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アルケニアイル  作者: 犬助
二章 入学試験編
15/26

15話 恐怖と希望

 まだ太陽も顔を出さない、冷えた朝。

 森の中に、鈍い音が鳴り響く。

「よし、今日のウォーミングアップ終了っと。」

 レンはそう言い周囲を確認する。そこには倒れている木々があり、レンは倒れた木に腰を下ろし、拳を確認する。。

 皮が剥けちまった。俺も弱ったな。

 レンは少し休憩すると近くにある川へと向かい顔を洗った。

「さあ、それじゃあ本番と行くか。」

 レンは服で顔を拭い、手を前へと伸ばす。目を瞑ると伸ばした手のひらに意識を集中させる。

 すると、体温は急激に上がる。その熱は手のひらに集まる。やがて、風船が割れたように何かが手から放出される。

 レンはその反動で後ろへ吹き飛ばされる。

「よし! 昨日より早く発動できた。」

 ガッツポーズをして彼は川の向こう側に生えていた木を確認する。その木はあまりにもぼろぼろだった。

「飛んでいく精度はいいんだけど、威力が弱いな。」

 レンはぼやいた。

 洞窟で女性に助けられてから3日が立っていた。レンはあれから立派に生えた巨大な樹木を目指して歩き続けていた。

「よし、そろそろ着くかな。魔力も多少は扱えるようになった。昔の感覚を思い出したことだし、今日この長い散歩を終わらせようか。」

 レンは歩き出した。


 ――――


 石で出来た道。あらゆる生物の鳴き声が響いていた。その先でレンは目的の樹木へと辿り着いた。

 なんだ? 今、この石門をくぐった瞬間、体が軽くなった。

「我、試練を受けるに相応しい者よ。応えよ。何をしに来た?」

 頭の中に流れ込む声。女性の特徴を持つ声だが、レンは驚くことをしなかった。

「何しに来たもねぇよ。あんたが俺を呼んだ。それはこっちのセリフだよ。」

「お前を呼んだのではない。我、声を聞こえる者を呼んでいたのだ。」

「結局呼んだんだろ? それに別に俺はお前の声なんか聞こえちゃいねぇよ。なんかお前を見た瞬間、そんな気がしたんだ。」

「なんと……。まさか、『器』だと言うのか?」

「なんの器だよ。」

「世界を平和に導く勇者の器だ。」

 レンはため息を小さく吐いた。

「またそれかよ。大自然様も俺を勇者だとか、魔王だとか言うんだな。」

「どうか、世界に平和を……。」

声はそれきり声は途絶えた。

「……おい。」

 なんだ? 結局、何が目的だったんだか。

 レンはこうして石門をくぐり抜ける。

 うわっ。体、重っ。

「ねぇ、そこの君。」

 石道の外れた茂みの中から、一人の男が姿を現し話しかけてきた。

 居たのか……。

 レンは片足を下げ、手を肩の位置に構える。

「待って、戦う意思はない。君も聞いたんだろ? 世界樹様から嵐のことを。」

 レンは聞いたことのない話に動揺する。 

「なんの話だ?」

「駆け引きはいい、石門を通ったじゃないか。話を聞いたんだろう?」

「いや、本当になんの話だ。」

 レンは怪しい男を前に臨戦態勢を崩さずに会話を進めた。

「本当に知らないのかい? この試験の合格方法も? 」

「『生き残れ』だろ? 校長が言ってただろ。」

「本当に知らないみたいだね。それじゃあ、君は『助け合い』を大事に思うかい?」

「大事だろ。」

「君は平和を望むかい?」

「やれるなら世界全体が平和ならいい。でも、現実的じゃない。質問の意図は知らないが、俺は自分の平和を取り戻せればいい。」

「もう無理だけどな。」

 レンは夕暮れの交差点を思いボソリと相手に聞こえないように言った。直後、男は眉をひそめる。

「そうか、君も……。……合格だ。」

「俺は何に合格したんだ?」

「同盟を組もう。俺はタクト、よろしくな。」

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