未来永劫最悪の魔王の器じゃな。」
聞きたいことは山ほどあった。だが、レンの口から出たのは別の言葉だった。
「その話、やめてくれ。俺をそう呼ばないでくれ。」
レンは視線を落とす。
「そうか……それがいい。すまなかったな。
担任について行くといい。学園へようこそ。」
グアンはそう言い、話を終わらせた。
レンは後ろを向く。
「レンくんだね。はじめまして。
試験、見てたよ。首席合格おめでと。」
狼耳を生やし目の細い、爽やかそうな男は言う。
獣人か……。本当にいるんだな。
「ありがとうございます。」
レンはそう返す。
レンは担任に連れられ、クラスへ向かった。




