表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルケニアイル  作者: 犬助
二章 入学試験編
14/26

14話 遊戯

 これは戦いじゃない、遊戯だ。

「あれ? あれあれ? 足に当たったんだぁ〜。痛いねぇ、苦しいねぇ。それじゃあ、脱落しちゃおっかぁ。」

 ねっとりとした奇妙な声。頭にこびりつくようなその声に、頭痛を覚える。

「うるせぇ。」

 レンは後退していく。

「逃げんなって。」

 敵は辛うじて目で追えるスピードで距離を詰める。怪我をしたレンは成す術なく懐に敵の侵入を許す。

「バイバイ」

 腹部に手を当てられ、えぐれる音が森中に鳴り響く。直後、口から大量の血液が流れ出る。レンは呼吸すら困難だった。

 地に這いつくばり、レンは見上げた。敵は背を向けていて瞬時にどこかへ姿を消した。

 痛い……。苦しい……。

 レンは這いずるように前へ進む。しかし、意識は突如としてなくなった。


 ――


 何も感じない。ここはどこだ?

 光も匂いも感じない空間で、レンは考えることだけが許された。

「起きて、起きて。ねぇ……、苦しいね。」

 幼い声が自分を呼ぶ。1拍の間の後、次に聞こえてきたのは圧倒的に自分をねじ伏せた敵の声だった。

「はぁ、はぁ。」

 レンは目を覚ました。

 吹き出す汗、口の中に広がる血の味。彼は恐怖に支配されていた。身体は指一本すらも動かすことができず放心していた。

「起きたの?」

 岩に囲まれた場所――洞窟のそばで寝ていたレンは、奥から出てくる長い黒髪を持った女性に話しかけられる。

 レンは唇が震え、声が出ない。

「誰にやられたんだか知らないけど、災難だったわね。もし、もう戦えないようなら辞退しなさい。それじゃあ私は行くから。」

「待って。」

 精一杯振り絞った声でレンは女性を引き留める。

「何?」

 レンは深呼吸をして気持ちを整える。

「一緒に行動しないか?」

「あなた、まだ戦う気?」

「あぁ。」

「理解出来ないわね、理由を聞いても?」

 レンは視線を落とす。

「やらなきゃいけないことがある。学園ここでしか学べないからな。」

「そう。でも、負けた。弱いやつは要らないわ。」

「わがままなのは分かってる。でもお願いだ。連れて行ってくれ。」

「プライドとかないわけ?」

「あぁ、負けたからな。」

「嫌よ、どうしてもって言うなら活躍して見せなさい。それまではついても来ないでね。」

 そう言い女性は洞窟を後にした。

 失敗だ。でも、立ち止まっている暇なんてない。まずは交渉材料を作らなきゃな。今度は死ぬ。

 レンは立ち上がった。

 怪我は完治してるな。でも、痛い気がする。錯覚なんだろうけど……。

 洞窟を後にして彼はしばらく歩いた。向かう先には一つ大きな樹木があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ