1、幼き頃の約束
皆様、初めまして。そしてわずか10人の方へ、お久しぶりです。
新緑月ともうします。
残念ながら私はとてもマイペースな人間なのできっと投稿が不定期になると思います。
(短期間で大量投稿)
たくさんの方に楽しんでいただけることを目標とします。
城下の喧騒から離れた、古い礼拝堂の裏庭だった。
春の夜気はやわらかく、白い花が月光を受けて淡く光っている。
明日になれば、フォティナは隣国へ発つ。
王太子妃候補として、名も身分もすべてを背負って。
「ここ、覚えてる?」
フォティナが石段に腰を下ろし、くすりと笑った。
体は弱いのに、目だけは子どもの頃のまま、まっすぐだ。
「覚えているわ。あなたが転んで泣いた場所」
メリーナは迷いなく答える。声音は静かで、夜と同じ温度だ。
「違うよ。あの日、私たちが初めて会った場所」
アレクシオスが少しだけ視線を落とす。
彼は二人の少し後ろに立っている。守る位置だ。いつもそうだった。
フォティナはまるでピクニックに行く子供のように言う。
「私、行くね」
その言葉は軽い。
けれど、軽さの奥にある震えを、メリーナは聞き逃さない。
「ええ」
短い返事。揺らぎはない。
「隣国の王太子妃になる。ちゃんと、なるよ」
「当然よ」
「体も、なんとかする。ちゃんと学んで、理解して、選ばれる」
メリーナは首を振った。
「選ばれる必要はない」
「どう言うこと?」
月明かりが、彼女の横顔を鋭く照らす。
「あなたは選ぶ側になるの」
フォティナは瞬きをした。
そして、ゆっくり笑う。
「メリーナは?」
「私は、この国の王太子妃になる」
断定だった。未来形ではない。決定だ。
アレクシオスが一歩前に出る。
「二国が並び立てば、きっと平和は今より確立されます。 」
それは願いではなく、計算だった。
彼もまた、未来を見ている。
フォティナが立ち上がり、メリーナの手を取る。
冷たい指先と、少し熱を持った指先。
「約束しよう」
メリーナは視線を落とし、その手を握り返す。
「あなたは隣国を」
「あなたはこの国を」
「そして」
フォティナが言う。
「誰にも邪魔されず3人で、ゆっくりお茶を飲もう」
一瞬、沈黙。
風が花を揺らす。
メリーナは、ほんのわずかに目を細めた。
「それだけ?」
「えー。ダメなの?」
「普通、世界を守るとかじゃないの」
「だって今までずっと何かに縛られ続けて3人で遊べたことなんて指で数えられるほどしかないじゃない。メリーナは世界を守りたいの?」
「そういうわけじゃないわよ。」
「約束、守ってくれる?」
「いいわよ。」
「やったー」
「必要なら、何かを奪ってまで成し遂げてあげる。」
フォティナは驚かない。
「うん」
ただ頷く。
それが彼女の強さだった。
アレクシオスは静かに膝をつき、剣を地に立てる。
「お二人の誓いに、我が剣を」
「同い年のあなたに言われたくないわ。」
「そんな冷たいこと言わなくていいじゃん」
月光が刃に宿る。
三人の影が、ひとつに重なる。
明日になれば、距離ができる。
立場が変わる。
呼び名も変わる。
けれど今だけは、まだ三人だ。
フォティナがそっと言う。
「メリーナ。私が遠くにいても、忘れないでね」
メリーナは即座に答える。
「忘れるわけがないでしょう」
少しだけ、声がやわらぐ。
「じゃあ私もメリーナのこと忘れない!」
花びらが舞う。
それは祝福のようで、別れの前触れのようでもあった。
そして誰もまだ知らない。
この約束が、
栄光と、静かな喪失を同時に連れてくることを。
(後書きに作者の話をぼちぼち書いていこうと思います)
令嬢系っていいですよね。
今はなろう系の代名詞くらいにはなってますよね。
特に転生系。(私も大好きです。)
私的に令嬢系を日本で一番書き始めたのは池田理代子さんの「ベルサイユのばら」だと思うんですけど、どうですかね。
もっと昔のがあれば教えてください。




