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アルケニアイル  作者: 犬助
一章 転移編
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11話 魔の墜ちた英雄

「これが、レンの力か……。くそっ、左足が巻き込まれた。」

 海斗はぼやくように言った。

「空気があの空間に入ろうとしない。世界が修正に間に合っていない。これほどとは、どう見る、くそじじい。」

「気づいていたのか?」

「俺が独り言を喋る奴とでも思っていたのか?」

 白髪の老人は海斗の前に姿を現した。

「空気よ、魔王海斗を抑えろ。」

 老人がそう呟くと周囲の空気は歪み、海斗を地に抑えつける。

 海斗が瞬きをした――その瞬間、老人はすでに目の前に立っていた。

手のひらが海斗に触れる。

「魔力を扱えなくなる。」

「殺せる覚悟もねぇくせに何しに来やがった?」

 老人の視線がわずかに鋭くなる。

「いつの話をしている? わしはもうお前を明確な敵と見なしておるが?」

「なら、やってみろよ。自分の手で。」

 海斗は冷酷に言い放つ。

 その瞬間だった――上空の空間が歪み、二つの影が落ちてきた。

「海斗様、挑発が過ぎます。魔力を操れないのですよ?」

 そう言い、黒髪の少女は一歩前に出て老人を見る。

「『反発』」

 その少女がそう唱えると老人との間に衝撃波が生まれ、弾き飛ばされる。海斗との距離が空く。

 もう一人の銀髪の少女は加えるように言う。

「もし、本当にあの老害に殺す意思があった場合、殺されていた場合もあります。」

 そう言い、銀髪の少女は海斗に触れる。すると抑えつけていた空気は元に戻り海斗は解放される。

「申し訳ありません、海斗様。魔法の停止……解除できません。」

 海斗は言った。

「動けないままか。まあいい、よく来た。確かに俺は無謀だったかもな……。なあ、グアン。レンはきっとお前には扱いきれない。想像以上だ。お前、いつか殺されるかもな。」

 海斗がそう言うと黒髪の少女が魔法を発動する。

「『反発』+『吸引』……『テレポート!!』」

 次の瞬間、空間は歪み、三人の姿は掻き消えた。そこには魔力の痕跡すらも残っていなかった。

「海斗よ。お前は一体何がしたいんじゃ? お前が見ている先には何がある? わしには……、分からんな。」

 グアンは視線を落とす。そこには気を失ったレンの姿があった。グアンはしゃがみ込みレンに触れた。

「レンよ、目を覚ませ。」

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